先日 高齢者向けの学園で、絵画と陶芸を去年から行っていると書き、そこでは絵画の状況について紹介しました。
今回は、陶芸のほうについて紹介します。年度替わりなので、ここ1年の概要を書いておこうと思います。
こちらのほうは、教育を受けるという形ではなく、クラブ形式で自主性を尊重した活動となっています。とはいっても下記のような状況ですから、クラブの指導員に最初の数回は作陶方法の基本を教えてもらいました。1回あたりの活動時間は掃除も含めて2時間。
・同級生は私を含めて陶土に触るのが初めてという人ばかり。
・作陶の道具は施設からの借用で使い方の理解、また施設自体の
維持管理を理解しなければならない。
・前述の道具、また電気轆轤など安全への理解が必要
・色を付ける釉薬等は施設所有物だが、間違って使用したり汚染させたり
してはいけない。
その後は、数回ごとの焼く時期に合わせて、ほとんど自由に制作することになりますが、クラブ指導員は毎回15分程度制作のヒントの、自由参加の実演を行ってくれて、だいたい1年生はそれを見ることになります。
焼いて作品となったのは、この1年で4回です。その4回について概要を記載する。
1.第1回
最初に紐作りと、たたら作りの基本を習った。それを用いて花瓶を制作した。
紐作り:粘土をうどん状に細く伸ばして、それをぐるぐると積上げて行く手法
たたら作り:粘土を板状に切って、それから型に合わせて、鉢や筒を作る。筒は片方に蓋をして蓋を作る。
この時は、紐作りの花瓶、たたら作りの鉢と筒の花瓶を作った。そのうちたたら作りの花瓶を紹介する。その他の作品は失敗作だった。
この花瓶は、竹筒をイメージしていて、中を黄瀬戸(黄色)、外側を織部(緑色)の釉を使った。織部釉へつける時間が長く、べっとりした緑となった。
でもこの色合いは、かなり気に入った。
<第1回目制作の花瓶>
2.第2回
第一回の展示会へむけた作品の制作。
それぞれ、形状や色彩などに個人の特徴を持たせる作品を作ろうとしていた。私はたたら作りの円筒花瓶に段ボールの中のような凹凸をつけてみようと思った。それとともに自分の記録を残すという意味で手形をつけてみた。へこみは巻きすで巻き、転写した。
単純に色を真っ黒にさせたが、単純すぎたかもしれない。
<第2回制作品 よく見ると黒いへこみが見える>
3.第3回
第二回の展示会へ向けた作品の制作。
円筒から角形状の花瓶にかえ、前回の表面パターンの進展と、軽量化を目標とした。なお湯呑や皿などの食器でも作ろうかとおもったが、厚いので重いから使わないということ、家に置く場合は体積,特に設置面積を小さくしてほしいとの要望があり、花瓶となった。一応2軒分が対象なので、次のシリーズまでは適用対象がある。
ここで作ったのは4角断面の花瓶と、厚みの薄い5角断面の花瓶である。
4角断面の方は表面パターンを工夫し、また化粧土を使った。パターンは100円ショップで購入のランチョンマットを使用した。粘土板4面に前回の段ボール内面の傾きを変えた文様と、細かい2種の文様を転写した。後者については、化粧土で文様を埋めた。前者の段ボール内面状の面は白マットを載せ、残りの面は楕円を残して白マットを手塗りし、上に透明釉を載せた。でも白マットは薄いとほぼ透明であり、狙いのような白抜き楕円は描けなかった。
<第3回の4角断面の花瓶、織物パターンのブルーの面の後ろの面のパターン>
5角の方は3色の釉をくっきりと区分して用いた。通常はたたらの粘土板厚さ7㎜だが、5mmに切って軽量化をはかった。少し薄くしただけなのに板が曲がりやすく、組み立てるのが大変だった。
釉は白マットを浸漬、鉄赤と織部を手塗としたが、後者は薄くまた均質にならなかった。またそれも景色として面白いとのことだった。
<5角断面の花瓶、それに花を飾った状態>
4.第4回
学年が上がる春休みを挟むので、粘土が乾燥して年度を越えることが出来ない。そこで、ここで購入した粘土をできるだけ消費するべくいろんなものを制作する。私はこれまでの表面パターンの適用を維持しつつ、釉薬の勉強、及び電気ロクロの使い方の勉強を使用とおもった。
ここで作ったものは以下である。
・ロクロによる一輪挿し (天目(黒色)に白マットの重ね掛け)
・ロクロによる湯呑 (天目に織部、鉄赤(赤色)の重ね掛け)
・たたら作りによる4角断面の花瓶(青の化粧土利用と白マット釉)
・たたら作りによる円筒断面の花瓶(黄瀬)
・たたら作りによる円筒鉢カバー (織部単色釉)
ロクロは、成形する前の「土殺し」という、土をロクロ上で伸ばしたり倒してまた塊を作ったりする事を繰り返して、密度を均質にし成形しやすい状態に持ってゆくこつが難しかった。また、成形中の回転速度コントロールと力の入れ方も難しい。そして成形後に回転させながら削っていく工程も大変だった。
今回はこわごわやっていたので、かなり壁が厚くなった。
最初に作ったのは、高さ10cm程度の一輪挿し。天目の上に白マットを重ねたら白地に黒の粒々の模様がでることをみんながやっていたので、白マットに漬ける時間を2段階に変えてみたが、それほどの変化はなかった。
<一輪挿し 及び それに花を飾った状態>
続いて直径10cm強の湯呑を作った。それのベースの釉を天目とし、その上に織部と鉄赤を流した。
鉄赤は鮮やかな赤となったが、織部はほとんど色は出なかった。
<湯呑 および それに野草を飾った状態>
たたら作りの方は、これまでと同様に表面パターンの活用を考えた。
4角断面の花瓶は、素地に布の折り目を転写し、そこに青の化粧土を入れて、その上を白マットの釉をかけるというもの。半透明の白マットの中に青の折り目模様がうっすらと見えることを期待した。
その結果が以下。今回は織り目が細かすぎたので、白の中からのぞく青色が大人しすぎた。
<4角断面の花瓶 および それに 野草を飾った状態>
円筒の花瓶にはランダムな直線のパターンを付けて、黄瀬戸釉をかけた。黄瀬戸は基本は黄色だが、成分の微妙な変化や釉の厚さなどによっていろいろな色を発色する。見本がへこみ部が黒だったのでそうなるとおもい、下のほうに溝の黒と繋がるようにと、黒の化粧土を塗った。
焼いた結果は、へこみ部ではなく平坦部が黑くなった。後で調べるとそれで妥当とも解釈できる。これについてはもう一度トライしたい。
<円筒断面の花瓶、 及びそれに造花を飾った状態>
円筒だが直径をやや大きくして、鉢カバーを作ってみた。これについては大ぶりの葉の模様のパターンを転写した。それに対して釉薬の時間がなかったので、織部だけを浸漬で付けることにした。但し一般部とへこみ部のコントラストを付けるため、浸漬時間を短くした。
結果が下の写真で、ほぼ想定通りのコントラストがついた。でも出来てみると、どこかに色違いの葉を描いてみるなど、なにかやっていればと思っている。
<鉢カバー と それに花を飾った状態>
陶芸は物理的作業の形つくりと、化学的作業の施釉という作業の組み合わせであり、意外性があってとても面白い。次年度はだいたい作業の概要はわかったので、4回の窯出しごとに作品を紹介してもいいかなと思っている。
今回は、陶芸のほうについて紹介します。年度替わりなので、ここ1年の概要を書いておこうと思います。
こちらのほうは、教育を受けるという形ではなく、クラブ形式で自主性を尊重した活動となっています。とはいっても下記のような状況ですから、クラブの指導員に最初の数回は作陶方法の基本を教えてもらいました。1回あたりの活動時間は掃除も含めて2時間。
・同級生は私を含めて陶土に触るのが初めてという人ばかり。
・作陶の道具は施設からの借用で使い方の理解、また施設自体の
維持管理を理解しなければならない。
・前述の道具、また電気轆轤など安全への理解が必要
・色を付ける釉薬等は施設所有物だが、間違って使用したり汚染させたり
してはいけない。
その後は、数回ごとの焼く時期に合わせて、ほとんど自由に制作することになりますが、クラブ指導員は毎回15分程度制作のヒントの、自由参加の実演を行ってくれて、だいたい1年生はそれを見ることになります。
焼いて作品となったのは、この1年で4回です。その4回について概要を記載する。
1.第1回
最初に紐作りと、たたら作りの基本を習った。それを用いて花瓶を制作した。
紐作り:粘土をうどん状に細く伸ばして、それをぐるぐると積上げて行く手法
たたら作り:粘土を板状に切って、それから型に合わせて、鉢や筒を作る。筒は片方に蓋をして蓋を作る。
この時は、紐作りの花瓶、たたら作りの鉢と筒の花瓶を作った。そのうちたたら作りの花瓶を紹介する。その他の作品は失敗作だった。
この花瓶は、竹筒をイメージしていて、中を黄瀬戸(黄色)、外側を織部(緑色)の釉を使った。織部釉へつける時間が長く、べっとりした緑となった。
でもこの色合いは、かなり気に入った。
<第1回目制作の花瓶>
2.第2回
第一回の展示会へむけた作品の制作。
それぞれ、形状や色彩などに個人の特徴を持たせる作品を作ろうとしていた。私はたたら作りの円筒花瓶に段ボールの中のような凹凸をつけてみようと思った。それとともに自分の記録を残すという意味で手形をつけてみた。へこみは巻きすで巻き、転写した。
単純に色を真っ黒にさせたが、単純すぎたかもしれない。
<第2回制作品 よく見ると黒いへこみが見える>
3.第3回
第二回の展示会へ向けた作品の制作。
円筒から角形状の花瓶にかえ、前回の表面パターンの進展と、軽量化を目標とした。なお湯呑や皿などの食器でも作ろうかとおもったが、厚いので重いから使わないということ、家に置く場合は体積,特に設置面積を小さくしてほしいとの要望があり、花瓶となった。一応2軒分が対象なので、次のシリーズまでは適用対象がある。
ここで作ったのは4角断面の花瓶と、厚みの薄い5角断面の花瓶である。
4角断面の方は表面パターンを工夫し、また化粧土を使った。パターンは100円ショップで購入のランチョンマットを使用した。粘土板4面に前回の段ボール内面の傾きを変えた文様と、細かい2種の文様を転写した。後者については、化粧土で文様を埋めた。前者の段ボール内面状の面は白マットを載せ、残りの面は楕円を残して白マットを手塗りし、上に透明釉を載せた。でも白マットは薄いとほぼ透明であり、狙いのような白抜き楕円は描けなかった。
<第3回の4角断面の花瓶、織物パターンのブルーの面の後ろの面のパターン>
5角の方は3色の釉をくっきりと区分して用いた。通常はたたらの粘土板厚さ7㎜だが、5mmに切って軽量化をはかった。少し薄くしただけなのに板が曲がりやすく、組み立てるのが大変だった。
釉は白マットを浸漬、鉄赤と織部を手塗としたが、後者は薄くまた均質にならなかった。またそれも景色として面白いとのことだった。
<5角断面の花瓶、それに花を飾った状態>
4.第4回
学年が上がる春休みを挟むので、粘土が乾燥して年度を越えることが出来ない。そこで、ここで購入した粘土をできるだけ消費するべくいろんなものを制作する。私はこれまでの表面パターンの適用を維持しつつ、釉薬の勉強、及び電気ロクロの使い方の勉強を使用とおもった。
ここで作ったものは以下である。
・ロクロによる一輪挿し (天目(黒色)に白マットの重ね掛け)
・ロクロによる湯呑 (天目に織部、鉄赤(赤色)の重ね掛け)
・たたら作りによる4角断面の花瓶(青の化粧土利用と白マット釉)
・たたら作りによる円筒断面の花瓶(黄瀬)
・たたら作りによる円筒鉢カバー (織部単色釉)
ロクロは、成形する前の「土殺し」という、土をロクロ上で伸ばしたり倒してまた塊を作ったりする事を繰り返して、密度を均質にし成形しやすい状態に持ってゆくこつが難しかった。また、成形中の回転速度コントロールと力の入れ方も難しい。そして成形後に回転させながら削っていく工程も大変だった。
今回はこわごわやっていたので、かなり壁が厚くなった。
最初に作ったのは、高さ10cm程度の一輪挿し。天目の上に白マットを重ねたら白地に黒の粒々の模様がでることをみんながやっていたので、白マットに漬ける時間を2段階に変えてみたが、それほどの変化はなかった。
<一輪挿し 及び それに花を飾った状態>
続いて直径10cm強の湯呑を作った。それのベースの釉を天目とし、その上に織部と鉄赤を流した。
鉄赤は鮮やかな赤となったが、織部はほとんど色は出なかった。
<湯呑 および それに野草を飾った状態>
たたら作りの方は、これまでと同様に表面パターンの活用を考えた。
4角断面の花瓶は、素地に布の折り目を転写し、そこに青の化粧土を入れて、その上を白マットの釉をかけるというもの。半透明の白マットの中に青の折り目模様がうっすらと見えることを期待した。
その結果が以下。今回は織り目が細かすぎたので、白の中からのぞく青色が大人しすぎた。
<4角断面の花瓶 および それに 野草を飾った状態>
円筒の花瓶にはランダムな直線のパターンを付けて、黄瀬戸釉をかけた。黄瀬戸は基本は黄色だが、成分の微妙な変化や釉の厚さなどによっていろいろな色を発色する。見本がへこみ部が黒だったのでそうなるとおもい、下のほうに溝の黒と繋がるようにと、黒の化粧土を塗った。
焼いた結果は、へこみ部ではなく平坦部が黑くなった。後で調べるとそれで妥当とも解釈できる。これについてはもう一度トライしたい。
<円筒断面の花瓶、 及びそれに造花を飾った状態>
円筒だが直径をやや大きくして、鉢カバーを作ってみた。これについては大ぶりの葉の模様のパターンを転写した。それに対して釉薬の時間がなかったので、織部だけを浸漬で付けることにした。但し一般部とへこみ部のコントラストを付けるため、浸漬時間を短くした。
結果が下の写真で、ほぼ想定通りのコントラストがついた。でも出来てみると、どこかに色違いの葉を描いてみるなど、なにかやっていればと思っている。
<鉢カバー と それに花を飾った状態>
陶芸は物理的作業の形つくりと、化学的作業の施釉という作業の組み合わせであり、意外性があってとても面白い。次年度はだいたい作業の概要はわかったので、4回の窯出しごとに作品を紹介してもいいかなと思っている。
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