日本の社会福祉制度は高いのだろうか。北欧三国が福祉国家として注目をされているのは、世界的に見ても社会保障制度が充実しているからだろう。具体的にどういった内容かと言うと、医療費や教育費は基本的に無料、妊娠から産後までの医療費ももちろん無料でサポートしてくれる。
北欧で暮らす人は無料でありながら、世界水準的に高い医療サービスを受けることができる。特にデンマークやフィンランドは、外国に住んだことはないが、欧州の中でも優良だそうである。教育費においては、義務教育から大学まで無料で通うことができる。リタイア後のおじいちゃんやおばあちゃんであっても平等に学ぶ機会が与えられているのである。
やりたいことや方向性が変わったとしても、やり直しがしやすい環境が整っているので積極的に挑戦しようという意欲を後押ししてくれる。介護や年金でもしっかりとしたサポートを受けられるので、老後の不安も少ない。
日本の社会福祉制度は、長年、行財政両面からの公的サービスを根幹とする措置制度により運営されてきたが、財政難の煽りから契約制度に変わった。スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの北欧三国は他国と比較して社会保障制度が充実していると言われるが、税率が高いことでも有名である。
そこで今回は、北欧三国のそれぞれの税制と税の使途を見ながら、世界から見れば税負担が低い日本の現状と比較してみよう。良いサービスを受けるためには、それなりの負担をしなければならない。国民みんなで負担をし、お互いを支え合うというのが高福祉・高負担の考え方である。
北欧三国は、特に福祉サービスや医療制度、セーフティーネットが充実している。そのため制度を維持するための税率が高いのが特徴である。
(※:財務省の消費税などに関する資料)
北欧の社会保障政策の特徴は、日本と北欧三国を比べると「国民負担率」に大きな差があることが分かる。国民負担率とは、「租税負担率」と「社会保障負担率」を合計したもので、国民がどの程度の税負担をしているのが分かる指標である。上の図を見てみると、スウェーデン・フィンランド・ノルウェー三国の国民負担率が50%を超えており、日本の負担率の約1.5倍程度にもなる。消費税で比べても大きな差がある。日本の消費税は、現在、一律10%と定められている。
一方、スウェーデンとノルウェーの付加価値税の税率は25%、フィンランドは24%と、日本の約3倍もの消費税を支払わなければいけない。
北欧では、消費税率が軒並み25%を超えるが、国民は納得して納税している。その理由は、この税金が自分たちに戻って来ることを判っているためである。日本も税金も使い道が決まっているが、ふたを開ければ使い道が不透明で、その結果、弱者切り捨てになっている。そこで行政に頼ってもしょうがないので、これからは「介護予防」がキーワードになると思われる。
住民は行政に陳情するのではなく、「こういうことをやりたいので協力して欲しい」という提案型公共サービスが主流になっていくと思う。知恵を出せば、お金を使わなくても充実したサービスが生まれてくるものである。なお、消費税と付加価値税は同じものと考えることができる。
先日、地域包括支援センターでやっている高齢者いきいきふれあい館「まちなか」で、無料の体操をやってきた。柔軟・ストレッチから始まり、“どさんこ体操”など5個程度の体操をやってきた。参加者は約25人程度で平均年齢75歳の女性が主体であったが、そのパワーに圧倒された。女性の平均寿命の長い理由が、ここにもあったのである。
「十勝の活性化を考える会」会員