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何でもありの記録
HN天道(てんとう)

心の恋人

2007年04月25日 | Weblog
彼はもう年老いているが今でもプロの俳優で演じている。
若い頃から演劇に携わってきたが主役を演じたことはないそうだ。
「脇役こそが演じ甲斐がある」といっているが。

今日の「演劇セミナー」でその彼が講師を担当した。
その中で彼の心の恋人の話があった。
俳優「緒方拳」の奥さんが彼の心の恋人らしい。
(実際には「心の恋人」という表現はしなかったが、内容は心の恋人だ)
緒方拳が新国劇で「その他大勢の切られ役」だった頃、彼にとってはまだ同僚みたいなものだった頃の話だ。

現在の緒方拳の奥さんは当時既に中堅の美人女優として活躍していたそうだ。
勿論当時はまだ独身だ。
1ヶ月近くの間、彼らは一緒に演劇活動をしていたことがあったらしい。

そして近くのコーヒーショップで昼の時間に彼女は必ずコーヒーを飲んでいたらしい。
彼は最初気がつかなかったらしいが、あの女優さんじゃないかと声をかけてみたらその通りだったらしく、その後彼は彼女に会いたいがために毎日そのコーヒーショップに通ったという。

お付き合いといってもほんの1ヶ月弱の間彼女の傍でコーヒーを飲み短い会話くらいを交わしたことがある様子だ。
その後彼女は緒方拳と結婚して女優の仕事はきっぱり止めたという。

彼に言わせると
「緒方拳が今あるのは彼女のお陰が大きい」
といっていた。

そして彼は1枚の彼女の写真を大事に持っている。
白黒の写真だ。
「この人がそうです、1枚撮らせてもらいました」
と、それを何十年も大事に持っている。

彼女の方はまだ彼のことを覚えているのだろうか、そんな人もいたわねえ、という程度かもしれない。
彼は多分、彼女のことはずっと思い続けているのかもしれない。
彼女のことを語るときはウブな青年のように初々しかったぞ。