切られお富!

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『小泉政権―非情の歳月』 佐野眞一 著

2006-09-04 00:02:15 | 政治少女死なず(反アベ宣言!)
先日、『TVウワサの眞相』にノンフィクション作家・佐野眞一氏が出演、番組のお題「小泉政治と安倍新政権で日本破局への途」に絡めて自著であるこの本について語っていたのだけど、妙に気になってしまって、ついつい買ってしまいました。この本は、小泉を取り巻く人間たちから、小泉政権と小泉純一郎の特異性を照射したという異色の一冊。特に興味深いのは、これまで語られてこなかった二人の人物、小泉の姉で秘書である小泉信子と、小泉の元義兄で前科十五犯の竹本という男の話だ。

TVウワサの眞相

小泉の次姉・信子は、小泉政権「影の女帝」といわれる女性で未婚。まったく、メディアには登場したことがなく、写真もほとんどないという謎めいた女性で、この本には、若い頃の彼女の写真が載っているのだけど、フランスの女優みたいなちょっとした美人。

几帳面で歌舞伎やクラシックには造詣が深く、玄人はだしだというから、小泉はこの姉から随分影響を受けているのかもしれない。一説には、弟とは比較にならないほど優秀との噂もあるそうで、孤独を好む小泉も、この姉と話をした後は機嫌がいいのだとか・・・。

色白で黒い服を好み、秘密主義者でクレオパトラカットの髪形、そして歌舞伎好きといえば、わたしも若干のシンパシーを感じなくもないが・・・。

一方、小泉の長姉の元夫で、離婚後転落人生を歩み、窃盗などで前科十五犯、現在も服役中という竹本という男の話は、この本で初めて知った。(文庫版で加筆されたのは主にこの男の事。)

幼稚舎からの慶応ボーイだった男が、小泉の姉と離婚後、自暴自棄の生活を送り、窃盗の常習犯になっていたというのはスキャンダラスな話だけど、こういう人物を見つけ出し、インタビューした佐野眞一もやっぱり凄い。

本人の言い分によると、離婚の原因は小泉家にあるそうだけど、このあたりの事情は小泉自身の離婚のケースとちょっと似ているのかもしれない。

詳しい話は、この本を読んで頂いたほうがいいのだけど、わたしの印象では、小泉家の閉鎖的な女系家族ぶりって、歌舞伎の門閥なんかを髣髴とさせるものがあるような気がする。(たとえば、三津五郎のところとか。)

小泉政権の特異性を語ろうとすると、小泉自身のパーソナリティに行き着く外ないところがあるけれど、とにかく不思議な人ばかり出てくる本で、小泉を支持・不支持関係なく、興味深く読める本です。

但し、わたしがこの本の登場人物で一番気になったし、シンパシーすら感じるのは、地獄から這い上がってきたような男・飯島秘書官。障害者を身内に持つ、一番人間臭いこの男が、弱者切捨ての小泉政権中枢にいるというのが、なんとも歴史の皮肉、運命の不可思議さという気がするんですが・・・。

後味は良くないながら、もうすぐ終わる小泉政権を考える上でも必読の書ではないでしょうか?オススメ!!


小泉政権―非情の歳月

文藝春秋

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