能登のみなさん こんにちは
第一章②
5分ほど歩いて戻り、草むらの中に布切れを見つけて再び流木の元に帰ってきた。そのぼろ布の一方の端に3人で流木を転がした。そして反対の端を3人で引っ張り引きずり運ぶ。10分ちょっとするとシャンが疲れたと言い出す。
「シャンもよく頑張ったね。ここまで来たらあと半分ちょっと。少し休憩しよう」
「うん。やったぁ」
ヌーシャは草むらを足で踏みつけて倒し、3人が座れる場所を作った。するとダクラ―が、
「ねえちゃん、草笛をふいて」
「うーんこの辺には草笛を作る葉がないわ」
「草笛、草笛」
次はシャンが言い出した。
「仕方ない」
ヌーシャは辺りを見渡した。土手を見上げると、一番上の方にオオムラサキが咲いている。
「あの葉だったらできるかもしれない。取って来るから、ここで待っていて」
「ぼくを置いていくの」
「すぐそこだから」
「怖いよ。こっちを見ていて」
「分かった。見ていてあげるから。ダクラ―もそばにいてやって」
「私は大丈夫。だってそこだもん。シャンはまだ赤ちゃんだ」
「おねえちゃんだってさっき怖いって言ってたじゃないか」
「ケンカしない。けんかするなら草笛吹かないよ」
「分かった待ってる」
ヌーシャは土手に向かって草むらに入って行った。思ったよりも草は深く、ヌーシャの胸近くまで伸びていた。たどり着くと、やはりそれはオオムラサキだった。妹らのも含めて肉厚で固そうなのを10枚ほどもぎ取った。ヌーシャは12歳になるとどこかに行ってしまった二人の姉らと川に燃料の流木をよく取りに来た。姉たちはヌーシャが疲れるときまって草笛を吹いてくれた。それをまねて教わり、姉がいなくなるころには吹けるようになっていた。
「じゃあ吹くよ」
ピー、ピッ、ピー、ピッ、ピッ、ピッ、ピ。
ドレミの歌を吹きだした。
「すごいねえちゃん。おれにも教えて」
「私も」
「じゃ、これを一枚ずつ持って。いつも言っているように表の方を口に当てて。上の方は上の唇に届くぐらいにして。その葉を震わせるように吹くの。はい」
しかし二人とも音が出ない。
「ほっぺを膨らませたらダメ。ろうそくを消すように吹くの」
ダクラ―のだけが、プッと鳴った。
「やったわ。なった」
「そう、そんな調子」
「おれできないよ。もういい」
「そんな簡単にできないよ。じゃあ、シャンにはこっちの草笛を作ってやろう」
というと、そこいらに生えている長細い葉の一枚を小さく丸め、片方の端を指でつぶした。「このつぶれた方を吹くの」、シャンにその草笛を渡す。シャンが吹き出すと、ブーと鳴る。
「やった。ダクラーねえちゃんよりも大きい音がなった」
「シャンだけずるい。ねえちゃん、私にも作って」
「わかったわかった」
続く
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