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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

「区画整理」は鍬ヶ崎・田老にも言い分あり!

2012年06月25日 | どうなる住宅問題

閖上の区画整理、住民反対でずれ込み濃厚 
宮城・名取市

( web 産経新聞 6月9日)

 不安解消 欠けた配慮 意向調査は2度だけ

 東日本大震災の津波で約800人が犠牲になった名取市閖上(ゆりあげ)の復興のため市が推進している「閖上地区被災市街地復興土地区画整理事業」の事業認可が、当初目標の8月からずれ込む公算が大きくなってきた。

 土地の3メートルかさ上げや避難ビルによる津波の多重防御で現地再建を目指す現行案に対し、漁港付近で高さ8・5メートルという津波を体験した住民の不安は大きく、反対意見が根強いためだ。

 8日には、地元住民14人でつくる「閖上地区現地再建区域の一部変更を求める会」(大友美恵子代表)が区画整理事業の区域を西側に拡大、安全安心を確保するよう求める陳情書を佐々木一十郎(いそお)市長らに提出した。

 根強い反対意見に市はより丁寧な住民の意向把握や事業説明の必要性を感じている。「場合によっては一対一の意向調査が必要かもしれない」(復興まちづくり課)としており、これを実施した場合は8月の事業認可は不可能という。

                  ◇
 海岸堤防=楕円(だえん)型人工地盤=貞山堀=土地の3メートルかさ上げ=避難ビル。住宅地を津波から守る多重防御で東日本大震災級の津波が来ても浸水の深さを1メートルぐらいに抑えられる。名取市は「閖上地区被災市街地復興土地区画整理事業」について、こう説明したという。

 「小さい子供を抱える一家で、だれがそこに住もうといいますか。うちは住宅のローンがあって移れません。でも、子供つながりでアパートやローンのないお宅は知っているだけで2、3軒は内陸に家を建てて移りました。区画整理の換地で海に近い土地が当たったらと思うと、不安で仕方がありません」

 小学2年と中学2年の子供がいる主婦の大宮理香さん(39)が表情を曇らせた。住民有志の実行委員会が発刊する「閖上復興だより」の編集に参加、事業に詳しいからなおさらだ。震災直後、地区のランドマークで津波の際の避難場所と言い継がれてきた日和(ひより)山(高さ6・7メートル)に、破壊された住宅の屋根の残骸が乗った津波の恐怖も生々しい。

 区画整理事業の区域を西側に拡大するよう求める陳情書を佐々木市長に提出した大友美恵子さん(66)の思いも同じだ。「子供たちは閖上が好きで戻りたいんだけど、怖くて帰れないという話を若いお母さんから聞いてました。現地再建はどうなんだろうと疑問を持っていました」

 閖上のコミュニティーを解体することなく復興を果たすには子供のいる家庭が残る必要がある。高齢者ばかりが残ったのではいずれ地域は崩壊する。陳情書には子供のいる家庭が少しでも残りやすいようにより「安全安心」な西側に区域を拡大してほしいという親心にも似た願いが込められている。

 市側は現地再建にこだわる理由を閖上のまちを残すためと説明。意向調査、パブリックコメント、説明会、市議会議決など手続きを踏んだと強調する。ただ被災者に寄り添う“温かさ”は希薄だ。「一生懸命やった」と市担当者はいうが、意向調査は郵送で2度だけ。復旧復興にスピードは欠かせないが、これを貴重な教訓にしてほしいものだ。(石田征広)


──SUZUKI's Blog<閖上地区の区画整理の現状>(2012.6.24)より転載


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