西加奈子「通天閣」

　福島のみなさん　こんにちは

　西加奈子さんの本は以前からずっと読みたかった。母校の関西大学、そして以前勤めていた毎日新聞が主催するが小田作之助賞の受賞者。さらにはその関西大学出身でその後直木賞も受賞している。関大からは芥川賞、直木賞通じて初の受賞者になる。作品も評価が高い。先日福島へ行く際、伊丹空港の本屋さんで見つけ手に取ったのが「通天閣」。見つけて手に取ったというより、西さんの文庫本は探した限りこれしか置いていなかった。今頃はやりの作家なのにちょっと不思議だが。

　横道にそれたが、この小説、名の通り「通天閣」界隈の人情話。しかしそこに描かれているのは、彼氏にふられ幸せをつかめない若い女、捨てた女とその子のことにこだわり自らに嫌悪を抱く独り身の中年男と、人生にドライな二人の人情。それが深化するように物語が進み、そしてどんでん返しが。

　昭和の寅さんとは違う、平成の人情話です。お薦めします。

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