私の家には、4株のアジサイがある。お付き合いの短いほうから挙げると、1株は今年の母の日に買ったばかり。次は5年前に花のついた株を購入してその後地植えしたら、今年やっと花を付けたもの。3株目は約10年前に購入して地植えしその後2年目から花を付けたもの。最後の4株目は20年以上前に株を購入して地植えし次の年から花を付けたもの。これはものすごく大きくなったが、去年ほとんど咲かず心配した。
1株目は盛りを過ぎた。3株目は最盛期、2株目と4株目これから盛りに入っていくという状況にある。
今回購入したばかりのアジサイが、露出を変えて(アンダーとオーバー)撮影実験するのにちょうどよかった。ほかの3株も現状の生育状態で露出調整して撮ってみようと思った。
その結果を紹介する。
1.購入したばかりの株
この株は花が新しい時は薄紫色で、時間がたつと白くなるようである。花びらの透けている感じが良く、カーテン越しの光の中で露出オーバーとアンダーで撮った時、かなり印象の違う雰囲気になるのではと思った。そして実際そうだった。
下図が全体の写真、右の紫色の部分が新しい花で購入後咲いた。左の白い花は購入前からの花。
「購入したばかりの花のほぼ全景」
紫色の部分を狙って露出アンダーで撮ったのが左、露出オーバーで撮ったのが右。
「左:露出アンダー、右:露出オーバー」
「左:露出アンダー、右:露出オーバー」
左は、濃い紫で黒光りしてガシッと固い感じがする。右はアイスクリームの雰囲気。
こんな感じでアンダーからオーバーまでの3枚を並べる。
まずアンダーの写真。
<光あれ>
光あれ
そう叫んだら
やっと届く
淀んだ怒り
浄化できない
光あれ
そう叫んだら
やっと届く
淀んだ怒り
浄化できない
次が、カメラの標準の露出。
<私を見て>
カーテン越し
そんな光でも
透き通る
私のすべて
貴方に見せる
カーテン越し
そんな光でも
透き通る
私のすべて
貴方に見せる
そして露出オーバー。虹色に自己発光しているよう。
<光 おのずから>
幸あれと
願えば光
おのずから
照らしあいたい
夢のかたちを
幸あれと
願えば光
おのずから
照らしあいたい
夢のかたちを
2.5年目の株
この株は、購入時に花が黄緑色で、不思議な色だと購入した。購入後暫くすると確か紫色へと、変化していったと思うが、購入時に黄緑色だったこと以外はあやふや。
それが、下図のようにまず小さな蕾段階ではピンク。これからどんな色になるかとても興味がある。
「5年目の株の花の全体 標準露出」
この一部拡大を露出オーバーにするとなにか楽しい。
<幸せって>
幸せって
輪郭がない
気が付けば
やんわりとした
光の中に
幸せって
輪郭がない
気が付けば
やんわりとした
光の中に
露出アンダーにすると、緊張感が高まる。
<不幸とは>
不幸とは
ごつごつとした
石雪崩
ストーンウォッシュされる
身体も心も
不幸とは
ごつごつとした
石雪崩
ストーンウォッシュされる
身体も心も
明るいと多幸感があり気持ちが飛ぶので、前者は絞りを浅く、暗いと緊張して細かく見ようとするので、後者は深い絞りにした。
3.約10年目の株
これはリング状に花を咲かせるもの。この株が最近急に大きくなっている。
ロンドが楽しい。
花全体を撮ってみたもので露出オーバーとアンダーを比較する。
「花全体 左:露出アンダー、右:露出オーバー」
<ロンド>
生き生きと
輪になって踊る
君たちの
振りまく汗が
梅雨雲を呼ぶ
生き生きと
輪になって踊る
君たちの
振りまく汗が
梅雨雲を呼ぶ
私自身はややアンダーにして花の写真を撮っている。並べてみるとアンダーで撮るということは花をくっきりとって自分のコントロール下に置こうとすることであり、露出オーバーにするとその写真は自分から解き放たれ花のエネルギーに委ねているといった感じを持つ。どちらも面白い。
花の部分拡大の場合の比較も下記に示す。
「花の部分 左:露出アンダー、右:露出オーバー」
4.20年以上の株
これは去年を除き、毎年6月に庭に我が物顔でのさばってきた。普通によく見かける紫色のアジサイ。現在はまだやや濃い水色。でもこの水色が大好き。下図に露出アンダーとオーバーで撮影の花の全体写真を示す。今はアジサイの上の梅の木が葉を茂らせたので、陽が当たりにくくなっているが、アンダーでは影が強調されるが、オーバーは陽射しの問題を吹っ飛ばす。
「20年以上株の花全体」
(左:露出アンダー、右:露出オーバー)
次は露出アンダーで、部分撮影。
<貴重な陽射し>
茂りすぎ
今年の若葉
木暗がりの
貴重な陽射しに
やっと花開く
茂りすぎ
今年の若葉
木暗がりの
貴重な陽射しに
やっと花開く
アンダーならば「やっと」とネガティブですが、オーバーなら次のように「これ幸い」とポジティブ。
<ぐいぐいと>
陽が射せば
それが号砲
ぐいぐいと
皆が持ち場で
育ち始める
陽が射せば
それが号砲
ぐいぐいと
皆が持ち場で
育ち始める
こんな感じで撮っていると、自分の眼以外にカメラの眼も持っているということで幸せを感じる。
愛知県美術館の美術展は、従来のキレイとかすごいとかの美術から離れだしたところから、現代の何だろうというアートへの歴史的過程を示したもので、とても参考になるものでした。
再開した東京の美術館は、行きたいなと思っているのですが、現況ではとても無理です。
今回の露出をテーマにしたのは、露出アンダーの沼にどっぷり嵌まった友人が出たので、逆にどの程度露出を使った表現ができるのかを確かめてみようと思いました。
ちょうど購入したのがこの1株目のアジサイですが、花弁の透過度や色から考えて絶好の実験素材でした。白い花弁に黄緑色がにじんできたので、またこの株で撮った写真を紹介できると思います。
そうですね。何枚か私も撮ります。昔は現像されるまで、不安とワクワク感があったのですが、今は撮ったすぐ比較できますね。
私の赤塚植物園にコメントをお寄せ頂き有難うございましたm(__)m
ところで今回の紫陽花についてコメントさせて頂く前に前回以前の
トライアローグ展 in 愛知県美術館について、大変興味深く拝見させて頂きました。
作品に付いては私の様な芸術音痴でもてんちゃんの分かり易い解説で、納得した次第です。
残念ながら緊急事態宣言下、都内の美術館は全て休館、
昨日よりやっと予約者のみ入館出来る様になったらしいですが・・・
少々愛知県が羨ましいかぎりです(^_^;)
それから今回の紫陽花、コンセプトも面白いですね(^o^)
写真の場合同じ被写体でも露出でイメージは大きく変わってしまいます。
どうしても特殊な場合以外、広告写真は適正露出で(特に商品の場合)良とし、
私なんかも頭が固いせいでノーマルな写真ばかり出してしまいますが、
やはり露出やフォーカスを自由に操り表現する作家思考も写真の醍醐味ですね!
これもてんちゃんの芸術性の為せる技です(^_^)v
私も写真を撮る時、露出やホワイトバランスを3段階くらい撮ることが多いです。その中から一番肉眼で見た時のに近いのを選んでいます。