
極めて簡単に感想っ。(のつもり…。)
①豊志賀の死
元は落語の怪談噺「真景累ヶ淵」の一部なのですが、これは全編通すととっても長くて、落語でも歌舞伎でも「豊志賀の死」の部分ばかりやりますね。
でも、この噺自体を楽しむのだったら、絶対に全編通したストーリーを知るべきです!
三遊亭円生が全編を録音していますから、コレを聞くことオススメします!(もちろん、全部!)
または、ちょっとストーリーを変えてあるけど、中田秀夫監督、黒木瞳、尾上菊之助主演の映画『怪談』を観るのが手っ取り早いかな~。
・映画『怪談』の感想
で、肝心の芝居の話に移りますが、「真景累ヶ淵」全編を知っている者の眼から見ると、歌舞伎のこの演出は正直いって浅い!
顔が変形し、性格も悪い女・豊志賀。彼女を使った喜劇&怪談ってあたりが今回も含めて歌舞伎の演出ですが、そもそも原作はそういう話じゃないんですよ~。
キレイな年増女・豊志賀と若い新吉の年の差恋愛からはじまり、新吉の深い因縁から豊志賀の美貌が失われていく…。
今回の芝居の福助の演技だと、なんで新吉が豊志賀と深い仲になったのか、全然わからないし、観客も豊志賀の妄執の意味がよく理解できない。
もちろん、「観客が笑って怖がればOKなんだよ、この芝居は!」ということであればコレでよいのでしょうが、それじゃあ、原作が気の毒ってものですよ!
わたしなら、福助は誇張なく、もっと自然に芝居をして、普通の女の嫉妬の演技にまで自分を押し殺すべきだったと思うなあ~。その方が、あの醜い容貌が、いま普通に生きている女性のなかにもある、「心の中の般若の面」みたいに解釈できたりもするでしょから!
また、新吉役の勘太郎は、喜劇の主人公めいていて、色気がない。色気がないので町娘との浮気(?)にも艶っぽさが出ないんですよね~。
というわけで、恐怖に悲しみが足りない、というのがわたしの感想なのでした!
②船弁慶
勘三郎の静御前と知盛が素敵でした。
とかく、「船弁慶」というと、若い演者が長刀を振り回す演目みたいになってしまいますし、実際、最近の体格のいい若手が長刀を振り回すと観客も湧いたりするんですよね~。
でも、今回の勘三郎はどちらの役も静謐な雰囲気があって、わたしには面白かった!
静御前では、いつもの世話物の下品な女形ぶりが嘘の様に、気品溢れる踊りっぷり。
わたしは普段今の勘三郎の悪口ばかり書いていますが、このひとの舞踊は大好きなんですよ。それは、運動神経のよさそうな動きもさることながら、気品があるから。それに、怖さみたいなものも感じる。たとえば、「法界坊」の最後「双面」の踊りなんて、鬼気迫るものがありますからね~。で、今回の静御前も静謐かつどこか怖さがあった。
一方、勇壮な知盛の方。勘三郎はご承知の通り小柄なひとだけど、その分、この役をたんなる長刀を振り回す役にはしてませんでしたね~。
たぶん、今回の勘三郎の知盛なら、たとえ長刀がなかったとしても、勇壮で殺気だった知盛のままだったと思いますね。それくらい、静御前とはまた違った怖さがあった。
ところで、他の配役だと、福助の義経がよかったですね。わたしはこの人がたまにやる立ち役は結構好きです。それは、本職の女形のときより品があるから。以前やった、「先代萩」の頼近も結構好きでしたしね~。梅幸とも違った貴公子役の役者になっていくのかも。少し、梅玉さんぽい感じもしますけどね~。
以上、かんた~んに、感想でした!
①豊志賀の死
元は落語の怪談噺「真景累ヶ淵」の一部なのですが、これは全編通すととっても長くて、落語でも歌舞伎でも「豊志賀の死」の部分ばかりやりますね。
でも、この噺自体を楽しむのだったら、絶対に全編通したストーリーを知るべきです!
三遊亭円生が全編を録音していますから、コレを聞くことオススメします!(もちろん、全部!)
または、ちょっとストーリーを変えてあるけど、中田秀夫監督、黒木瞳、尾上菊之助主演の映画『怪談』を観るのが手っ取り早いかな~。
・映画『怪談』の感想
で、肝心の芝居の話に移りますが、「真景累ヶ淵」全編を知っている者の眼から見ると、歌舞伎のこの演出は正直いって浅い!
顔が変形し、性格も悪い女・豊志賀。彼女を使った喜劇&怪談ってあたりが今回も含めて歌舞伎の演出ですが、そもそも原作はそういう話じゃないんですよ~。
キレイな年増女・豊志賀と若い新吉の年の差恋愛からはじまり、新吉の深い因縁から豊志賀の美貌が失われていく…。
今回の芝居の福助の演技だと、なんで新吉が豊志賀と深い仲になったのか、全然わからないし、観客も豊志賀の妄執の意味がよく理解できない。
もちろん、「観客が笑って怖がればOKなんだよ、この芝居は!」ということであればコレでよいのでしょうが、それじゃあ、原作が気の毒ってものですよ!
わたしなら、福助は誇張なく、もっと自然に芝居をして、普通の女の嫉妬の演技にまで自分を押し殺すべきだったと思うなあ~。その方が、あの醜い容貌が、いま普通に生きている女性のなかにもある、「心の中の般若の面」みたいに解釈できたりもするでしょから!
また、新吉役の勘太郎は、喜劇の主人公めいていて、色気がない。色気がないので町娘との浮気(?)にも艶っぽさが出ないんですよね~。
というわけで、恐怖に悲しみが足りない、というのがわたしの感想なのでした!
②船弁慶
勘三郎の静御前と知盛が素敵でした。
とかく、「船弁慶」というと、若い演者が長刀を振り回す演目みたいになってしまいますし、実際、最近の体格のいい若手が長刀を振り回すと観客も湧いたりするんですよね~。
でも、今回の勘三郎はどちらの役も静謐な雰囲気があって、わたしには面白かった!
静御前では、いつもの世話物の下品な女形ぶりが嘘の様に、気品溢れる踊りっぷり。
わたしは普段今の勘三郎の悪口ばかり書いていますが、このひとの舞踊は大好きなんですよ。それは、運動神経のよさそうな動きもさることながら、気品があるから。それに、怖さみたいなものも感じる。たとえば、「法界坊」の最後「双面」の踊りなんて、鬼気迫るものがありますからね~。で、今回の静御前も静謐かつどこか怖さがあった。
一方、勇壮な知盛の方。勘三郎はご承知の通り小柄なひとだけど、その分、この役をたんなる長刀を振り回す役にはしてませんでしたね~。
たぶん、今回の勘三郎の知盛なら、たとえ長刀がなかったとしても、勇壮で殺気だった知盛のままだったと思いますね。それくらい、静御前とはまた違った怖さがあった。
ところで、他の配役だと、福助の義経がよかったですね。わたしはこの人がたまにやる立ち役は結構好きです。それは、本職の女形のときより品があるから。以前やった、「先代萩」の頼近も結構好きでしたしね~。梅幸とも違った貴公子役の役者になっていくのかも。少し、梅玉さんぽい感じもしますけどね~。
以上、かんた~んに、感想でした!
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