映画「パリところどころ」(原題"paris vu par")に因んで、私の愛するパリのところどころを語りながら、つれづれなるままに旅の思い出を残してみようと思います。
で、今回まず最初に行ったのはモンパルナス墓地。
パリのちょっとマイナーな(悪趣味な?)観光名所のひとつに墓地というのがある。三大墓地としては、最大の広さを誇るペールラシューズ墓地と割と小さいモンマルトル墓地、そして二番目に広いモンパルナス墓地といったところ。
ペールラシューズにはあのジム・モリソンの墓(これがわかりにくいところにあるんだ、まったく!)やバルザック、オスカー・ワイルド、プルーストなんかの墓もあります。モンマルトルの方は、ベルリオーズやスタンダール、そしてトリュフォーのお墓があります。
過去二回のパリ滞在で前記二箇所には行っていたのですが、モンパルナスだけは行っていなかった。二年前の冬にはモンパルナス墓地内が工事中で入れなかったんですよね。それで捲土重来とばかりに、真っ先に訪ねたというわけ。
因みに今回のお目当てのお墓は以下の通り。
・サルトル&ボーヴォワール (作家)
・マルグリット・デュラス (作家)
・アンリ・ラングロワ (シネマテーク創設者)
・ジーン・セバーグ (女優)
・マン・レイ (写真家)
・ブラッサイ (写真家)
・セルジュ・ゲーンズブール (歌手)
・ボードレール (詩人)
しかし、改めて列挙してみたら自分勝手な人ばかりなんですよね。私の趣味ってなんだか…。
サルトル&ボーヴォワールに関して言うと、この人たちの思想って個人的にはあんまり関心ないのですが、大学の語学のテキストがボーヴォワールだったのと(教師の世代がわかっちゃうよね?)、彼らの私生活が面白いと思っていて関心がある。いわゆる「自由結婚」というやつでなく、このカップルのほとんど犯罪的な行状が綴られた幾つかの暴露本が面白くて、小柄な醜男の癖に口のうまいナンパ師だったサルトルと、美人で自分勝手で一秒でも惜しい勉強家のボーヴォワール。この人間臭さに若干のシンパシーを感じるんですよね。これは、不倫のひとつも出来そうにない日本の大学教授に対するアンチでもある。要は、生き生き生きてる人の話しか信用したくないなという気分なんだけど。
シネマテークの創設者アンリ・ラングロワのお墓にもひとこと。
シネマテーク・フランセーズは日本で言えば、京橋のフィルムセンターみたいなもんだけど、歴史も違うし、来ている人の思いも全然違う。私のシネマテーク体験についてはまたあとで語るとして、アンリ・ラングロワのお墓について言うと、様々なフィルムやスチールの断片を複写したような墓石がなかなか感動モノ。(画像参照)墓地中央の道を隔ててジーン・セバーグ(「勝手にしやがれ」のヒロイン)のお墓(こっちは滅茶苦茶地味!)があるっていうのも良い!
あと写真家二人。女性の背中にSの字マークみたいな写真でおなじみのマン・レイと、交友のあった芸術家の写真や夜のパリの写真でおなじみのブラッサイ。二人とも、これまた墓地中央の道を隔ててほぼ左右対称の位置にあるんだけど見つけにくくて困った。個人的にはブラッサイが好きで、写真はもちろん、文章家としてもなかなかで、ヘンリーミラーの評伝『作家の誕生』やプルーストが写真好きだったことから「失われたときを求めて」を読み解いた『プルースト/写真』なんかは大好きな一冊。マン・レイの方は奥さん(?)らしき人と写った写真がついたアットホームな感じの墓石だったのに対して、ブラッサイは薔薇色の墓石にBRASSAIとだけ書いてある不敵さ!やっぱり、墓石ひとつにも芸風が出るのかな?
映画には駄作も多かったセルジュ・ゲーンズブール。(映画「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」は好きですけど。あと、曲では「手切れ」っていうのが好きかな?映画「ボーイ・ミーツ・ガール」にも使われてたしな…。)お墓にはたくさんの花が置かれ、彼のポートレートも飾られてました。でも、このひとのロリータ幻想っていまいちよくわかんないんだな…。なお、デュラスとボードレールの墓はとても地味でした、あしからず。
最後に、私の経験から、<パリでのお目当てのお墓探しのコツ>を伝授!
・ガイドブックや墓地の案内板または墓地でくれる地図をフル活用。
・ただし、墓は必ずしも道添いにはない。
・有名人だからといって、必ずしもお墓は派手ではない。
・稀に墓地内の造成などで、墓と墓の間の道が変わっていたりいたりするので要注意!
・有名人のお墓にはファンからの花があることが多い。ただし、最近死んだ人のお墓にも花があるので間違えないように。
・夕暮れになるとさすがにおっかないので、早い時間に行きましょう!
・急いでいるからといって、墓地内を走ったりすると門番のおじさんに怒られます。注意!(過去に経験済み。)
因みに、モンパルナス墓地のすぐ近くに、映画「勝手にしやがれ」の最後で、J・P・ベルモントが撃たれた通り(カンパーニュ・プルミエ通り)があるので、そこのラスパイユ大通りの前で倒れてみるなり、唇をさすって、「最低って何のこと?」(Qu'est-ce que c'est:degueulasse?)と言ってみるのも一興かも?
私は近くのはル・セレクトというヘミングウェイも通ったというカフェでお茶して帰りました。
では、続きはまた!
で、今回まず最初に行ったのはモンパルナス墓地。
パリのちょっとマイナーな(悪趣味な?)観光名所のひとつに墓地というのがある。三大墓地としては、最大の広さを誇るペールラシューズ墓地と割と小さいモンマルトル墓地、そして二番目に広いモンパルナス墓地といったところ。
ペールラシューズにはあのジム・モリソンの墓(これがわかりにくいところにあるんだ、まったく!)やバルザック、オスカー・ワイルド、プルーストなんかの墓もあります。モンマルトルの方は、ベルリオーズやスタンダール、そしてトリュフォーのお墓があります。
過去二回のパリ滞在で前記二箇所には行っていたのですが、モンパルナスだけは行っていなかった。二年前の冬にはモンパルナス墓地内が工事中で入れなかったんですよね。それで捲土重来とばかりに、真っ先に訪ねたというわけ。
因みに今回のお目当てのお墓は以下の通り。
・サルトル&ボーヴォワール (作家)
・マルグリット・デュラス (作家)
・アンリ・ラングロワ (シネマテーク創設者)
・ジーン・セバーグ (女優)
・マン・レイ (写真家)
・ブラッサイ (写真家)
・セルジュ・ゲーンズブール (歌手)
・ボードレール (詩人)
しかし、改めて列挙してみたら自分勝手な人ばかりなんですよね。私の趣味ってなんだか…。
サルトル&ボーヴォワールに関して言うと、この人たちの思想って個人的にはあんまり関心ないのですが、大学の語学のテキストがボーヴォワールだったのと(教師の世代がわかっちゃうよね?)、彼らの私生活が面白いと思っていて関心がある。いわゆる「自由結婚」というやつでなく、このカップルのほとんど犯罪的な行状が綴られた幾つかの暴露本が面白くて、小柄な醜男の癖に口のうまいナンパ師だったサルトルと、美人で自分勝手で一秒でも惜しい勉強家のボーヴォワール。この人間臭さに若干のシンパシーを感じるんですよね。これは、不倫のひとつも出来そうにない日本の大学教授に対するアンチでもある。要は、生き生き生きてる人の話しか信用したくないなという気分なんだけど。
シネマテークの創設者アンリ・ラングロワのお墓にもひとこと。
シネマテーク・フランセーズは日本で言えば、京橋のフィルムセンターみたいなもんだけど、歴史も違うし、来ている人の思いも全然違う。私のシネマテーク体験についてはまたあとで語るとして、アンリ・ラングロワのお墓について言うと、様々なフィルムやスチールの断片を複写したような墓石がなかなか感動モノ。(画像参照)墓地中央の道を隔ててジーン・セバーグ(「勝手にしやがれ」のヒロイン)のお墓(こっちは滅茶苦茶地味!)があるっていうのも良い!
あと写真家二人。女性の背中にSの字マークみたいな写真でおなじみのマン・レイと、交友のあった芸術家の写真や夜のパリの写真でおなじみのブラッサイ。二人とも、これまた墓地中央の道を隔ててほぼ左右対称の位置にあるんだけど見つけにくくて困った。個人的にはブラッサイが好きで、写真はもちろん、文章家としてもなかなかで、ヘンリーミラーの評伝『作家の誕生』やプルーストが写真好きだったことから「失われたときを求めて」を読み解いた『プルースト/写真』なんかは大好きな一冊。マン・レイの方は奥さん(?)らしき人と写った写真がついたアットホームな感じの墓石だったのに対して、ブラッサイは薔薇色の墓石にBRASSAIとだけ書いてある不敵さ!やっぱり、墓石ひとつにも芸風が出るのかな?
映画には駄作も多かったセルジュ・ゲーンズブール。(映画「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」は好きですけど。あと、曲では「手切れ」っていうのが好きかな?映画「ボーイ・ミーツ・ガール」にも使われてたしな…。)お墓にはたくさんの花が置かれ、彼のポートレートも飾られてました。でも、このひとのロリータ幻想っていまいちよくわかんないんだな…。なお、デュラスとボードレールの墓はとても地味でした、あしからず。
最後に、私の経験から、<パリでのお目当てのお墓探しのコツ>を伝授!
・ガイドブックや墓地の案内板または墓地でくれる地図をフル活用。
・ただし、墓は必ずしも道添いにはない。
・有名人だからといって、必ずしもお墓は派手ではない。
・稀に墓地内の造成などで、墓と墓の間の道が変わっていたりいたりするので要注意!
・有名人のお墓にはファンからの花があることが多い。ただし、最近死んだ人のお墓にも花があるので間違えないように。
・夕暮れになるとさすがにおっかないので、早い時間に行きましょう!
・急いでいるからといって、墓地内を走ったりすると門番のおじさんに怒られます。注意!(過去に経験済み。)
因みに、モンパルナス墓地のすぐ近くに、映画「勝手にしやがれ」の最後で、J・P・ベルモントが撃たれた通り(カンパーニュ・プルミエ通り)があるので、そこのラスパイユ大通りの前で倒れてみるなり、唇をさすって、「最低って何のこと?」(Qu'est-ce que c'est:degueulasse?)と言ってみるのも一興かも?
私は近くのはル・セレクトというヘミングウェイも通ったというカフェでお茶して帰りました。
では、続きはまた!
だからフランスに対する知識は活字に拠るものと息子からのものだけです。だから「盲象的な知識」しかありません。
息子はJTBの添乗員や駐在員をやって居ました。
パリにも何年か居ましたが、日本から来る旅行者はお富さんの様な知識と教養をしっかり持った人は皆無で、只のミーハー・野次馬的な女性ばかりで、幾ら苦心の計画を練って案内しても全くの無駄骨になり、ガッカリの連続でいやになって早く日本に帰りたいとコボシテいました。
又 表のパリと裏のパリの落差が酷く、治安の悪さとか街の不潔な事、大多数のパリジャンが暗くて悪臭のする裏町で生活しているのを見て、「観光やファッションと実生活はこんなものか」と実感したそうです。
そして「観光」ばかりを扱うJTBに見切りをつけて退社して、今は米国系の保険会社に勤めています。
いや 何もお富さんのパリ往きにケチを付けるつもりはありません。むしろお富さんの様な「知識・教養と明確な目的を持った旅行を=単なる観光ではない=する人に尊敬の念を表明したつもりです。
それでも お気に障りましたらごめんなさい。
確かにイタリアやフランスへ行くと買い物しか興味のない日本人というのに結構出くわします。(特に空港で。)この手の人は、若い女性から中年女性まで老若問わずいて、世代というよりある種の"人種”の問題かなという気もします。
今回たまたまシャンゼリゼ通りを通ったとき、ヴィトンの本店が改装中だったらしく、大きな日本語の表示が出ていてビックリしました。(因みに私はシャンゼリゼには全然興味が湧かないので、ほとんど行きません。)
私はどこへ行くときも貧乏トラベラーなので、平気で空港のベンチに泊まったり、夜中出歩いたり、安いホテルやレストランを徘徊しますが、幸いにしてあまり日本人には遭わなくてすみます。また、治安もだいたい東京並みかなというのが私の印象ですね。
パリでは地下鉄が便利なのでよく利用するのですが、着古した服を上手に着こなしている若い子が多く、あんまり新しいパリッとした服を着ている人は見かけない。こういうところで、ブランドの袋なんかを日本人の若い子が持ってると危ないって事でしょうか?(地下鉄構内には物乞いが結構いるので。)
でも、ごみごみしているパリっていうのも良いもんですよ。映画「巴里祭」みたいな下町感覚がどこか残ってるんです。カフェのギャルソンとの些細なやり取りなんかも楽しいもんだし、いつかいらっしゃることをお薦めします。
でも最後に、私自身も一応自覚しているんです。私みたいな旅行者も、所詮は別の種類のスノッブなんだって。