切られお富!

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十月の歌舞伎座、第三部&第四部に行ってきた!

2020-10-24 17:43:39 | かぶき讃(劇評)
今年もはや二ヶ月余りですね。久々の仁左衛門の舞台に、先月に続いての玉三郎。ということで、簡単に感想です。

最初は仁左衛門一座の「石切梶原」。そもそも悪かろうはずがないんだけど、爽やかな口跡の仁左衛門の梶原を堪能しました。以前CDが出ていた十五代目羽左衛門の名台詞の音声もわたしは好きなんですが、あの羽左衛門ですらニヒルに感じるほど、仁左衛門の梶原は明朗で良いですよね。

浅黄幕がサッと落ちて、グッと前に進み出る仁左衛門の立ち姿だけで、もう、「今日は来て良かった!」という気になりました。個人的には、最後の花道の「ハッ」という掛け声の気合いが、いかにも待ちに待った歌舞伎座の舞台だったんだろうなあ〜という気がして、なんともいい気分でしたね。

脇だと、歌六の六郎太夫は良いんですが、最近の石切はいつもこの人ばかりだな〜という気もしなくはない。俣野の男女蔵が仁左衛門相手に立派だったのと、隼人の奴が、声も態度も太くなったというか、立派になって感心しました。ちょっと前まで、声も姿もまだ軽い感じがしていたのに、今日は見違えました。将来はこの人の梶原が観たいけど、その頃まで、わたしが元気なのかどうか、ちょっと微妙だな。

孝太郎の梢も、元気で若々しくて、存在感があったんですが、この役は人妻だってことを考えると、新妻って感じですかね。

というわけで、NHKで放送希望!素直に良かったです。

次は、玉三郎の「楊貴妃」。「なんで、あえて楊貴妃?」という気もしなくはないんですが、言ってもしょうがないんで・・・。

前月と同じく、玉三郎による歌舞伎座のバックヤード案内の後、今回のみの趣向で、玉三郎の楽屋が公開!鏡台の美しさが、ゴージャス過ぎて、日頃見ているテレビの被写体の貧しさは何なんだと思ってしまいました。やはり、カメラで撮るものは、ゴージャスでなくては!

で、舞台の方は、玉三郎が京劇関係者や裏方などとの交流や思い出(特に映画版『天守物語』の音楽も担当した唯是震一さんのことなど)を語り、要するに、これを語りたくて「楊貴妃」にしたかったんだろうな〜と思いました。で、個人的には、楊貴妃もよかったですよ。あの所作は継承者はいないだろうな〜、玉三郎だけのものだろうな〜と再確認できて。

ということで、鏡台だけでもお腹一杯くらいの中身でした。

以上、簡単ですが。


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