とやざき農園日誌

浅間山麓(長野県小諸市)で自然農法による農業を行っています
肥料や農薬を施さず自然の養分循環の中で野菜を育てています

2019年春版 耕起法(播種前畝準備)

2019年03月10日 | 日記
一昨日より春作の作業を始めましたが、年度初めにあたり、現在考えている農法について整理しておこうと思います。先ずは、播種前の畝準備に際して行う耕起法について。写真手前は既に耕した部分。その続きの3メートル程度の区間をこれから耕します。先に畝の右側部分を続けて耕してゆき、その後、折り返しで左側部分を耕します。


(1)草剥ぎ
畝および畝間に生えた草を立鎌で剥ぎ取ります。また、畝間に敷いてある枯草も一緒に剥ぎ取り、土だけの状態にします。剥いだ生草と枯草は、手前の耕し終わった部分の畝間に敷きます。


(2)畝をほぐす
立鎌で草の根を断ち切りながら、畝の土を荒くほぐします。


ここは、秋作でカブを作った畝ですが、わりとしっかりした団粒が残っています。しかし、ややパサパサした感じ(砂質)なので、このまま春作に入ってしまうと養分が最後まで持ちません。


(3)畝間をほぐす
枯草を敷いておいた畝間は、枯草分解で生じた養分と、地下水によって運ばれた養分を吸収して粘土化しています。そこを耕してほぐします。


パサパサした畝の土と異なり、畝間の土には粘りがあります。養分が豊富にある証拠です。


(4)畝に粘土を混ぜ込む
砂質化した畝の土に、畝間の粘土を混ぜ込んだ後、畝を盛り直します。


粘土が混ざることで、土壌団粒がより大きくなりました。しっとり感が増す(保水性向上)と同時に、粒子間の空隙が大きくなって通気性も向上しています。


(5)草敷き
次の3メートル程の区間で、(1)同様に生草と枯草を剥ぎ取り、耕し終わった区間の畝間に敷きます。


以上を繰り返して畝を準備します。
砂に粘土を混ぜ込むための耕起であり、草をすき込まないのがポイントです。
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春作始め

2019年03月09日 | 日記
今朝の最低気温はマイナス8℃でした。今年は寒の戻りが強烈です。雑草の芽が既に出始めていますが、月初から早々種を蒔かなくて正解だったように思います。さて、昨日から春作用の畝準備を始めました。春先は十日以上かかるので、今蒔いても発芽は春分過ぎとなります。その頃にはさすがに今日のような冷え込みはないでしょう。

午前10時過ぎ、土の凍結が緩んだ頃合いを見計らって、昨日耕した畝を整形して鎮圧しました。強い陽射しで一日干された畝を夕方見てみると、畝のあちこちがひび割れていました。なかなか良さそうな「ひび割れ粘土質土壌」です。




一冬かけて畝間に発生させたスメクタイト(膨潤性粘土)を混ぜ込んだため、陽射しで乾燥して収縮し、ひび割れが生じたものと考えられます。一応、理論通りに土が出来上がりましたが、果たして野菜はうまく育つでしょうか。明日、レタスとホウレンソウを蒔く予定です。
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地下水による花崗岩の溶解

2019年03月08日 | 日記
1月18日のクエン酸水による花崗岩粉末溶解実験では、60分でpH0.2程度の上昇が見られた。この実験は、雨水中の炭酸や植物が出す有機酸を想定し、酸性水による花崗岩溶解を確かめる目的で行ったものであったが、現地調査により地下水は弱アルカリ性であることが分かっている。そこで、地下水にミネラルが溶け込む仕組みをより正確に掴むため、今回は中性(ph7.0)以上の水に対して花崗岩がどのように反応するか確認してみる。

<実験A:中性の水(pH6.99)による花崗岩の溶解>
(1時間20分後)7.03(5時間後)7.18(8時間後)7.28(10時間後)7.36
(15時間後)7.44(24時間後)7.58(48時間後)7.64
※冬場の畑地下水と同程度のpHに到達



酸によって花崗岩溶解が早まるのは確かであるが、今回の実験から、中和され酸が消えている土壌深部においても、水さえ存在すれば花崗岩の溶解が進行することが分かった。

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陸上植物の誕生

2019年03月03日 | 日記
化石研究に基づいて定められた地質時代区分によれば、最古の陸上植物が誕生したのはシルル紀(4億4370万年前~4億1600万年前)である。それ以前の植物は、いわゆる「藻類」として水中に生息していた(水棲植物)。シルル紀に現れた生物界の大変化は、陸上における「地衣類」と「コケ植物」の登場である。

「地衣類」は、植物ではなく菌類に区分されるもので、藻類を体内に共生させることにより、陸上植物とほぼ同等の暮らしぶりを実現している。写真は岩上に広がった地衣類。キクラゲのようなひらひらした形状で、岩表面にへばりついている。陸上植物と異なり、強固な骨格構造を持たないため、岩表面から離れて身体を支えることができない。


地衣類とほぼ同時期に現れたのが、最初の陸上植物である「コケ植物」。自らの細胞内に葉緑体を持っているため、藻類との共生が無くとも光合成が可能である点が、地衣類との決定的な違いである。そして、もう一つの大きな違いは、「ケイ酸」の取り込みによって体内にガラス質繊維(プラントオパール:植物ケイ酸と呼ばれる)を形成し、強固な骨格の構築が可能になった点にある。写真は、岩上でフサフサと育つスギゴケ。日本庭園によく見かける「苔むした岩」である。針葉樹の葉のようなトゲトゲは、炭素骨格をガラス質ケイ酸が覆った構造体であり、ケイ酸が持つ高い親水性により、空気中の水分を結露させて体内に取り込むことが可能になった。これによって、コケ植物は水辺から離れた乾燥環境にも適応し、後の「シダ植物」発生に繋がった。


<シダ植物>
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立鎌 新調

2019年03月02日 | 日記
大地佐久店に出向いて「立鎌(草削り)」を新調しました。


現在行っている「耕起草生栽培」に不可欠な道具です。野菜の下草(グランドカバー)として雑草を生やしておくと、張り巡らされた根に阻まれて、鍬で耕すのはかなり困難です。立鎌は、鍬よりも刃が鋭利な上に、刃を斜めにして打ち込めるので根切りが容易です。

ただし、鋭利さと引き換えに、刃こぼれしやすいのが難点(想定外の使用法なので当然ですが)。新規畝立の際に、入念に石を拾っておきます。冬場の畝立には昨年の使い古しを用いました。新旧並べると、一年で3cmくらい刃が減っていました。


群馬の鍛冶屋 山崎製作所
https://store.shopping.yahoo.co.jp/yamazaki-schmidt/c1f0baefa4.html
※刃の固定が丈夫で、土への打ち込みが可能
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