
「オペラ映画しか出てこないの?」って思われそうなので、ここで究極の舞台中継だとわたしが思ったものをひとつ。じつはこの映像ソフトって、中古VHSビデオを税込み840円で買ったのですが、至高の観賞体験でしたよ!テレビ中継の録画から起こしたものらしく、字幕なしで映像も音も酷い代物(つまり海賊版?)だけど、これほどのライブ感はちょっとないな!そんなわけで、感想です!
クライバーの映像は、わたしもご多分に漏れず、「ばらの騎士」(二種類)、「こうもり」、「カルメン」のどれも素晴らしいと思うのですが、ここはヴェルディの「オテロ」に話を絞りましょう。
シェイクスピアの「オセロ」といえば、オーソン・ウェルズが監督したものが有名で、わたしも都内某所の今はなき某映画館のスクリーンで見て、貫禄たっぷりのウェルズのオセロに感動した記憶がありますし、ウェルズは他にもシェイクスピアを映画化しているので、シェイクスピアというと怪優ウェルズの残像がどうしてもわたしの頭には残ってしまっています。(たとえば、ショルティ指揮のオペラ映画「ファルスタッフ」にいまいちは入っていけなかったのも、このことが原因。)
さて、オペラ版「オセロ」であるヴェルディの「オテロ」を見るにあたって、わたしは最初、カラヤンの演出・指揮によるオペラ映画「オテロ」のLDを手に取りました。
要するに、字幕の付いた映像で四幕物「オテロ」の全体像を掴んでおこうというわけです。実際、カラヤン版「オテロ」のLDも相当安い部類で、クライバーの中古ビデオと合わせても、2千円でらくらく御釣がきたほどですが、内容だって思ったよりは悪くなかった。
デスデモーナはフレーニだし、前半は意外と凝ったカット割で、カラヤンも考えて編集したんだなと少し感心してしまったほど。ただし、オテロ役のジョン・ヴィッカースがちょっと貧相で、腹巻した肉体労働系のオヤジに見えるのと、後半のテラスのセットが安っぽかったのとが、弱点ではありました。このあたり、わたしとしては、やっぱりウェルズの幻影が観賞を妨げたってことなんですかね?
で、今度はクライバーですが、こちらはオテロがドミンゴで、デスデモーナはやっぱりフレーニ。そして、クライバーも含め全員若くて元気いっぱいなんですよね。
若々しい青年軍人の力感を見せるドミンゴ、美人じゃないけど品よく芝居を受ける感じのフレーニ。フレーニって、歌舞伎の女形だと、中村歌右衛門というより中村雀右衛門タイプだなというのが、わたしの印象なんですが、フレーニについては、またいつか…。
とにかく、この演奏の凄まじい切れ味やメリハリ、メローなところは限りなくメローだし、激しいところはとっても激しい…。カラヤンのソフトだって悪くはなかったのに、一気に霞んでしまうほどのグルーブ感で、字幕がないことがまったく気にならずに、最後までいっきに観れてしまいました。
そして、そんな舞台の生生しさに拍車をかけていたのが、スカラ座の観客たちの凄まじい熱狂と行儀の悪さ!なかなか劇場が静かにならず、クライバーが指揮を始められない姿にはちょっとビックリしましたね。スカラ座って、いつもあんな感じなんですか?
そんなわけで、舞台中継というからにはこれくらいじゃないと!と思いつつ、これほどの臨場感のある映像は正規盤では難しいのかも…。このあたりに舞台中継の限界があるのかもしれませんね~。
そんなわけで、記憶に残るオペラ映像ということで、このソフトを取り上げました。オペラ映像観賞記録は今後もまだまだ続きます!
クライバーの映像は、わたしもご多分に漏れず、「ばらの騎士」(二種類)、「こうもり」、「カルメン」のどれも素晴らしいと思うのですが、ここはヴェルディの「オテロ」に話を絞りましょう。
シェイクスピアの「オセロ」といえば、オーソン・ウェルズが監督したものが有名で、わたしも都内某所の今はなき某映画館のスクリーンで見て、貫禄たっぷりのウェルズのオセロに感動した記憶がありますし、ウェルズは他にもシェイクスピアを映画化しているので、シェイクスピアというと怪優ウェルズの残像がどうしてもわたしの頭には残ってしまっています。(たとえば、ショルティ指揮のオペラ映画「ファルスタッフ」にいまいちは入っていけなかったのも、このことが原因。)
さて、オペラ版「オセロ」であるヴェルディの「オテロ」を見るにあたって、わたしは最初、カラヤンの演出・指揮によるオペラ映画「オテロ」のLDを手に取りました。
要するに、字幕の付いた映像で四幕物「オテロ」の全体像を掴んでおこうというわけです。実際、カラヤン版「オテロ」のLDも相当安い部類で、クライバーの中古ビデオと合わせても、2千円でらくらく御釣がきたほどですが、内容だって思ったよりは悪くなかった。
デスデモーナはフレーニだし、前半は意外と凝ったカット割で、カラヤンも考えて編集したんだなと少し感心してしまったほど。ただし、オテロ役のジョン・ヴィッカースがちょっと貧相で、腹巻した肉体労働系のオヤジに見えるのと、後半のテラスのセットが安っぽかったのとが、弱点ではありました。このあたり、わたしとしては、やっぱりウェルズの幻影が観賞を妨げたってことなんですかね?
で、今度はクライバーですが、こちらはオテロがドミンゴで、デスデモーナはやっぱりフレーニ。そして、クライバーも含め全員若くて元気いっぱいなんですよね。
若々しい青年軍人の力感を見せるドミンゴ、美人じゃないけど品よく芝居を受ける感じのフレーニ。フレーニって、歌舞伎の女形だと、中村歌右衛門というより中村雀右衛門タイプだなというのが、わたしの印象なんですが、フレーニについては、またいつか…。
とにかく、この演奏の凄まじい切れ味やメリハリ、メローなところは限りなくメローだし、激しいところはとっても激しい…。カラヤンのソフトだって悪くはなかったのに、一気に霞んでしまうほどのグルーブ感で、字幕がないことがまったく気にならずに、最後までいっきに観れてしまいました。
そして、そんな舞台の生生しさに拍車をかけていたのが、スカラ座の観客たちの凄まじい熱狂と行儀の悪さ!なかなか劇場が静かにならず、クライバーが指揮を始められない姿にはちょっとビックリしましたね。スカラ座って、いつもあんな感じなんですか?
そんなわけで、舞台中継というからにはこれくらいじゃないと!と思いつつ、これほどの臨場感のある映像は正規盤では難しいのかも…。このあたりに舞台中継の限界があるのかもしれませんね~。
そんなわけで、記憶に残るオペラ映像ということで、このソフトを取り上げました。オペラ映像観賞記録は今後もまだまだ続きます!
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あと、有名な話しですけどスカラ座の天井席のオペラ・フーリガン。彼らの審美眼の厳しさは激越で、意に沿わなければどんな大スターだろうとプリマドンナだろうとブーイングで野次り殺します。これもずいぶん問題になりました。何人の歌手がこれで歌手生命を絶たれたか。ムーティなどはこれが嫌で嫌で、ついには天井席を封鎖してしまったほど。
そのかわりこのクライバーの演奏に見られるように素晴らしい舞台に対する熱狂的な賛美も惜しみないもので、こういうの、どこかサッカーに似てますね。ライブは楽しいですよ。
そう考えると、イタリア人の野蛮さって偉大な感じがしますね。
スカラ座は一回行ってみたいな~。