奈良県で自民党の安倍晋三元首相(67)が、参院選の応援演説中に銃撃され死亡した。この事件で思い出すのは、社会党の委員長であった浅沼稲次郎氏が、1960年10月18日の日比谷公会堂で行なった自民・社会・民社 3党の選挙演説会に参加し、17歳の右翼青年によって刺され死亡した事件である。
この事件でもそうであるが、安倍晋三氏のような善人は殺される人が多い。政治家は、力善用である。精力善用とは. 「何事をするにも、その目的を達するために精神の力と身体の力とを最も有効に働かす」ということである。
戦前の首相を務めたことのある“斉藤実氏(さいとうまこと)”にも言えるだろう。彼は、岩手県水沢藩の出身で、首相を辞めたあとに十勝の音更町に住むことにしていたが、1936年(昭和11)に起こった二・二六事件で殺されている。
安倍晋三元首相の銃殺でも分かるとおり、現在の日本には、二・二六事件と同じように寛容性が失われ不穏な空気が流れている。これに関連して、『人新世の資本論』を書いた斉藤幸平東大准教授(35)は、参議院の選挙前日におけるインタビューで次のように言っていた。
「若い人たちが選挙に無関心の理由は、今の大人の責任である。」、「世界では環境活動家のグレタ・ツンベリさんのように、新しい風が吹いている。」と。今回の選挙では、自民党が過半数を単独で獲得し圧勝したように見えるが、けしてそうでは無いのである。
実は、自民党の得票数が減少し、名もなき“参政党”が1議席を獲得したのである。参政党とは2年前にできた党で、党員が約9万人もいるそうである。参考までに、参政党のホームページの抜粋を載せよう。
『いま、私たちの社会は歴史的ともいえる変革期をむかえています。コロナパンデミックはこうした世界の変化を加速し、人々の意識もこれまでになく大きく変わりつつあります。
この中にあって、参政党は党の理念にもとづき、これから訪れる大変化の時代に多くの国民が希望ある人生を描くことができるような、日本の新しい国づくりをめざします。(党のホームページより)』
一方、ある外国人学者は日本の常識が世界で通用しなくなっていることに早く気づいてほしいと言っていた。外国では、若者たちが電車の中でも政治について熱心に議論するようである。今回の選挙で分かったことは、自民党の圧勝ではなく、「日本維新の会」が強かったことと野党が弱かったことである。
「十勝の活性化を考える会」会員