一見、もっともらしいんだけど、とんでもない条例。現実から乖離した条例。そんな印象です。わたしの立場はモチロン反対!というわけで、簡単に感想。
東京都の性描写規制条例が成立 出版界反発「慎重に運用」(共同通信) - goo ニュース
都、過激性描写漫画規制 慎重な運用で合意 3会派一致、条例成立へ(産経新聞) - goo ニュース
「過激性描写マンガを規制」というと、聞こえはいいんだけど、問題点はふたつ。
①実際には、いわゆるエロ雑誌・エロマンガの類は一般の雑誌・マンガとはスペースを分けられており、この上、この条例が通るということは、今まで通常の売り場スペースで売られていたマンガがエロ漫画コーナーに追いやられる可能性があるということ。(つまり、この条例の必要性を説いている人たちは本屋に最近行ってないんじゃないですかね?すくなくとも、東京在住のわたしがよく行く本屋さんは、みんないわゆる「ゾーンニング」をやっています。だから、説教めかしているくせに、本も買わない人たちが主張しているんでしょうね。)
②条例のいう「不健全図書」の定義が曖昧で、拡大解釈される可能性があるということ。
①と②を総合して考えると、BL系なんか標的にされかねないし、「法律に触れる性行為はダメ」といわれたって、人間を描くということは、そういう行為まで含みこんだ<人間の全体像>を描くってことでしょ?だから、どういう基準になるのかわからないけど、厳密にいったら、手塚治虫の中期(不遇期?)とか少女漫画の24年組あたりだって、「不健全図書」になりかねない。
で、なんだかいやらしいのが、前の条例案のときは「実写」や「小説」も含まれていたのに、今回は除外されたというところ。それに加えて、石原慎太郎&猪瀬直樹の差別発言&マンガ蔑視発言が登場。以下の発言なんか、どう思いますか?
石原:「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」
猪瀬: 「マンガの関係が好きな人のなかには人生が行き止まりと感じている人が多いという印象を受けます。生きている女を口説きなさない。瞬間、瞬間、言うことが予想外に変わるから、そのほうがおもしろくて未知で愛おしいよ」
慎太郎の差別発言は論外にしても、猪瀬なんかは、マンガより文学(活字)の方がエライとか本気で考えているんでしょうね。だけど、猪瀬の太宰治を追った作品『ピカレスク』に「井伏鱒二はたいした作家じゃない」という意味のくだりがあって、「このひと、文学センスないんだな~」と思ったものでした。一見凡庸にして非凡な文章の味がわからない二流文学青年なんだろうなあ~ってことなんだけど、前述の発言で確信しましたよ。間違いないって。
また、慎太郎に関しては、性犯罪にまつわる作品が過去にいろいろあって、その中でも究極なのは「完全な遊戯」という作品でしょう。当時文壇から酷評された作品で輪姦を扱っていますが、この小説を擁護したのは三島由紀夫。簡単にいえば、「モラルの実験」という意味での評価だったようですが、興味のある人は「三島由紀夫 最後の言葉」というCDをどうぞ。三島が自分の声で語っています。
ところで、わたしが問題を感じている点に、慎太郎を批判している側の批判方法がある。
簡単に言うと、「お前の書いた『完全な遊戯』や『処刑の部屋』をマンガ化したら、有害図書になるぞ」というたぐいの批判なんだけど、これって全然有効じゃないですよ。というのも、条例の改正案を見ればわかるけど、「小説は芸術的にマンガより上」と慎太郎は決めつけているに違いないから。だから、「マンガ化なんか許諾しない」とか「言語による表現は高尚だ」とか言うんじゃないですか?
だから、わたしなら、実際の書店の販売状況など、具体的な話から入る方がよいと思う。半端な芸術論争なんて抽象的な論議はするべきじゃないですね。そして、具体的な作品を通して、帰納法的にこの条例の問題点を追及した方が条例支持層を説得できると思うんだけど、どうでしょう?
本当に子供がエロマンガを買える状況にあるのか?立ち読みできる状況にあるのか?少なくとも、わたしの知る範囲ではそんなものないですね!
そして、さらに注意が必要なのは、この条例を実行するための機関なり委員なりのポジションが利権になっていないのかという点。規制が誰かを食わしているってパターンは車の免許なんかが典型でしょ?だから、利権問題として追求したら、もうちょっと世の中的な波及をしていきそうなんだけど、誰かやってくれないかな、弁護士さんあたり!
それと、最後にどうしても言いたい!前の審議の時には反対したのに今回は賛成した民主党!あなた方には、本当にがっかりです!このことだけじゃあないけど、民主党は自民党以上に骨がない!自民党なんて一生支持する気はないけれど、民主党のさまざまな変節にはもうウンザリです。筋を通すだけでも、もうちょっと支持率が変わってきますよ。このままの姿勢なら、少なくとも党名は変えた方がよいですね。
というわけで、取り留めもなく書きましたが、今後もこの問題、注目しています。しかし、慎太郎、4選って噂は本当なんですか?!世も末ですよ!
注:上記の映画はタイトルこそ「完全な遊戯」ですが、同名タイトルの映画化ではありません。タイトルだけ借りて、内容は同じく慎太郎の「遊戯の終点」が原作。映画は傑作です。
東京都の性描写規制条例が成立 出版界反発「慎重に運用」(共同通信) - goo ニュース
都、過激性描写漫画規制 慎重な運用で合意 3会派一致、条例成立へ(産経新聞) - goo ニュース
「過激性描写マンガを規制」というと、聞こえはいいんだけど、問題点はふたつ。
①実際には、いわゆるエロ雑誌・エロマンガの類は一般の雑誌・マンガとはスペースを分けられており、この上、この条例が通るということは、今まで通常の売り場スペースで売られていたマンガがエロ漫画コーナーに追いやられる可能性があるということ。(つまり、この条例の必要性を説いている人たちは本屋に最近行ってないんじゃないですかね?すくなくとも、東京在住のわたしがよく行く本屋さんは、みんないわゆる「ゾーンニング」をやっています。だから、説教めかしているくせに、本も買わない人たちが主張しているんでしょうね。)
②条例のいう「不健全図書」の定義が曖昧で、拡大解釈される可能性があるということ。
①と②を総合して考えると、BL系なんか標的にされかねないし、「法律に触れる性行為はダメ」といわれたって、人間を描くということは、そういう行為まで含みこんだ<人間の全体像>を描くってことでしょ?だから、どういう基準になるのかわからないけど、厳密にいったら、手塚治虫の中期(不遇期?)とか少女漫画の24年組あたりだって、「不健全図書」になりかねない。
で、なんだかいやらしいのが、前の条例案のときは「実写」や「小説」も含まれていたのに、今回は除外されたというところ。それに加えて、石原慎太郎&猪瀬直樹の差別発言&マンガ蔑視発言が登場。以下の発言なんか、どう思いますか?
石原:「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」
猪瀬: 「マンガの関係が好きな人のなかには人生が行き止まりと感じている人が多いという印象を受けます。生きている女を口説きなさない。瞬間、瞬間、言うことが予想外に変わるから、そのほうがおもしろくて未知で愛おしいよ」
慎太郎の差別発言は論外にしても、猪瀬なんかは、マンガより文学(活字)の方がエライとか本気で考えているんでしょうね。だけど、猪瀬の太宰治を追った作品『ピカレスク』に「井伏鱒二はたいした作家じゃない」という意味のくだりがあって、「このひと、文学センスないんだな~」と思ったものでした。一見凡庸にして非凡な文章の味がわからない二流文学青年なんだろうなあ~ってことなんだけど、前述の発言で確信しましたよ。間違いないって。
また、慎太郎に関しては、性犯罪にまつわる作品が過去にいろいろあって、その中でも究極なのは「完全な遊戯」という作品でしょう。当時文壇から酷評された作品で輪姦を扱っていますが、この小説を擁護したのは三島由紀夫。簡単にいえば、「モラルの実験」という意味での評価だったようですが、興味のある人は「三島由紀夫 最後の言葉」というCDをどうぞ。三島が自分の声で語っています。
ところで、わたしが問題を感じている点に、慎太郎を批判している側の批判方法がある。
簡単に言うと、「お前の書いた『完全な遊戯』や『処刑の部屋』をマンガ化したら、有害図書になるぞ」というたぐいの批判なんだけど、これって全然有効じゃないですよ。というのも、条例の改正案を見ればわかるけど、「小説は芸術的にマンガより上」と慎太郎は決めつけているに違いないから。だから、「マンガ化なんか許諾しない」とか「言語による表現は高尚だ」とか言うんじゃないですか?
だから、わたしなら、実際の書店の販売状況など、具体的な話から入る方がよいと思う。半端な芸術論争なんて抽象的な論議はするべきじゃないですね。そして、具体的な作品を通して、帰納法的にこの条例の問題点を追及した方が条例支持層を説得できると思うんだけど、どうでしょう?
本当に子供がエロマンガを買える状況にあるのか?立ち読みできる状況にあるのか?少なくとも、わたしの知る範囲ではそんなものないですね!
そして、さらに注意が必要なのは、この条例を実行するための機関なり委員なりのポジションが利権になっていないのかという点。規制が誰かを食わしているってパターンは車の免許なんかが典型でしょ?だから、利権問題として追求したら、もうちょっと世の中的な波及をしていきそうなんだけど、誰かやってくれないかな、弁護士さんあたり!
それと、最後にどうしても言いたい!前の審議の時には反対したのに今回は賛成した民主党!あなた方には、本当にがっかりです!このことだけじゃあないけど、民主党は自民党以上に骨がない!自民党なんて一生支持する気はないけれど、民主党のさまざまな変節にはもうウンザリです。筋を通すだけでも、もうちょっと支持率が変わってきますよ。このままの姿勢なら、少なくとも党名は変えた方がよいですね。
というわけで、取り留めもなく書きましたが、今後もこの問題、注目しています。しかし、慎太郎、4選って噂は本当なんですか?!世も末ですよ!
完全な遊戯 [DVD] | |
クリエーター情報なし | |
日活 |
注:上記の映画はタイトルこそ「完全な遊戯」ですが、同名タイトルの映画化ではありません。タイトルだけ借りて、内容は同じく慎太郎の「遊戯の終点」が原作。映画は傑作です。
処刑の部屋 [DVD] | |
クリエーター情報なし | |
角川ヘラルド映画 |
三島由紀夫最後の言葉 (新潮CD 講演) | |
三島 由紀夫,古林 尚 | |
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近親相姦や強姦を「不当に」賛美・強調するのがいけない,ということは,それを「不当」ではなく,つまり<普通に>賛美・強調するのはOKということになります.しかし,規制する側が近親相姦や強姦を「普通に」賛美・強調することを認めるのかといえば.けっしてそんなことはないでしょう.かれら規制派(=ファシスト)は非倫理的な(と見られる)ことがらを槍玉にあげつつ,じつは自分たちに反対する言論を封じ込めることを画策しているわけで,これは民主主義や現行の日本国憲法に敵対する犯罪的な行為というほかありません.
「不当に」という限定詞にまどわされて賛成にまわった民主党は,オレオレ詐欺にだまされるような大馬鹿者というほかありません.
あけましておめでとうございます。
ご返事が遅くなりすいません。
おっしゃる通りだと思います。
結局、アメリカの共和党・民主党、イギリスの保守党・労働党みたいな、曲がりなりにもプリンシプルがあって政党が成り立っているという形じゃないんですよね、日本って。
だから、民主党に「民主」というアイデンティティはない!
で、日本で政権与党になるということは、自民党みたいな、ノープリンシプルな勝ち組利権の塊になるしかないということがよくわかりましたよ。
そのことを考えると、「小選挙区=二大政党制」がよいと言ってきたこの15年くらいの政治ってなんだったのか?
理念なき政党が二つあったって、議論にならない。
だから、今のぐずぐず状況って根が深いなあ~と思います。
(長くなっちゃったなあ~。)
本年もよろしくお願いいたします。
私としましては切られお富さんのおっしゃる②の理由で、
東京都の青少年保護条例改正案に反対です。
しかしながら、
①について、少し突っ込みます。
書店は店舗差があるので取り上げませんが、
コンビニなどの18禁雑誌の陳列については
問題無しとお考えでしょうか?
奇妙な純潔主義に染まった推進派の連中はともかく、
コンビニでの現実に概してこの条例に賛成している人も中にはいるようですね。
大方、卑猥な表紙の雑誌が大衆の目のつきやすい所におかれているのが
気に入らないからなんでしょうけど。
私としてはどうせいくら規制したって、
煙草のタスポみたいなことをやったとしても、
18禁漫画見るガキも、煙草吸うガキも幾らでもいることだし、
中途半端にこんな条例作るぐらいなら、臭いものに蓋をするのが大好きな、
日本の性教育を抜本的に見直した方がまだマシじゃないかと思います。
ところでこの条例を立案した東京都青少年・治安対策本部長の
倉田潤という人がいるようで、
http://www.asyura2.com/10/senkyo82/msg/503.html
ご存じでしたら戯事ですが参考までにどうぞ。
コメントありがとうございます。
>コンビニなどの18禁雑誌の陳列については
問題無しとお考えでしょうか?
わたし、実はコンビニでバイトしてたことがありますが、コンビニの18禁コーナーのマンガなんて大したことがないというのが実感です。
それに、コンビニに小学生がたむろしてエロマンガ読んでる光景なんてありえない印象だし…。
そういう意味で、わたしの答えは「問題なし」ということになりますね。
わたしに言わせれば、電車の週刊誌の中刷りを規制した方がよっぽどいいような気がします。電車通学している小学生って結構いるでしょ。特に都内なんかは。
それと、倉田って男が、鹿児島の冤罪事件に関わっていたという話は、わたしも別のところで聞いていました。
どうも、官僚にありがちな「大衆蔑視」主義者って感じはしますね。でも、わたしの知る限り、官僚(もしくは官僚目指している人)って無教養な人が多いんだけどなあ~、実感として。
以上、今後もヨロシクです!