投手の皆さん...肘にお慈悲を

2014年06月02日 | 井戸端会議

メジャーで激増!トミー・ジョン手術 今年18人 原因究明へ専門委設置

 

 トミー・ジョン手術の行列に並ぶ投手が後を絶たない。マーリンズは15日、エース右腕ホセ・フェルナンデス(21)が16日に右肘の靱帯(じんたい)修復手術を受けると発表した。全治12~18カ月。米複数メディアによれば、大リーグ機構のセリグ・コミッショナーは、この通称「トミー・ジョン手術」を受ける選手の増加傾向に危機感を抱き、専門委員会を設立して原因を調査中と明かした。今年に入って同手術を受けるメジャー投手は18人目。あと1人で昨季全体の数字と並ぶ。

 日進月歩のスポーツ医学でも、雪崩のような肘の故障増加を止められない。マーリンズは、昨季新人王のフェルナンデスが肘の靱帯(じんたい)を移植するトミー・ジョン(TJ)手術を受けると発表。レドモンド監督は「注意深く守ってきたのに…。球数も起用法も細心の注意を払った。なのに、誰も答えが分からないんだ」と言葉を絞り出した。

 悲嘆するのも無理はない。昨季はメジャーデビューから7試合の球数を85以下、シーズンを通しても110以下を厳守。サイ・ヤング賞も射程圏内の成績だったが、シーズン投球回数が170イニングを超えた9月11日以降は登板させなかった。

 TJ手術を受ける選手は激増している。今年はメジャー18人目、マイナーも含めれば35人目だ。米スポーツサイトのブリーチャーリポートによれば、昨年7月の時点でメジャー全360投手のうち、3分の1以上に相当する124投手が手術を経験。1990年代はマイナーも含めて年平均5選手だったのが、00年以降は毎年25人以上、直近5年間は平均52人に膨れ上がっている。

 米放送局ESPN(電子版)は「大リーグが“伝染病”となったTJ手術の答えを模索」と報道。セリグ・コミッショナーは、専門医師らで構成された委員会で原因を究明中と明かしたが、「今は誰も答えを持っていない。全員の意見が違う」と原因究明は容易ではないことを示唆した。

 TJ手術の生みの親、ジョーブ博士は生前に「登板過多が原因」と明言。著名なアンドリュース医師も昨年、「シーズンスポーツだった野球を、今は年中プレーする弊害が大きい。現状では肉体的なリカバリーの時間が全くない」と話した。

 有望な野球少年は年中遠征で全米を飛び回り、プロ入り後も、メジャー昇格を目指してオフは秋季リーグやウインターリーグでプレーする。昨年、米野球ニュースサイトのハードボールタイムズでは「体が出来上がる24歳までに直球とスライダーに頼る剛腕投手は、特にTJ手術のリスクが高くなる」との研究結果が発表された。世界の野球界のためにも、専門委員会の一日も早い原因解明が待たれる。(中日スポーツより)

トミー・ジョン手術

1974年、フランク・ジョーブ博士によって考案された手術の通称。肘の損傷した靭帯を修復するため、もう一方の肘や太ももなどから正常な靭帯を移植する。通称は、同年にトミー・ジョン元投手が初めて施術されたことから。手術から5年以内は靭帯の強度が上がるが、それ以降は元に戻るため、再手術に至るケースも多い。日本人大リーガーでは、桑田真澄さん、大塚晶文さん、和田毅さん、藤川球児さん、松坂大輔さん、田沢純一さんらが受けた。

 

吉見 一起のトミー・ジョン

吉見の場合手術は昨年6月4日だったため、手術からの一軍復帰登板まででは1年を切る可能性もある。そうなると、11年6月10日に手術を受け、365日目の12年6月9日にメジャー復帰を果たした松坂大輔(現メッツ)を上回る。ただし、復帰即完全復活ではないことはわれわれファンも肝に銘じておかねばならない。アメリカでは、2013年にベースボール・アナリストのブライアン・カートライトとジェフ・ジマーマンが『トミー・ジョン手術後に何が起こるか?』という論文を発表した。そこでは、同手術を受けた投手の追跡調査により、故障前の球速が戻るのは概ね復帰2年目だということと、故障前を越える成績を残すのは3年目だということが統計学的に示されている。実際、松坂の場合も復帰初年度は復調の兆しが見えず、2年目の昨季はメッツでメジャー復帰を果たした終盤にようやく片鱗を見せ、救援に転向している今季に快投を見せている。限られたタマ数とはいえすでに手術前を上回る球速を記録した吉見には、投壊ドラゴンズの救世主としてフル回転を期待したいのは山々だが、少なくとも今季は過大な負担は禁物だろう。

一方、好材料もある。前述の論文では、トミー・ジョン手術を経験した投手は加齢による衰えが手術未経験の投手よりも緩やかであるとしている。そう言えば、トミー・ジョンは33歳で復帰を果たすと46歳まで現役を続け、その間164勝を挙げた(通算では288勝)。現在29歳の吉見にも、長期にわたる活躍を期待したいものだ。


 

【中日】吉見、2軍で6・11実戦復帰も

スポーツ報知 5月31日(土)7時7分配信

 腰を痛めていた中日・吉見一起投手(29)が、6月11日のウエスタン・リーグ、阪神戦(ナゴヤ)で実戦復帰する可能性があることが30日、分かった。29日に投球練習を再開し「3試合ぐらい投げさせてもらった後(1軍から)呼んでもらえるようにしたい」と話していた。順調なら昨年5月以来の1軍登板は、7月4日の巨人戦(東京D)での先発となる。吉見は昨年6月に右肘を手術。今月1日に2軍戦に登板も、その後に腰を痛めた。

よしみん、今度こそ