パリの高級住宅街パッシーにあるバルザック記念館に来たのは実は二度目。
私と文豪バルザックとの出会いは御多分に漏れず、鹿島茂さんの本からで、『世界文学のすすめ』(岩波文庫)のなかの「ゴリオ爺さん」を激賞している文章に触発されて読んでみたのが始まり。その後、『パリの王様』(鹿島茂著 文春文庫)を読んでバルザック個人にも興味を持つようになった。詳細は前記の本に譲るとして、私がバルザックに惹かれるのは、彼が不器用ながらも大変なワーカホリックだったということ。浪費家で借金王だった彼は一日20時間も原稿を書き続け、眠らない為にコーヒーをがぶ飲みしていたといいます。そして、二年前初めてここに来た時とても感動したのが、バルザックが愛用していたというイニシャル入りのコーヒー温め器。私もコーヒー好きであんまり寝ない方なのだけど、まだまだだなあなんて…。
バルザック記念館はバルザックがかつて住んでいた割と質素な家で、崖の上に門があり崖の下に向かって建物が続くというちょっと不思議な構造の建物。これは借金取りが訪ねてきたときに、崖の下の出口から逃げられるようにした為だとか。
今回の二年ぶりの訪問では幾つか変化があって興味深かったのですが、まず入り口に日本語の表示があったのに驚いた。鹿島茂氏監修の新訳バルザック選集の影響で訪ねる日本人が増えたということか?因みに館内にも日本語の解説書が置かれていました。そして、以前3ユーロほど取られた入館料が無料に変更。これはちょっと嬉しかったな。でも、以前は無料でもらえた記念品の紙(確か"somewhere better than here,nowhere better than here"という文句の書いてある大きな紙。どういういわれの紙なのかは不明。誰か教えてください!)がなくなっており、残念。というのも、以前この紙を貰ったのですが、帰りの空港で忘れてきてしまったんですね。そのことがあんまり悔しかったのでまた来てしまったという訳。
例のコーヒー温め器を再び拝んだあと、下の階に降りていくと、以前はなかったバルザック関連グッズ販売コーナーが出来ていた!多分イタリア系とおぼしき陽気なおじさんがレジを担当していて、ポスターや本、絵葉書などと掌大のミニチュアブック版バルザック本が販売されていた。私はポスターとパンフレットと絵葉書(コーヒー温め器の写真の!)を買って、今度こそはこのポスター絶対に日本に持ち帰るぞ!と決意を固めました。
因みに、バルザック記念館のある通りの下には、マルセル・プルースト通りというのもあり、どうやらこの辺りにプルーストが「失われた時を求めて」を執筆したというコルク張りの部屋があったらしい。(但し、通りの名前と違ってまったく殺風景な通りでしたが…。)
そして、帰りは地下鉄パッシー駅からビルアケム駅までセーヌ川にかかっている橋(ビルアケム橋)を歩いて渡っていくことに。
実はこの橋、映画「ラスト・タンゴ・イン・パリ」の冒頭でマーロン・ブラントが「チクショウ!」(確か、"fuckin' god!"といっていたと思う。)と叫んでいた場所、マリア・シュナイダーとすれ違う場所なんですね。映画では、パッシーでマリア・シュナイダーがアパルトメントを探すという設定なんですが…。私も、掃除のおじさんの箒を軽快に飛び越えたマリア・シュナイダーよろしく、軽快な足取りでこの橋を渡っていきました。この映画は、私の中の「生涯の映画」数本の中に確実に入る一本なんです。橋からはエッフェル塔が見えるし、なかなか眺めもいい。
ちょっと風がありましたが、ポスターを握りしめて渡った、2004年の大晦日でした!
・バルザック記念館HP (仏語)
・コーヒー温め器の画像が見れます!
私と文豪バルザックとの出会いは御多分に漏れず、鹿島茂さんの本からで、『世界文学のすすめ』(岩波文庫)のなかの「ゴリオ爺さん」を激賞している文章に触発されて読んでみたのが始まり。その後、『パリの王様』(鹿島茂著 文春文庫)を読んでバルザック個人にも興味を持つようになった。詳細は前記の本に譲るとして、私がバルザックに惹かれるのは、彼が不器用ながらも大変なワーカホリックだったということ。浪費家で借金王だった彼は一日20時間も原稿を書き続け、眠らない為にコーヒーをがぶ飲みしていたといいます。そして、二年前初めてここに来た時とても感動したのが、バルザックが愛用していたというイニシャル入りのコーヒー温め器。私もコーヒー好きであんまり寝ない方なのだけど、まだまだだなあなんて…。
バルザック記念館はバルザックがかつて住んでいた割と質素な家で、崖の上に門があり崖の下に向かって建物が続くというちょっと不思議な構造の建物。これは借金取りが訪ねてきたときに、崖の下の出口から逃げられるようにした為だとか。
今回の二年ぶりの訪問では幾つか変化があって興味深かったのですが、まず入り口に日本語の表示があったのに驚いた。鹿島茂氏監修の新訳バルザック選集の影響で訪ねる日本人が増えたということか?因みに館内にも日本語の解説書が置かれていました。そして、以前3ユーロほど取られた入館料が無料に変更。これはちょっと嬉しかったな。でも、以前は無料でもらえた記念品の紙(確か"somewhere better than here,nowhere better than here"という文句の書いてある大きな紙。どういういわれの紙なのかは不明。誰か教えてください!)がなくなっており、残念。というのも、以前この紙を貰ったのですが、帰りの空港で忘れてきてしまったんですね。そのことがあんまり悔しかったのでまた来てしまったという訳。
例のコーヒー温め器を再び拝んだあと、下の階に降りていくと、以前はなかったバルザック関連グッズ販売コーナーが出来ていた!多分イタリア系とおぼしき陽気なおじさんがレジを担当していて、ポスターや本、絵葉書などと掌大のミニチュアブック版バルザック本が販売されていた。私はポスターとパンフレットと絵葉書(コーヒー温め器の写真の!)を買って、今度こそはこのポスター絶対に日本に持ち帰るぞ!と決意を固めました。
因みに、バルザック記念館のある通りの下には、マルセル・プルースト通りというのもあり、どうやらこの辺りにプルーストが「失われた時を求めて」を執筆したというコルク張りの部屋があったらしい。(但し、通りの名前と違ってまったく殺風景な通りでしたが…。)
そして、帰りは地下鉄パッシー駅からビルアケム駅までセーヌ川にかかっている橋(ビルアケム橋)を歩いて渡っていくことに。
実はこの橋、映画「ラスト・タンゴ・イン・パリ」の冒頭でマーロン・ブラントが「チクショウ!」(確か、"fuckin' god!"といっていたと思う。)と叫んでいた場所、マリア・シュナイダーとすれ違う場所なんですね。映画では、パッシーでマリア・シュナイダーがアパルトメントを探すという設定なんですが…。私も、掃除のおじさんの箒を軽快に飛び越えたマリア・シュナイダーよろしく、軽快な足取りでこの橋を渡っていきました。この映画は、私の中の「生涯の映画」数本の中に確実に入る一本なんです。橋からはエッフェル塔が見えるし、なかなか眺めもいい。
ちょっと風がありましたが、ポスターを握りしめて渡った、2004年の大晦日でした!
・バルザック記念館HP (仏語)
・コーヒー温め器の画像が見れます!
ホント、スノッブですね(笑)
バルザックについては、中村光夫の「小説入門」で、「赤と黒」と「ゴリオ爺さん」、「ボヴァリー夫人」を必読書として上げていたので取り敢えず読んではみましたが、小説を読みつけないせいかあまり面白いと思いませんでした。 ただ小説で借金返済するその人物像には興味が湧いて、「パリの王様」も。以前BSでジェラール・ド・パルデュー主演のドラマを放送してましたね。
ちなみに小説を原書で読んだりするんですか。会話も不自由しないようだし。
ある人妻の肩から首の線に魅了されてそれに苦しむ青年の話だった様に記憶しています。
その表現の美しさは、密かに私の苦しみでした。
何しろ 当時私の周辺には、本能ギラギラの猛獣見たいな奴等ばかり(私も含めて)でしたから、この純粋で切ない気持ちを話し合える人が居なかったからです。
それと、私の語学能力ですが相当いい加減です。洋書の類はせいぜい辞書を引き引きというレベルで、学生時代はそれなりにがんばりましたが、今では時間が勿体無いので、原文が気になったときぐらい。会話は6から7割英語で残りが現地語(仏語と伊語)。でも旅行程度の言葉だったらすぐ覚えられるもんなんですよね。パターン決まってるし。外人とたいして喋ったこともないのに、初めて外国にひとりで行って、トラブリながら覚えたサバイバル外国語術が私の基本で、白タクのおっさんや物乞いのジプシーギャルが私の言葉の師匠だったりする。まったく自慢にはなりませんが。
「谷間の百合」なんですけど、恥ずかしながら昔読みかけて挫折した本なんです。最後に大どんでん返しが待っているとは聞いているんですが…。
鹿島茂さんの「悪女入門」(講談社新書)を読むまでフランスの結婚制度や高級娼婦という存在がよくわからず、「なんで、不倫小説ばっかりなんだ、フランスは?」なんて思ったものでしたが、私も年取ってきたことだし、改めて「谷間の百合」、挑戦してみようかな!