今月は千葉市のサンコーポ検見川の工事事例をご紹介します。給水方式を直結増圧方式へ切り替える事例は、大型団地ではきわめて稀です。
昨年12月6日、給水設備等改修工事中のサンコーポ検見川(千葉市美浜区真砂5-2)において工事見学会が開催され、7管理組合25名の参加があった。同住宅は、昭和49年に京成不動産他が分譲した、RC造5階建4棟169戸の自主管理の民間マンションで、今回が第2回目の給水管改修工事(1回目は、平成6年にライニング施工)となる。
今回工事の主な特徴は、
- 従来の高架水槽給水方式を直結増圧給水方式へ切り替え改修、
- 共用部給水管をステンレス管に、専有部給水・給湯管をポリエチレン管に更新、
- 住戸の玄関から洗面所へかけての給水・給湯管を隠蔽工法(床下及び壁内の既存同位置に配管)による施工、
- 専有部分工事の工事費を管理組合が立て替え融資
など。工期は平成15年7月~12月。
安心して暮らすために直結給水方式に
同管理組合では、今回工事の計画を早い段階から着手し、更生工事も含めて検討していたが、4・5階の水の出が悪く、銅製給湯管(継手部分等にピンホール)からの漏水事故等もあり、衛生面からも安心して暮らすために直結方式を選択した。
工事の態勢としては、4月の通常総会で、「共用部分の設備更新」並びに「給水設備改修工事専門委員会(新任理事8名、旧理事会並びに有識者6名の計14名がメンバー)」の設置を決議し、同委員会が工事計画を推進することになった。6月には臨時総会を開催して、専有部分の工事について決議。共用部分工事については管理組合が費用負担、専有部分については各戸のオプション工事とした。
また、専有部分のオプション工事を促進させるための処置として、戸当たり30万円を上限に管理組合が一時立て替え(利用する各戸は月額1万円を毎月返済)を実施、約50%の住戸がこの制度を利用した。
施工会社の選定にあたっては、6社に見積りを依頼し、ヒアリングを行って3社にしぼり、財務内容等、専有部分のリフォーム等、専有部分にも実績のある京浜管鉄工業(株)に決定し、同社の責任施工による工事とした。
工事の広報については、工事広報並びに工事説明会を開催して周知徹底した。
共用部の工事
既存の受水槽は地下式のため、今後コンクリートの劣化も予想され、外部からの水の浸入が懸念されることからも衛生上に問題があった。したがって、これら衛生問題の解消及び既存受水槽設置スペースの有効利用、省エネルギーの推進などを実現するため、
- 住戸内給水圧力を通常器具使用圧力である0.15Mpa まで上げる、
- 給水管老朽化による漏水の防止、
- 受水槽及び高架水槽のメンテナンス費用の削減、衛生面の向上、
- 新規取り付け給湯器の給湯能力の復活、
- 給水量の増加、
- 資産価値の向上、
などを目的に給水設備を改修することとした。主な工事内容並びに範囲としては別表の通り。
主な工事内容及び範囲
工事項目 | 工事内容 |
---|---|
1次側給水工事 | 給水取出配管口径変更工事。敷地の北側水道本管より1箇所、100 ¢の水道管を埋設にて引き込み、敷地内へ仕切り弁を設置する |
ブースターポンプ設置工事 | サブステーション~管理棟スペースに屋外設置型増圧ポンプを設置(電気工事他を含む) |
2次側給水工事 | 本管制水弁2次側~増圧ポンプ~棟内飛込迄を高性能ポリエチレン管(PE)、棟内引込~各棟引込~各棟PS内竪管迄をステンレス鋼管(SUS304)にて更新 |
PSメーター廻り給水配管工事 | PS内の給水枝管を、ステンレス鋼管(SUS304)にて更新 |
雑工事 |
|
PS内温水配管更新工事 | PS内竪管系統バルブ以降~カロリーメーター~熱交換器迄の温水竪管及び枝管を、ステンレス鋼管(SUS304)にて配管 熱交換器の接続部は抗菌・絶縁の為ピュアフレックス(同等品)を使用 |
専有部の工事
専有部給水給湯管工事はオプション工事とし、主な工事内容としては、
- 隠蔽工法により玄関口から洗面所までの給水管・給湯管を更新
- 配管工事箇所の壁・床の解体復旧工事
- 上記工事に伴うリフォーム工事
専有部工事の着工にあたっては、
- 事前に各戸アンケートにより、配管工事の希望の有無、室内の内装仕上り、ユニットバスの状況等の調査、
- アンケートに基づき、施工担当者か各戸毎に訪問して住戸内の事前調査並びに住戸内工事の詳しい説明等打合せ、
- 住戸内工事の実施(日程4日間)
の手順で進めた。また、この住戸内工事を機に、水回り等のリフォームを希望する住戸のために、工事事務所内にモデルルームを開設して、各種水栓類、システムキッチン、洗面化粧台などの展示とリフォーム相談も行った。
なお、同住宅の立地する地域は入居当初から地域暖房が施されており、今回工事ではその調整にも注力しなければならない工事でもあった。
<アメニティ新聞256号 2004年1月掲載>
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