千穐楽だったのですが、久々に歌舞伎を観たなという第三部に、何やらゴージャスな体験だった気がする玉三郎の第四部。ということで、簡単な感想です。
第三部が吉右衛門の「引窓」。またかという気もするんだけど、南与兵衛役が菊之助だってことが目新しいですね。で、吉右衛門は例によって文句無しなのでともかく、雀右衛門のお早と東蔵のお幸の嫁姑が落ち着いた感じで、「ああ歌舞伎を観た!」という気にさせてくれました。特に雀右衛門かな、廓出身で情の深い感じと廓言葉を使ってしまっても屈託のないニュアンスがよいなと。
で、年齢のバランスのこともあるんだけど、いつもの吉右衛門一座に、菊五郎劇団の菊之助が客演したみたいな、妙なしっくりしない感じがあって、詳しくは渡辺保さんの批評を読んでいただくとして、わたしとしては、世代の違いも大きいのかなとは思いました。というのも、菊之助の与兵衛自体は悪くなかったですから。この配役だと、今は亡き三津五郎がこの役をやっていればピッタリかなという気がしたので。(芸風的にも。)
次が、玉三郎の「口上&鷺娘」。通常の鷺娘ではなくて、玉三郎が歌舞伎座のセリやスッポン、舞台裏の構造から揚幕と鳥屋(とや)の中まで自ら移動しながら、舞台正面のスクリーンに上映ささせて解説し、その都度、過去の「将門」や「阿古屋」の映像と今の自分自身を共演させながら進行していくという、実にゴージャスなものでした。個人的には、国立劇場の歌舞伎鑑賞教室より勉強になりましたね。今更ながら、「そうだったのか!」という発見があって。
玉三郎曰く、「踊り納めた演目だと、今の自分には一部分しか踊れない」ということで、映像との共演という方法を採ったのだそうだけど、「そうか、踊り納めで、フルではもう観れないのか」ということを本人の口から聞かされた気がして、ちょっと寂しい気もしましたね。そういう意味では、玉三郎を追いかけ続けたファンの思い出と今の玉三郎が共演しているという感じはしました。
もっとも、渡辺保さんが批評で書いている、今の玉三郎と過去の玉三郎が共演すると、過去の玉三郎の美しさに今が負けているように見えてしまうというような印象は、わたしは持ちませんでした。ただ、わたしの席が遠いからかもしれないのと、今の玉三郎の踊っている時間が比較的短いからかもしれませんが・・・。
で、最後は鷺娘の最後の下りを、今の玉三郎が踊るんだけど、何だか息を飲みました。やはり、生の舞台はよいなと。そして、千穐楽だからなのか、カーテンコールの回数が予想外に多い!最後は皆さま、スタンディングオベイションでした。コロナ下の今年観たという意味も込めて、記憶に残る一夜でしたね。では!
※注:「踊り納め」というのは、もう踊らないということです。長い舞踊だと体力もいるので、「一世一代」とかいって、踊り納めの公演をして、もう踊らない、踊れないということですね。玉三郎はもともと足の悪い人だし、今年で70歳!個人的にはもう一度「娘道成寺」が観たいけど、若手との「二人道成寺」くらいまでなんでしょう。しかし、「鷺娘」も「将門」も踊り納めとは、寂しいですね。
第三部が吉右衛門の「引窓」。またかという気もするんだけど、南与兵衛役が菊之助だってことが目新しいですね。で、吉右衛門は例によって文句無しなのでともかく、雀右衛門のお早と東蔵のお幸の嫁姑が落ち着いた感じで、「ああ歌舞伎を観た!」という気にさせてくれました。特に雀右衛門かな、廓出身で情の深い感じと廓言葉を使ってしまっても屈託のないニュアンスがよいなと。
で、年齢のバランスのこともあるんだけど、いつもの吉右衛門一座に、菊五郎劇団の菊之助が客演したみたいな、妙なしっくりしない感じがあって、詳しくは渡辺保さんの批評を読んでいただくとして、わたしとしては、世代の違いも大きいのかなとは思いました。というのも、菊之助の与兵衛自体は悪くなかったですから。この配役だと、今は亡き三津五郎がこの役をやっていればピッタリかなという気がしたので。(芸風的にも。)
次が、玉三郎の「口上&鷺娘」。通常の鷺娘ではなくて、玉三郎が歌舞伎座のセリやスッポン、舞台裏の構造から揚幕と鳥屋(とや)の中まで自ら移動しながら、舞台正面のスクリーンに上映ささせて解説し、その都度、過去の「将門」や「阿古屋」の映像と今の自分自身を共演させながら進行していくという、実にゴージャスなものでした。個人的には、国立劇場の歌舞伎鑑賞教室より勉強になりましたね。今更ながら、「そうだったのか!」という発見があって。
玉三郎曰く、「踊り納めた演目だと、今の自分には一部分しか踊れない」ということで、映像との共演という方法を採ったのだそうだけど、「そうか、踊り納めで、フルではもう観れないのか」ということを本人の口から聞かされた気がして、ちょっと寂しい気もしましたね。そういう意味では、玉三郎を追いかけ続けたファンの思い出と今の玉三郎が共演しているという感じはしました。
もっとも、渡辺保さんが批評で書いている、今の玉三郎と過去の玉三郎が共演すると、過去の玉三郎の美しさに今が負けているように見えてしまうというような印象は、わたしは持ちませんでした。ただ、わたしの席が遠いからかもしれないのと、今の玉三郎の踊っている時間が比較的短いからかもしれませんが・・・。
で、最後は鷺娘の最後の下りを、今の玉三郎が踊るんだけど、何だか息を飲みました。やはり、生の舞台はよいなと。そして、千穐楽だからなのか、カーテンコールの回数が予想外に多い!最後は皆さま、スタンディングオベイションでした。コロナ下の今年観たという意味も込めて、記憶に残る一夜でしたね。では!
※注:「踊り納め」というのは、もう踊らないということです。長い舞踊だと体力もいるので、「一世一代」とかいって、踊り納めの公演をして、もう踊らない、踊れないということですね。玉三郎はもともと足の悪い人だし、今年で70歳!個人的にはもう一度「娘道成寺」が観たいけど、若手との「二人道成寺」くらいまでなんでしょう。しかし、「鷺娘」も「将門」も踊り納めとは、寂しいですね。
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