1月16日から4月14日まで、愛知県美術館では下記の企画展示がなされている。3月28日に鑑賞に行った。
2と3が第4期コレクション展である。
1,コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 共同企画
現在改修のため閉鎖中の陶磁器美術館と県美の共同企画した展示。歴史的な陶磁器展示とそれに似た県美の現代作品展示、陶磁器とその他の材料作品の素材比較などが展示。
館の1/2を占めている。
2.女性のアーティストのコレクション
愛知県美術館が集めた現代の日本女性美術家作品の展示
館の1/4
3.名品はどこから来たのか
ピカソやキルヒナーなどの作品の県美に来るまでの由来。ヨーロッパの作家の作品などは、ヒットラーの退廃芸術排除で引っ掻き回されてきた。
館の1/4
このうち 1については別途記載する。今回は最も興味を持った現代女性美術家の作品展の概要について記載する。
愛知県はトリエンナーレがあり、それに出展された作品のめぼしいものを購入していることもあり、有望な現代美術家の作品をかなり集めてきた。そしてコロナ禍の芸術家支援として最近は買い上げ予算を増加させてきた。
今回はそういった現代美術の作品の中で、有望な女性の作品で14名24作品が展示された。その半分以上は令和5年度買上げ品および寄贈品であった。その展示された部屋に入ったら、ウーマンパワーに圧倒された。やっぱり男とは全然ちがうと思ったので概要を紹介する。
(美術館曰く、若手から中堅のアーティストとのこと)
なお今回は、作品について下記のような区分がなされていた。⓷の作品について紹介する。
①撮影不可
②撮影可、SNS不可
⓷撮影可、SNS可
(1)血、肉体のイメージ
展示室の入り口正面に、血がべたっとつういたような大きな絵がある。近付いてみると赤い糸を張り巡らせたものの集合体である。
塩田千春 <Endless Line>
< 上の局部拡大図>
その隣には、赤いドットをちりばめた絵(版画?)がある。これもドキッとした。
大和美緒 <under my skin>
<上の局部拡大図>
前者は、張り巡らされた糸が毛細血管や神経の集合体のように見える。後者は顕微鏡で覗いた赤血球の状況からインスパイアされて描いたものだそうだ。ともに肉体内部を感じる。こういった肉体や血への意識は、多分男が理解できない生理を通じた肉体との意識の近さから出てきているのではないかと思う。
また下記の絵画そして陶磁器製品は、肉体そのものを扱っていると思う。
川内作品のピンク色は肌の色とのことだが、肌色の中に描かれているものは、食料品にも見えるし肉体形状にも見える。見方によっては性的なものにも見える。
川内理香子 <Cook>
西條作品は、陶磁器の表面は美しいが、その中が空洞にせざるを得ない(分厚いものは焼いたら割れたり空気圧で爆発する)になっているというのが課題でるとして、その空洞の意味を考え、また活用しようと考えたそうだ。楽器の共鳴器機等も想定して表題が付いたのっだろうが、その作品の影をみると、人間の胴体を意識している。
西條茜 <甘い共鳴>
<上の局部拡大図 : 綺麗な陶器表面と孔>
(2)女性の感性
女性の色彩間隔や情感を感じた作品の例を紹介する。
入ってすぐ横に都市の鮮やかな夜景があった。賑やかな色が踊っている。この華やかさ、特に色彩の踊りは女性ならではと思う。
山崎雅未 <Buildiings>
続いて、横向きで髪を掻き揚げる女性の写実画があった。なんでもないようだが、掻き揚げた耳の所にタットー。これは女性ならでは。
松川朋奈 <I decide for myself 2>
<上の局部拡大>
次はやはり賑やかな絵画。立った女性と寝転んだ女性。その背景はなんと屏風。屏風の色は不思議に川内さんのピンクを連想させる。女性の描き方は女性がよく描くスタイルのイラスト。
三井淑香 <C.L.inc.>
続いて、きれいなグラデーションの絵画。これはアクリル板の後から描いたものとのこと。家の中で家具のように自然に収まることが作品の趣旨だそうだが、光沢があり十分目立つ。作者の紹介を読んだら、作品とセットでパフォーマンスをするなど、目立った活動をしている。でも作品自体に女性らしい細やかさがあることも確か。
田島美加 <Art d’Ameublement(Asilo de laPaz) (家具の芸術)>
以上8点を示したが、他も力作ぞろい。
それぞれの作家のHP等を拝見したら、皆さんとても元気に自己主張していて、美術の世界で逞しく生きていこうとしている。これだけずらりと女性作品が並んだら、やっぱり最近の女性特有の主張を感じ、いい展示だとおもった。
またこれらを集めた学芸員は、なかなかの目利きだとおもった。
2と3が第4期コレクション展である。
1,コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 共同企画
現在改修のため閉鎖中の陶磁器美術館と県美の共同企画した展示。歴史的な陶磁器展示とそれに似た県美の現代作品展示、陶磁器とその他の材料作品の素材比較などが展示。
館の1/2を占めている。
2.女性のアーティストのコレクション
愛知県美術館が集めた現代の日本女性美術家作品の展示
館の1/4
3.名品はどこから来たのか
ピカソやキルヒナーなどの作品の県美に来るまでの由来。ヨーロッパの作家の作品などは、ヒットラーの退廃芸術排除で引っ掻き回されてきた。
館の1/4
このうち 1については別途記載する。今回は最も興味を持った現代女性美術家の作品展の概要について記載する。
愛知県はトリエンナーレがあり、それに出展された作品のめぼしいものを購入していることもあり、有望な現代美術家の作品をかなり集めてきた。そしてコロナ禍の芸術家支援として最近は買い上げ予算を増加させてきた。
今回はそういった現代美術の作品の中で、有望な女性の作品で14名24作品が展示された。その半分以上は令和5年度買上げ品および寄贈品であった。その展示された部屋に入ったら、ウーマンパワーに圧倒された。やっぱり男とは全然ちがうと思ったので概要を紹介する。
(美術館曰く、若手から中堅のアーティストとのこと)
なお今回は、作品について下記のような区分がなされていた。⓷の作品について紹介する。
①撮影不可
②撮影可、SNS不可
⓷撮影可、SNS可
(1)血、肉体のイメージ
展示室の入り口正面に、血がべたっとつういたような大きな絵がある。近付いてみると赤い糸を張り巡らせたものの集合体である。
塩田千春 <Endless Line>
< 上の局部拡大図>
その隣には、赤いドットをちりばめた絵(版画?)がある。これもドキッとした。
大和美緒 <under my skin>
<上の局部拡大図>
前者は、張り巡らされた糸が毛細血管や神経の集合体のように見える。後者は顕微鏡で覗いた赤血球の状況からインスパイアされて描いたものだそうだ。ともに肉体内部を感じる。こういった肉体や血への意識は、多分男が理解できない生理を通じた肉体との意識の近さから出てきているのではないかと思う。
また下記の絵画そして陶磁器製品は、肉体そのものを扱っていると思う。
川内作品のピンク色は肌の色とのことだが、肌色の中に描かれているものは、食料品にも見えるし肉体形状にも見える。見方によっては性的なものにも見える。
川内理香子 <Cook>
西條作品は、陶磁器の表面は美しいが、その中が空洞にせざるを得ない(分厚いものは焼いたら割れたり空気圧で爆発する)になっているというのが課題でるとして、その空洞の意味を考え、また活用しようと考えたそうだ。楽器の共鳴器機等も想定して表題が付いたのっだろうが、その作品の影をみると、人間の胴体を意識している。
西條茜 <甘い共鳴>
<上の局部拡大図 : 綺麗な陶器表面と孔>
(2)女性の感性
女性の色彩間隔や情感を感じた作品の例を紹介する。
入ってすぐ横に都市の鮮やかな夜景があった。賑やかな色が踊っている。この華やかさ、特に色彩の踊りは女性ならではと思う。
山崎雅未 <Buildiings>
続いて、横向きで髪を掻き揚げる女性の写実画があった。なんでもないようだが、掻き揚げた耳の所にタットー。これは女性ならでは。
松川朋奈 <I decide for myself 2>
<上の局部拡大>
次はやはり賑やかな絵画。立った女性と寝転んだ女性。その背景はなんと屏風。屏風の色は不思議に川内さんのピンクを連想させる。女性の描き方は女性がよく描くスタイルのイラスト。
三井淑香 <C.L.inc.>
続いて、きれいなグラデーションの絵画。これはアクリル板の後から描いたものとのこと。家の中で家具のように自然に収まることが作品の趣旨だそうだが、光沢があり十分目立つ。作者の紹介を読んだら、作品とセットでパフォーマンスをするなど、目立った活動をしている。でも作品自体に女性らしい細やかさがあることも確か。
田島美加 <Art d’Ameublement(Asilo de laPaz) (家具の芸術)>
以上8点を示したが、他も力作ぞろい。
それぞれの作家のHP等を拝見したら、皆さんとても元気に自己主張していて、美術の世界で逞しく生きていこうとしている。これだけずらりと女性作品が並んだら、やっぱり最近の女性特有の主張を感じ、いい展示だとおもった。
またこれらを集めた学芸員は、なかなかの目利きだとおもった。
土曜日は暖かくなって、桜の開花も全国的に始まりましたね。
投稿された最後の作品を見ると、ロスコの作品を思い出しました。