鍬ヶ崎の津波避難道 ─ その3
鍬ヶ崎地区・光岸地地区の区画整理事業の要諦(ようてい=かなめ)は避難道路網の整備である。したがって、あるべき区画整理事業の対象範囲は下図みどりの範囲のように、国道45線と浄土ヶ浜県道路(県道248)に囲まれた範囲とするべきである。図からは外れているが東側の臼木山山稜一帯が含まれる事は当然である。
赤い色の範囲は決定済みの鍬ヶ崎・光岸地区画整理事業の対象地。おおむね今次津波の浸水地帯である。国道45線と浄土ヶ浜県道路(県道248)に囲まれた大きな範囲のみどり色の場所が黄色の高台住宅地を含めて津波避難道路網の整備地帯とするよう、この一帯を区画整備事業の対象範囲にするべきである。地目が何であれ地権者の協力をお願いして買上げ、換地、減歩を行って本当の避難道路を整備する必要がある。国道、県道に到達する前の中間到達(避難)地点の場所設定がいそがれる。
区画整理事業のあるべき範囲=避難路網
現地の住民は3.11今次津波を経験して、この国道45号線、浄土ヶ浜道路までを避難の到達地点とする事を深く心に刻みつけたものと思う。そこまで逃げる、というよりそこを目指して避難する事は極く極くあたりまえな事になった。従ってこれからは、避難道路の目指す先も同じ国葬45線、浄土ヶ浜道路である。以前もおおむねそうであったが、なぜ、今そのようなことを言うかというと、明確に鍬ヶ崎地区以外の他所(よそ)の人に開かれた(オーソライズされた)避難道路として一歩前に踏み出して新しく整備されなければならないからである。この避難路やその到達点は例えば観光客には大きな安心感をもたらすはずである…。また佐原地区、日の出地区、中里地区などの周辺の人々の支援も受けやすい。
既に定着している旧避難道もあるが道幅や造りを大きく変え、新設の道路も何本も敷設しなければならない。なかにはクルマ用の避難路も新設しなければならないかどうか? エスカレーター仕様、等、考え方は全く新しく0(ゼロ)ベースで始めなければならないであろう。
もともとの地区住民は主体的に新避難道の計画に係る事になるが、自分たちも避難するときには当然にもこの路を利用する。── という関係性が成り立つ。考え方が昔とはちょっと違うようになる。
またこの新規避難路、新規到達点の認識は同時に「避難所」「避難場所」等のパラダイム(配置)や、誘導、介護避難、避難後生活、等の避難ソフトを大きく変える事になる。津波先進地としては、地元が努力して、盤石の安全安心に向けて、大きく乗り越えて行かなければならない事だ。これだけはいいたいが、かならず必要だ、そのような避難要所の具体的イメージを市民一人一人が強く育んでほしい。
土地区画整理事業の適用を!
区画整理事業が多少なりとも、対象地域土地に「買上げ」「換地」「減歩」等の 制度的強制を加えて所期の目的を実現させるものであるなら、避難路の整備はまさに優先的に土地区画整備計画に繰り込まれなければならないものである。いつまでも私有地や他所の土地に甘え、遠慮しているわけにはいかないはずである。
☆
ノウハウも経験もない、数少ない実績を頼りに田老地区にあやかっていえば、40数本の避難路を1本1本協議していかなければならないということだ。
その2 に戻る