TPP推進に前向きな野田さんに対して、法政大学の竹田茂夫教授が東京新聞に次のようなコラムを寄せていた。
「TPPは推進派によれば、商品・カネ・労働の国政移動の障壁を取り去って、米国との連携を強めつつアジアの成長を日本に取り入れる利点をもつが、実際には成長・開国・自由貿易・通商国家・グローバル化といった一連の曖昧な理念や願望の記号にすぎない。」
まったくだ。続けて、
「だから具体的に検討し始めるとすぐにボロが出る。実際、現状の円高とウォン安の下、TPP参加で財界が望むように家電や自動車で韓国との競争に有利になるだろうか。しかも日本一国の円高対策が事実上不可能なことは歴史が示している。」
つまり悪あがきということなのですね。続けて、
「TPP参加によってわれわれの食や医療や金融取引で極端な格差が生じるだけでなく、雇用や農村コミュニティーのあり方さえ変わってしまう。
たとえば、一部の金持ちは超高級な国産米・国産牛を食べ、大部分の庶民は安価だが安全性の確認が難しい外国産をあてがわれることになろう。先端医療も庶民の手に届かないものになる。」
竹田教授は「このような事態が本当に望ましいのか。」と結んでいる。おっしゃるとおりだと思う。
ただし、今の日本では国産のすべての農産物が、必ずしも安全だと言えないところが哀しい。お金持ちはお金に物を言わせ、トレサを追究し、高額だろうが、安全性の高い国産食材を手に入れられるかも知れないけれどネ。
竹田教授が使った「国家百年の計であるべき農業・農村の振興」という一文がズシリと響いた。原発事故が追い討ちをかける形で今、「国家百年の計であるべき」はずのものが、足元から揺らいでいるのだもの。