企業がお金を払うとき、その見返りが無形であっても、すべてが費用になるわけではない。資産となる場合もある。個人がお金を使う場合も同様である。車や家電を買うのならそれは費用だろう。消費だ。こういう消費はできるだけしないほうがよい。お金が余っている場合は別だが、気晴らしや見栄でお金を使うのはもったいない。
では、どういうことにお金を使えばよいか。究極には、けちって余ったお金をどう使うかという問題である。うちの両親はケチだが、この問題に対して「どんと使う」といっていた。いっぺんに使うという意味である。これもどうかと思う。費用として使うことに変わりはないし、使う時期を変えるだけで、浪費には変わらない。浪費の気分的な効用は違うかもしれないが。
冒頭の例でいえば、余ったお金は投資に振り分けるべきであろう。企業の財務と同じである。しかも回収の可能性の高い投資に資金投下すべきである。自分の場合でいえば、会社に入ってから、自費で2年間学校に通ったが、この時のおカネは車2台分くらいだったが、転職する際に役に立ち、結局、給料増加という形で投下資本は十分回収できた。
いまお金を投下しつつあるのは、子供の教育費である。これは投資ではないだろう。二人とも私立に入れたから、けっこうな額になるが、将来帰ってくるわけではない。まして、老後の面倒を見てもらおうなどとは考えていない。あくまで子供たち個人の人生のために使っているわけである。しかし、娘たちが受験で第一志望に合格した幸福感は、それまでの塾の費用をかんがみても代えがたいことはたしかである。