五月になった!!さあ、旅の準備を!といつもならパンフ片手に気もそぞろといった季節なのに、残念至極!!
こんな時は肩の凝らない本でもと読んでみた。じっくりと歌集など読みたいが、本屋さんへ行くのもコロナが怖い。本棚をごそごそしてまた読み返すのもいいかもしれない。
『ときどき旅に出るカフェ』 近藤史恵著 双葉文庫
主人公は38歳のOL 独身。 もと同僚が小さなカフェを開いた。この同僚の人物を側面から観察しながら、週2~3回通う常連だ。窓際に日の当たる二人掛けのテーブルが4つとカウンターの椅子が5つのこじんまりとしたカフェだ。
飲み物もケーキも彼女が月1回出かける海外のレシピを習得して、店に提供するという。一度聞いてもわからない名前のロシアやドイツの焼き菓子や飲み物、その由来をお客に詳しく説明している。お客はそれを食べながらまるで自分が旅に出て食べているような気になるらしい。
店に出入りする人間模様をさらりと書いた肩の凝らない連作短編集。ひとりの若い女性が自立する生きざまは心地よい。今、自粛生活のストレスのある日常にはもってこいの本だといえる。
しかし全編をとおしてこの若い店主にすこし違和感をおぼえたのは確かだ。最後の最後に彼女がレズであることをさらりと匂わせて終わる小気味よさ!レズビアンという言葉を使わないで暗に語る。それは生きていく上では何も気にすることではないと、これでなーるほどと納得!女性作家らしい見事な最終編だった。
いずれにせよこんな素敵なカフェが近くにあればいいのにと思う。最近できた駅前の店は騒々しくて入る気がしない。静かな住宅のはずれにあって美味しい珈琲やケーキが食べられる店があればいいのにと切に思う。
駅前にカフェができたらリザーブし本を読みつつあなたを待とう teto
これは楽しみにしていたが期待は見事裏切られた~