昨夜、見たいテレビ番組がなかったので、家内が録画していた国営の衛星放送で放映していた映画を見た。SFものやアクションものばかりで、恋愛映画なんて、私はほとんど見ないのだが、ヒロインの美しさ、可愛らしさに魅了されて、最後まで見続けてしまった。ヒロインのソフィ役を演じたのは、アマンダ・セイフライド、ドイツ系アメリカ人の女優である。金髪の、どこか子猫を思わせる大きな澄んだ瞳をした、まだ少女の面影を残す小悪魔系の美女である。この映画の前に出演していた「クロエ」という映画での、若い高級娼婦役の大胆な演技を、ネット動画で、私は見たことがある。また日本の化粧品メーカー、資生堂のテレビCMにも出演していた。
あらすじ
ソフィーはニューヨーカー誌で働くライター志望の調査員。イタリアンレストランのオープンを控える婚約者ヴィクターと婚前旅行でイタリア・ヴェローナに向かうが、観光を楽しみたいソフィの思いを余所に、レストランの契約業者探しに明け暮れるヴィクター。違うカタチの旅行も楽しみたいソフィーは食材めぐりの旅にクタクタ、翌日は別行動することを提案する。さっそく翌日、ソフィーはひとりヴェローナ観光のため街を散策、『ジュリエットの家』を訪れる。そこはシェイクスピァの戯曲『ロミオとジュリエット』にまつわる観光名所で、世界各地からの観光客がジュリエット宛てに、自分の恋愛の悩みを綴った手紙を書き、それを家の壁に貼り付けていく場所だった。とそこへ、ひとりの女性が現れ壁の手紙を回収していく。好奇心にかられたソフィーが彼女の後を付いて行くと、行き着いた先の建物の中には、手紙に返事を書く“ジュリエットの秘書”と呼ばれる女性たちがいた。秘書たちと打ち解けたソフィーは翌日も秘書たちの仕事場を訪れ、手紙の回収の手伝いをすることに。ソフィーが壁に貼られた手紙を回収していると、そのうちの一枚を取った際に壁のレンガのひとつが引っ張られて抜け落ちる。レンガの抜けた壁の奥を覗き込むとそこには古い手紙が。それは50年前に書かれたクレアというイギリス人女性からの手紙で、両親に反対される中での恋人ロレンツォとの恋の苦悩、その中で決意した駆け落ち、そして苦悩の末にロレンツォと落ち合うのを直前でやめてしまった事、またそれを知らぬロレンツォが約束の場所で一人待ち続けたであろう事が綴られていた。胸をうたれたソフィーは秘書たちに頼んでその手紙の返事を書かせてもらうことに。ソフィーは届くとも分からぬ手紙を想いを込めて書き上げ発送する。それから数日後、ソフィーは、手紙を受け取ったクレアが50年前の出来事にけじめを付けるため、孫のチャーリーとイタリアにやってきた事を知る。ロレンツォに会う決意を固めた彼女を見守りたい気持ちと、50年前の手紙から始まった物語の結末を見届けたい気持ちから、ソフィーは「自分も同行させてほしい」と申し入れる。そしてクレア、チャーリー、ソフィーの3人は“50年前の愛”を確かめるため、その地域に住む“ロレンツォ・バルトリーニ”のもとを目指し旅に出る。
Letters to Juliet | |
監督 | ゲイリー・ウィニック |
---|---|
脚本 | ティム・サリヴァン ホセ・リベーラ |
製作 | エレン・バーキン マーク・カントン キャロライン・カプラン |
製作総指揮 | ロン・シュミット |
出演者 | アマンダ・セイフライド クリストファー・イーガン ガエル・ガルシア・ベルナル フランコ・ネロ ヴァネッサ・レッドグレイヴ |
音楽 | アンドレア・グエラ |
撮影 | マルコ・ポンテコルヴォ |
この映画は、舞台となっているイタリア・ヴェローナで実際にジュリエット宛てに届く恋愛相談の手紙に対し、ヴェローナ市のボランティアの女性たちが運営するジュリエットクラブの「ジュリエットの秘書」たちがそれぞれに返事を書いている事実に基づいている。世界各国から年間5000通も届く手紙は言語も様々であるが、英語、フランス語、ドイツ語を含め主要言語に対応している。日本語の手紙に対しては、日本語で返信するという。この映画の影響で、アメリカ公開時(2010年5月14日)からジュリエット宛の手紙が急増し、従来の8倍である40000通を記録。「ジュリエットの秘書」も増員し対応しているという。
- ヴァネッサ・レッドグレイヴとフランコ・ネロはプライベートでも長年のパートナーであり、1969年には息子カルロ・ガブリエル・ネロ(イギリスの脚本家・映画監督)が生まれているが、二人が正式に結婚したのは2006年である。
- アマンダ・セイフライドは、この映画のあと、ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」に出演し、その大ヒットを受けて、世界的にブレイクした。
- 監督のゲイリー・ウィニックは生まれも育ちもマンハッタンの,生粋のニューヨーカーであった。2011年2月に同じマンハッタンにて49歳で、脳腫瘍により死去。この映画「ジュリエットからの手紙」が、遺作となった。
これは、正統派の恋愛映画である。後半部になって、ややご都合主義的なハッピーエンド・ストーリーの展開になっていることは否めないが、ヴァネッサ・レッドグレイブと、フランコ・ネロというふたつのビッグネームの存在が、映画の最後までを支え続け、大甘のラストシーンを、エンド・ロールが始まるまで、引き締まったものにしている。
ジュリエットからの手紙