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肉食の系譜
ポーランドにおける三畳紀からジュラ紀にかけての恐竜時代の到来を表す消化管内容物化石
これは、同じ著者らによる2019年のスモックの糞化石の研究を、はるかに拡張して大きい仕事にまとめた感じである。三畳紀のポーランドに生息した全長5~6mの肉食主竜類スモックは、ティラノサウルスのように獲物の骨をかみ砕く頂点捕食者であり、ディキノドン類の骨とともに自分の折れた歯の断片も一緒に飲み込むという、獰猛で豪快な捕食者であった。大型のディキノドン類リソウィツィアや両生類などを含むこの時代の生態系の食物連鎖については、すでに再構成されていた。
今回の大規模な研究では、いわゆる糞石coprolitesのほかに嘔吐物が化石化した嘔吐石 regurgitalites、消化管が化石化した腸石cololitesも含めた消化物化石bromalitesをすべて集めている。ポーランド各地から532の消化物化石を集め、シンクロトロンマイクロCT による最新の高解像度画像解析、ガスクロマトグラフィーマススペクトルGC-MSなどによる化学分析などを駆使して、徹底的に解析している。
魚類の鱗や鰭を含む大型でらせん状の糞化石は大型の肺魚のもの、かみ砕かれた骨や歯を含む糞化石は肉食主竜類の頂点捕食者スモックのもの、ワニ形類の骨を含む大型獣脚類の糞化石、完全な甲虫などの昆虫を含む糞化石はシレサウルス、両生類や魚類を含む糞化石はラウイスクス類ポロノスクス、竜脚形類と思われる植物を含む糞化石、大型で魚類を含む糞化石はフィトサウルス類パレオリヌス、植物を含むディキノドン類の糞化石などが同定されている。
これらの化石をもとに食物連鎖を再構築し、三畳紀カルニアンからジュラ紀初期ヘッタンギアンにかけて5つの時代の生物相を解析した。その結果、始めは偽鰐類や獣弓類など恐竜以外の動物が優勢で、恐竜はほんのわずかな小型の種類だけであったのが、徐々に恐竜以外が衰退し、植物食の偽鰐類や獣弓類は竜脚形類や初期の鳥盤類で置き換えられ、その後獣脚類が大型化し偽鰐類に代わって頂点捕食者の地位を占めるようになった様子が裏付けられたという。
参考文献
Qvarnström, M., Vikberg Wernström, J., Wawrzyniak, Z. et al. Digestive contents and food webs record the advent of dinosaur supremacy. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08265-4
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