4年前の北海道新聞(風欄)に、「“引っ越し”から考える」という記事が載っていた。私も転勤族でサラリーマン時代、東京・大阪・横浜・釧路など、日本の各地を延べ12回転勤した。
狭い日本であるが、転勤の良いところは新たな世界を知ることができることだ。住めば都で、異なった土地に移り住めば見るもの聞くものがすべて新鮮で生まれ変われたような気分になりリフレッシュできる。また、馬が合わない上司であっても、2~3年間を我慢すれば離れることができた。
一度、京都に住んだことがある。寺院・仏閣・城などを見て、歴史や文化の違いを感じた。京都文化は肌に合わないが、同じ関西でも大阪文化は肌に合っている。なぜなら、大阪人は口が悪いが、お人好しの人が多く、信頼がおけるからである。道産子は、どちらかというと大阪人に馬があっているかも知れない。
ある時、大阪商人に「道産子は、赤子の腕をひねるようなもの」と言われたが、当たっているかも分からない。それだけ、道産子はバカだということであるが、東京人にバカと言っても良いが、大阪人にバカという言葉は禁句である。「アホ」または「どアホ」と言わなければいけない。
引っ越しで注意しなければいけないことは、子供のことである。新しい学校になじめずイジメにあう子供もたくさん見てきた。それが原因で不登校児になった子供も見てきた。だから、子供にとって転勤がない方が良い場合があると思う。
私の子供は3人だったこともあり、逆に兄弟で徒党を組んでイジメられたことは無かったが、末っ子の息子は就職にあたって転勤がない会社を選んだ。きっと、転勤はいやであったのだろう。
今の就活生に転勤のことを質問すると7割が「転勤したくない」と答えたそうだ。また、「単身赴任などで、家族との生活が犠牲になった」と答えた人が3割を超えたそうだ。川崎裕一郎京大助教授(都市社会工学)は、「引っ越さなくてもいい社会」を目指すべきだというのだ。
確かに、人の移動は社会を豊かにした。そして、モノやカネが地球を駆け巡り、富を生むグローバル経済の起点になった。同時に、人と富が集まる「中央」と、それらが逃げ出した「地方」とに格差をもたらしたのは事実である。
都会とは違うけれど住みやすいマチ(地方)は、どうすれば作っていけば良いのだろう。都会生活を経験した自分には地方の良さが分かっているので、地方の再興を真剣に考えている。
私は18世帯の小さな町内会に住んでいるが、その住人の一人は長らく大阪に住んでいたこともあり何かと馬が合う。彼は私よりも1歳年下であるが、十勝は日本の食糧基地であり、人口が増えるようにもっと付加価値をつける六次化農業をいつも言っている。
「十勝の活性化を考える会」会員