産地交流部会&食素材研究部会コラボ企画
「石巻☆産地見学ツアー」レポート
“あなたの知らないベビーリーフの世界 その2”&“あなたの知らない在来ネギの世界”
産地交流部会&食素材研究部会コラボ企画「石巻☆産地見学ツアー」を11月12日(日)に実施し、10名の会員が参加しました
最初に訪れたのは株式会社東部環境 良葉東部(イ―ハトーブ)さんのハウスです
呼び名に覚えのある方もいらっしゃるのでは?そうです。今年1月のベビーリーフ勉強会でお話していただいた、
良葉東部統括部長の佐藤和隆氏にベビーリーフハウスを案内していただきました。
ということで、レポート前半は“あなたの知らないベビーリーフの世界 その2”をお届けします
〇あなたの知らないベビーリーフの世界 その2
東部環境さんのハウスは東日本大震災の津波で水没した大川中学校跡地に作られ、現在4年目です。
ハウスの中には手前からベビーリーフの赤ちゃん、奥に向かってベビーリーフの大人(?)が成育順に整然と並んでいました。
ベビーリーフが植えつけられているスポンジをめくってみると根が大変長く、本数もみっちりと多いことに驚きました。肥料を含んだ水を根から沢山吸収して成長しているのですね。
・この時期は播種から25日ほどで収穫するが、5~6月は成長が早いので2週間で収穫すること。
・ハウス内の温度は24、5度が適温で窓を開けて調整していること。冬季は水温を15、6度にして室温を保っていること。
・日照条件が一番影響し、今年の夏は曇天が多く苦労したこと。
・無農薬栽培のため、病気対策への気配りは慎重になること。
・日持ちをよくするために重要なのは肥料を適量与えること。そして茎から一本一本丁寧に手切りすること。
…などなど、詳しく説明してもらいました
水耕栽培なので水の使用量は相当かと思いましたが、ろ過装置を使って水を循環させているので蒸発分を足す程度で済むそうです。
さすが太陽光や風力発電など“地球とひとに優しい企業”の東部環境さん環境に配慮したノウハウを生かして水耕栽培にも取り組んでいるのですね
現在20代から50代の女性が働いていますが、人材確保が大変だとか。
家庭と仕事のバランスがとれないと働き続けることが難しい事情を考慮し、女性が働きやすい環境を整えようと努めていらっしゃるそうです。
「生産を継続するためには働き手側のことも含めて考えなければならない。」とのお話が印象的でした
帰りにはパック詰めになったベビーリーフのパック詰めをお土産にいただきました。ピノグリーン、ミズナ、ルッコラ、ビートなど7、8種がミックスされていて彩りがよく、多くの栄養素をバランスよく摂取できます。参加の皆さんはおしゃれなサラダを楽しんだことでしょう。
佐藤さん、丁寧なご対応ありがとうございました
次に向かったのは皿貝地区。ここには伝統野菜の“皿貝ねぎ”を栽培している農家さんがいます
参加者のほとんどが初めて聞いた名前で、その姿形にもビックリでした。ということで、レポート後半は“あなたの知らない県在来ねぎの世界”をお届けします。
〇あなたの知らない県在来ねぎの世界
畑の畝にはねぎがびっしり生えていて、その青々とした眺めに圧倒されました
「ねぎってこんなに密集して植えるものだった?」と疑問に思いましたが、一つの根からどんどんと何本にも分かれるのが皿貝ねぎの特徴です
何本もの根が絡まっているので畑からは束で抜くことになり、男性でもなかなかの力仕事のようでした。
一般的に分岐して成長するねぎはねぎ坊主が出来ませんが、皿貝ねぎはねぎ坊主が出来る珍しい品種です。
細めで柔らかく、甘みが強く香りもよいため、刻んで鰹節をあえ、さっと醤油をかけていただくのがお薦めとのこと。
温かいご飯に載せて食べると、食欲倍増間違いなしです
また、いただいた皿貝ねぎをだし汁で軽く煮て、卵でとじて食べたところ、優しい甘さがじんわりと体にしみてきました
県内にこのようなタイプの在来種があるとは新しい発見でした。栽培している農家も少ないとのことで、本当に珍しいものを見せていただき貴重な体験でした。
このような知られていない在来種がまだあるかもしれませんので、これからも産地見学ツアーを楽しみにしたいと思います
レポート 食素材研究部会 成田浩子