どうもお伝えしたい事が多すぎて、先を急ぎすぎたようだ。 「出雲大社の大注連縄」について書くのを忘れていた。
「出雲大社の注連縄」は、皆さん良くご存知のとおり、「太く巨大」と言う方が良い位である。 しかしこの注連縄、稲藁では出来ていない。 その事を知ったのは、去る事、我が子供が三歳と二歳の時である。 四十五年も前になる。
子供の健やかな成長を願って「出雲大社」にお願いに参詣した時である。 お払いを受けた後に、注連縄の説明を聞いてびっくりしたのであった。
この出雲大社の注連縄は、「マコモ」という植物で出来ている。 そうです。 利根川の河畔などに生えている「マコモ」なのだそうである。 私などは子供の時分に、「マコモダケ」という「マコモ」の変形したものを初秋に取り、食用にしたことがあるが、皆さんはどうであろうか。 どこかアクの無いやわらかい竹の子の様な食感である。
子供時分は、この植物がどの様にしてこのように変形し、食用になるのか知らなかったが、その後植物図鑑で調べてこの植物の面白さを知った。
皆さんも一度調べて見ていただきたい。
この植物は、弥生時代から食用にされたらしい。 漆の着色原料やはたまた鉄漿の材料であったそうである。
詳しくは覚えていないが、何とか菌が花芽に付くと異常発育し、「マコモダケ」になり、旬を過ぎると黒色化して、顔料になるらしい。
古代人の自然の利用恐るべしである。 江戸時代には眉墨もこの植物から作ったそうだ。
この注連縄が作られたのは、この大社の前が沼地であり、「マコモ」が群生していたからあろう。
この「マコモ」の生えた畦道の内側には、「赤米」がタワワに実り出雲平野を潤していたのであろう。 「赤米」は寒冷地に強く、古代多くは「赤米」を栽培していたようである。
今日は話が「出雲路珍道中記」から横道にそれてしまった。 あしからず。