母に「カヤは姪っ子(母にしたら孫)たちが来ると、喜んでそばに行く」と話したら「だからって見えないんでしょ。可哀想ねえ」と言う。私は思わず「可哀想じゃないよ。喜んでそばに行くことができるんだから」と言ったのだけど、どうも母は憐憫におぼれた物言いをする傾向があって困る。
私は、カヤが全盲で可哀想だったから引き取ったのではない。カヤがぐいっと私に身を預け、その力強さに気圧されたのだ。私はカヤに選ばれたのだと思う。共鳴し合ったのかもしれない。
あのままシェルターで、眼圧が異常に高く痛みに疼く目を放っておかれていたのなら可哀想だったけど、今は痛みからも解放されて快調そうだ。
母さんは他の部屋に行ったみたい!と確認中
最近、ゴミ箱からお菓子の空き袋などを引っ張り出してみたり、いたずらだってちゃんとできるようになったし、ピヨピヨ人形の引っ張りっこだって、なかなか過激にやっている。私に取られたくないものだから、一生懸命布団の中に隠そうとする。
室内でいきなりスピードを出して歩き始めることがあるので、そんなとき私は「カヤ、危ないよ~。ゆっくりぶつかって~」と声をかける。どうしてもぶつかってしまうことがあるので、そのときはせめて思いきりぶつからないように注意してあげているのだ。
私はトチやブナやクリと同じようにカヤと接している。カヤはただ、目が見えないだけ。ちょっと耳が遠いだけ。だからと言って特別扱いはしていない。