核ごみ文献調査報告書案 概要調査候補地に寿都全域 神恵内南端も
原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向け、原子力発電環境整備機構(NUMO)が後志管内寿都町と神恵内村で行っている国内初の文献調査報告書原案の概要が9日、判明した。第2段階となる概要調査の候補地について寿都町は全域、神恵内村は火山の積丹岳の影響が及ぶ範囲を除外した村南端の一部が該当するとした。
NUMOは2020年11月から862点の文献を収集・分析。国の文献調査評価基準に照らして、両町村の陸地と海底下沖合15キロの範囲で明らかに処分場に不適な場所となる活断層や火山などの影響を調べてきた。報告書原案は13日に公表され、経済産業省の作業部会で審議が始まる。
報告書原案によると、寿都町では明らかな不適地はないとして、町全域の95平方キロと沖合15キロまでの海底下を概要調査候補地とした。神恵内村は北側に隣接する積丹町の積丹岳が、国の基準でいう258万年前以降に噴火した火山に該当し、影響が及ぶ半径15キロ圏内に入る区域を不適地として除外。村南端の一部と沖合15キロまでの海底下を概要調査候補地とした。
これらの候補地のうち、文献調査で十分評価ができなかった場所は概要調査以降で安全性を確認するとしており、寿都町では隣町にある黒松内低地断層帯の一部などが上げられている。(山田一輝)
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核ごみ文献調査報告書原案を13日提示 経産省、作業部会で審議
経済産業省は7日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向け、原子力発電環境整備機構(NUMO)が後志管内寿都町と神恵内村で行っている第1段階の文献調査の報告書原案を13日の同省の作業部会で公表することを明らかにした。両町村で第2段階の概要調査が可能との内容になるとみられる。
国内初の文献調査は両町村で2020年11月に始まり、火山や活断層などの文献やデータなど862点の資料を収集・分析し、明らかに処分場に不適な場所を除外している。NUMOや経産省によると、これまでの説明通り、火山や活断層など核のごみの地層処分のリスクを考慮した結果、寿都町の大部分と、神恵内村の南部の一部を概要調査の候補地にする内容とみられる。
作業部会は地質や地震学者らで構成され、文献調査報告書原案が、国の文献調査評価基準に沿った内容であるかを確認する。審議の様子はオンラインで公開される予定。その後、経産省の特定放射性廃棄物小委員会でも審議され、委員の意見を基に修正などが行われ、完成となる見通し。
NUMOは報告書完成後、1カ月以上の期間で、報告書の縦覧と住民向け説明会を開く。説明会の開催地は未定だが、道は寿都町と神恵内村のほか、道内の全14振興局管内と希望する道内外の市町村でも開催するよう求めている。
NUMOは文献調査の一定の手続きを経た後、概要調査の事業計画を経産相に申請する方針。知事か町村長が反対した場合、概要調査は行われない。鈴木直道知事は反対の姿勢を貫いており、現時点では、2町村ともボーリングなどで地質を調べる概要調査に移行するのは難しい状況だ。(山田一輝、川浪伸介)
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核ごみ文献調査、次段階に移行可能と報告へ 原案13日提示
【神恵内】13日の経済産業省の作業部会で公表される見通しとなった高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた国内初の文献調査報告書原案は後志管内寿都町、神恵内村での第2段階の概要調査が可能との内容になるとみられる。作業部会の審議を経ることになるが、経産省の担当者は報告書の完成時期については見通せないとの見解を示した。
原子力発電環境整備機構(NUMO)はこれまで寿都、神恵内両町村の住民との対話の場で、寿都町の大部分と、神恵内村の南部の一部で概要調査が可能とする見解を説明してきた。
神恵内村で7日夜に開かれた「対話の場」でも13日に報告書原案が示されることが説明された。終了後、取材に応じた経産省資源エネルギー庁の下堀友数放射性廃棄物対策課長は「いままで部分的に報告してきた内容が大きく変わるということではない」と述べ、両町村で概要調査が可能との内容になるとの考えを示した。NUMOの坂本隆理事も「新たな知見も集まっており、13日以降、示すことになる」と説明した。
一方、下堀課長は作業部会での審議見通しについて、「参考文献も含め、約700ページある。文献調査の評価の考え方に沿って、NUMOが報告書案をまとめてきたか、丁寧にチェックすることになる」と説明。「審議はきっと複数回にわたると思う」とし、終了時期の見通しは示さなかった。(川浪伸介)
核ゴミは地産地消 全国委員会