(1)3.11の時、津波の本流は藤原に目もくれず閉伊川を遡上した。
しかし藤原は津波の甚大な被害を受けた。宮古湾からも、閉伊川からも水が流れ込んで全てのものを一掃したと言われている。人的、物的被害は今も回復していない。閉伊川筋の堤防も藤原漁港旧防潮堤も破壊は免れたが、津波は防御壁を乗り越え溢流して地区に殺到した。その詳細な検証はまだ十分に行なわれていない。
<検証の一例> 藤原の
高台にある比古神社へ避難する住民の様子を撮影。急いで自
宅に戻ったが遅かった。自宅のすぐ後ろに隣接する堤防にぶ
つかった波は、はるか頭上からものすごい勢いで落ち自宅を
破壊した。100㍍ほど流されたが自力でがれきの中から脱出、
近所の住民一人を何とか助けた。
(民放テレビ局の宮古支局員も務める澤口功さん)
「広報みやこ」2011年12月1日号
(2)閉伊川堤防のかさ上げではなく、河口水門に決定したが…
災害直後、市民集会で閉伊川堤防のかさ上げか、河口水門の建設か何度か議論がなされた。藤原住民からは堤防かさ上げの意見が多かったような気がするが、議論は不十分なまま打ち切られ、市長裁断で岩手県提案の閉伊川河口水門の建設が決まった(2011年12月)。
── 進まない水門工事、予算は当初の4倍の293億円。
水門左岸仮閉め工事。川向こうの
防潮堤は藤原地区、新・旧防潮堤
2016年台風10号では藤原地区に被害もでる。十分な地層調査や事前の工法の検討より、災害特例の発注優先(標準断面方式)で、岩手県の独善的やり方はほとんどが裏目に出て工事は遅れに遅れて現在に至っている。「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」でも宮古市議会への陳情、会計検査院への調査依頼等を何度も繰り返している。工事の進捗が自己目的化されて、洪水にも津波にも効果のない杜撰工事の懸念がある。この2〜3年は市民に対しての説明も皆無。船舶運航、観光都市の景観に見通しがなく、かえって支障が出始めている。
(3)水門完成で藤原地区の環境は一変する。津波が地区を直射、直撃。
市役所や宮古小学校での当初議論のとき閉伊川 川沿いのかさ上げ案を熱烈に主張していた藤原地区住民はこのような状態を想定していたのではなかったかと、今さらのように思わさる。周りの強固な防潮堤や、水門によって藤原漁港に津波を呼び込むようになるのでは?漁港背後の改修防潮堤がそれに耐えうるかどうかが心配…
閉伊川水門完成図
水門自体の、工事進捗、防災効果、強度、運用については依然として不明な点が多い。
(4)安易な<旧防潮堤>「かさ上げ」、「後打ち基礎」
── 藤原漁港側防潮堤の予算はたった3.56億円(水門の1/82倍)
(2018.12.10)
参考
(2019.5.2)
全国初と言える超モダン新築の河口水門と並んで「津波の同じ圧力」にさらされる防潮堤を廃物利用にすること自体が考えがないという事。理論もない、計算もない、経験もない。常識がない。2,135mの磯鶏・藤原防潮堤が終局工事でいきなり変則フーチング工法に変更か?
藤原漁港海側
藤原防潮堤(海側)
海側工事 1(2018.12.10)
海側工事 2(2019.2.2 M.小林)
高さが10.4mに足りない分<旧防潮堤>の天板に鉄骨を打ち込んでコンクリートでかさ上げする。壁面の方もより厚みをもたせるために、同様、鉄骨を打ち型枠をつくってコンクリートを流し込むのだろう。
藤原漁港陸側
藤原防潮堤(陸側)
陸側(基礎 1)(2019.2.2 M.小林)
陸側(基礎 2)(2019.2.2 M.小林)
強度を増すように<旧防潮堤>の足もとを削って巨大なコンクリートブロックを並べてすえつけている。これがはたして<旧防潮堤>の基礎強化になるのか疑問。 市民の命運がかかっている。強化にはならない。
(5)被害拡大シミュレーション:(最大クラス津波)
── 宮古の中心市街地の浸水起点は藤原地区か?!
③ 藤原海岸は閉伊川河口に隣接している。旧防潮堤は計画閉伊川水門と一直線に列を形成していて、河口を襲う津波の圧力を同時に受けるようになる。水門の受ける負荷とリフォーム防潮堤の受ける負荷は、いわば反比例する。基礎もコンクリート量も鉄骨量も圧倒的に水門の方の強度が高いように見える。その分津波力は藤原防潮堤に殺到する。
④ 藤原防潮堤の立地形状から、この防潮堤の防災信頼度は低くなった。防潮堤が位置する藤原海岸は、一見して分かるように、これまでの津波力分散的形状とは異なり、奥まった形状に変化して津波力が集中する形状になってしまった。
※ 危険、あきれた終局工事(藤原)より
☆
説明会を要望する
▲ 岩手県や宮古市は閉伊川水門、藤原防潮堤について地区住民、宮古市民に説明をするよう要望する。
▲ 特に藤原防潮堤の旧防潮堤からのリフォームについては、3.11に於いてアクリル窓が壊れた件について、かさ上げに比例しての基礎部分の強度について、基礎の後打ち工事の有効性・可否について、新閉伊川水門との均衡について…
▲ 閉伊川水門の決壊についてのシミュレーション、また藤原防潮堤の上図のような決壊・浸水についてのシミュレーション、更にそれを想定した避難についての設計計画を示すべきである。絶対大丈夫と言いつつも…立地自治体では原発事故避難訓練まで行なっているのに、防潮堤、水門決壊についてはシミュレーションすら行なわれていない。
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