価格はどのように決まるのだろうか。価格は、需要と供給により決定されるとされる。市場経済では“見えざる手”によって、各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体に適切な資源配分が達成されることになる。だから、資本主義経済では、この市場経済が前提になっている。
「国富論」を書いたアダム・スミスは、個人が利益を追求することは一見、社会に対しては何の利益ももたらさないように見えるが、各個人が利益を追求することによって、社会全体が「見えざる手」によって、需要と供給が自然に調節されると考えたのである。
先日、午後10時からの「BS東京12チャンネル」(都会を出て)という番組で、私が育った隣町である“音更町(おとふけちょう)”の紹介番組をやっていた。
このテレビ番組では8年前、関西から移り住んでパン作りを修行し、4年前にパン屋をオープンした人のことも紹介していた。パン屋は帯広市から20キロも離れた畑の真ん中にあって、しかも農道にも面していない辺鄙なところであった。しかし、オープンして4年間も続いているということは、それなりに常連客がいるのだろう。
ウクライナ戦争もあり小麦の値上がりで、正直に言ってパンの価格は高かった。ただ、妻に聞くと日本一の生産量を誇る音更産小麦を使用しているから、とても美味しいパンであるそうだ。だから、立地条件は悪いのでもっと安く売れば、美味しいパンを求めて大勢の人がくるだろう。中小・零細企業を相手とする仕事に長らく携わった経験から、価格については、次のように思っている。
当たり前であるが、モノの値段は起業する場合に採算に見合う価格をつける必要がある。社長オーナーの賃金はいくらで、従業員に支払う賃金はいくらでという具合に・・・。
しかし、社長の賃金は、できる限り最低で良いのだ。そして、モノが予想どおりに売れて欠品に困る状態になれば、その時に初めて価格を上げて社長の賃金も上げれば良いのだ。すべての経営者とは言わないが、多くの起業家に言えることだが、このことを忘れて倒産する会社が何と多いことか・・・。モノが売れなくなってきてからから価格をさげても、顧客は来ないので遅いのである。
また、従業員は社長の悪い所をばかりを見て、良い所を見ていない場合が多い。その点も、社長の頭の痛い所でもある。だから、会社が大きく成長するためには、社長の悪い点を指摘するような参謀役を置くことである。
参謀とは、社長の下にいて当人を補佐し,意志決定に際して重要な役割を果たす人である。イエスマンばかりで指摘しない場合、会社はどうなるか。ゴーン社長がいた日産を見れば分かるだろう。
会社が大きく成長するためには、従業員の一人一人の持つ力を引き出す必要がある。それが、参謀役に求められると言えよう。
「十勝の活性化を考える会」会員