切られお富!

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十月の歌舞伎座、第一部&第二部に行ってきた。

2020-10-04 00:00:50 | かぶき讃(劇評)
今年も残り三ヶ月ですね。ということで、歌舞伎座に行ってきました。第一部は「京人形」、第二部は「角力場」。ということで、簡単に感想。

第一部の「京人形」は芝翫と七之助でしたが、七之助は見た感じもクールな女方だから京人形に合ってますね。芝翫の左甚五郎も悪くなかったですね。若い頃は硬い感じでこういう役はあってなかった気もしたけど、最近は柔らか味みたいなもののありますしね。福之助の奴は若いなあ〜というのと、井筒姫の新悟も花道の姿なんか良かったですよね。

で、この演目38分の舞踊劇ですが、この尺の舞踊劇だと、観客は割高感がるのか、少なくともわたしの席の周辺はかなり空いてました。演者のせいというよりは、マーケティングのせいだと思います。

第二部は、「角力場」。先月が同じ双蝶々曲輪日記の「引窓」だったから、幕の順番からいうと遡った感じですが、まあいいかと言うことで・・・。とはいえ、先月の濡髪が吉右衛門で、吾妻が雀右衛門だから、多少比べてしまいはしますよね。

で、今回の収穫は、勘九郎の二役、放駒長吉と山崎屋与五郎。長吉は元気のよい役だけど、やりすぎると馬鹿っぽくなってしまう。でも、勘九郎は折り目正しい人なので、真面目な好青年の長吉に見える。わたしが観た中では、歯切れのよかった富十郎の長吉が記憶に残っているし、確か錦之助が襲名の時にやったこの役もよかった記憶があるんだけど、勘九郎は良い意味で若々しい力感がありました(特に最後の決まるところなんか。)。

そして、与五郎の方はつっころばし(柔弱でやや滑稽味を帯びた立役のこと)なんだけど、今は亡き勘三郎が演じているみたいな、柔らかな台詞回しで、それでいて崩れすぎず、よかったですね(目をつむっていたら、勘三郎だと思ったかもしれない。)。この二役誰に教わったのか気になりました。吉右衛門なのかな?

濡髪は白鷗で、芝居小屋から出てくる姿からして、貫禄十分。時折見せる台詞の大音声といい、よさもあるんだけど、いかんせんこの人の最近の芝居って、やけに台詞回しが年寄り臭いんですよね。濡髪は現役の最強力士という設定なんで、もっと若々しくやってもいいんじゃないかと思いました。だって、引退したやくざの親分じゃないんですからね。時折みせる台詞の迫力なんか、若手の元気な役者も敵わないくらい迫力があるんですから、何だかもったいないです。

吾妻は高麗蔵で、少々地味ながら落ち着いた吾妻という印象。

ということで、「角力場」が収穫だったな~という感想でした。




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