中古LDを漁っていて思うのは、クラシックファンにとっていわゆるオペラ映画というのは、舞台中継版の映像より一段下にみられているのではないかってこと。これは新品のDVDではあまり感じられないことだけど、中古LDの値段のつけられ方では、割とはっきりと現れている現象だと思いますね。で、斯くいうわたしも、<オペラ映画=初心者向けB級映画>という印象をなんとなく抱いていたわけだけど、ある日、そんな思い込みを吹っ飛ばす一冊の本に出会ってしまった!
それは『オペラ大爆発!』というタイトルの本で、このブログでも度々名前を出している許光俊氏の編著なんですけど、氏は「オペラは映画で見ろ」と題した文章で、様々な映像作品を紹介、一番手に「トスカ」を挙げているんですね。
許氏が「トスカ」の映像の一番手に挙げているのは、メータ指揮のジュセッペ・パトローニ・グリッフィ監督の作品なんだけど、コレがさっぱり手に入らない。で、仕方がないので、二番手に挙げていて、なおかつ、かなり安くLDが手に入るバルトレッティ指揮、ジャン・フランコ・デ・ボシオ監督の方を見てみることにした。
どちらの映像作品もそうなんだけど、映画版「トスカ」の特徴は、話の舞台になるローマの実際の場所でロケをやっているということ。特に、第一幕の聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会と最後の聖アンジェロ城は圧巻だし、コレを見て、最近の舞台の抽象化された美術の第一幕を見ると、まったく気持ちが盛り上がらない。
わたしもローマに行ったときは教会の類を何箇所か観光したけれど、やっぱり本物の教会って、天井が高いし、荘厳な雰囲気が独特で、挙動不審なわたしは神父さんらしき人に注意されたりもしたことがある。(因みに、パリの教会でも注意されたことがあります。大したことはしてないんですけどねえ~。まあ、少しばかり好奇心が旺盛ということでご勘弁を!)
で、そんな荘厳な教会に恋人の名前を叫びながら登場するトスカのバカ女っぽさが、本物の教会を舞台にした方がやっぱり際立つんですよね。だいたい、よく考えてみれば、トスカの思慮の浅さからみんなが不幸になる話だし、つんのめるような冒頭の音楽の出だしが、劇的運命と短慮を象徴しているような気だってしなくはない。だから、オペラ名アリア集みたいなCDで「歌に生き、恋に生き」でトスカをイメージしちゃうより、映画から入った方がこのヒロインのことがよくわかるような気がわたしはするんですよ。
ところで、オペラ入門法っていうと、管弦楽集やアリア集から入るっていう手もあるとは思うけど、とりあえず視覚的に掴んでから、いきなり全曲盤CDという手もあるんじゃないのっていうのが、近頃のわたし流。
作曲する方も、全体の流れのなかでアリアの配置を考えてるんでしょうから、いきなり「歌に生き、恋に生き」だけ抜き出すより、自然な流れが体感できるような気がする。それに、なんとなく全曲盤を聴いていても、「あ、この場面のあたりだ!」というのが案外わかって素直に聴ける。そして、プッチーニの場合は、特に一作品当たりの長さがそれほど長くないし、音楽だけ聴いてもチャーミングな感じだから、ちょうどよかったりするんですよね。
というわけで、このLDをきっかけに、「ラ・ボエーム」、「マノン・レスコー」、「蝶々夫人」なんかも観て、聴いて、楽しめるようになりました。だから、わたしにとって、記念碑的な一枚ということで、『トスカ』!
しかし、トスカの恋人カヴァラドッシもあんまり大したオトコって感じがしないから、カヴァラドッシ&トスカは、オペラのシド&ナンシーなんじゃないの?な~んて思いが抜けないなあ、心に<トスカの接吻>を隠してるわたしとしては!
それは『オペラ大爆発!』というタイトルの本で、このブログでも度々名前を出している許光俊氏の編著なんですけど、氏は「オペラは映画で見ろ」と題した文章で、様々な映像作品を紹介、一番手に「トスカ」を挙げているんですね。
許氏が「トスカ」の映像の一番手に挙げているのは、メータ指揮のジュセッペ・パトローニ・グリッフィ監督の作品なんだけど、コレがさっぱり手に入らない。で、仕方がないので、二番手に挙げていて、なおかつ、かなり安くLDが手に入るバルトレッティ指揮、ジャン・フランコ・デ・ボシオ監督の方を見てみることにした。
どちらの映像作品もそうなんだけど、映画版「トスカ」の特徴は、話の舞台になるローマの実際の場所でロケをやっているということ。特に、第一幕の聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会と最後の聖アンジェロ城は圧巻だし、コレを見て、最近の舞台の抽象化された美術の第一幕を見ると、まったく気持ちが盛り上がらない。
わたしもローマに行ったときは教会の類を何箇所か観光したけれど、やっぱり本物の教会って、天井が高いし、荘厳な雰囲気が独特で、挙動不審なわたしは神父さんらしき人に注意されたりもしたことがある。(因みに、パリの教会でも注意されたことがあります。大したことはしてないんですけどねえ~。まあ、少しばかり好奇心が旺盛ということでご勘弁を!)
で、そんな荘厳な教会に恋人の名前を叫びながら登場するトスカのバカ女っぽさが、本物の教会を舞台にした方がやっぱり際立つんですよね。だいたい、よく考えてみれば、トスカの思慮の浅さからみんなが不幸になる話だし、つんのめるような冒頭の音楽の出だしが、劇的運命と短慮を象徴しているような気だってしなくはない。だから、オペラ名アリア集みたいなCDで「歌に生き、恋に生き」でトスカをイメージしちゃうより、映画から入った方がこのヒロインのことがよくわかるような気がわたしはするんですよ。
ところで、オペラ入門法っていうと、管弦楽集やアリア集から入るっていう手もあるとは思うけど、とりあえず視覚的に掴んでから、いきなり全曲盤CDという手もあるんじゃないのっていうのが、近頃のわたし流。
作曲する方も、全体の流れのなかでアリアの配置を考えてるんでしょうから、いきなり「歌に生き、恋に生き」だけ抜き出すより、自然な流れが体感できるような気がする。それに、なんとなく全曲盤を聴いていても、「あ、この場面のあたりだ!」というのが案外わかって素直に聴ける。そして、プッチーニの場合は、特に一作品当たりの長さがそれほど長くないし、音楽だけ聴いてもチャーミングな感じだから、ちょうどよかったりするんですよね。
というわけで、このLDをきっかけに、「ラ・ボエーム」、「マノン・レスコー」、「蝶々夫人」なんかも観て、聴いて、楽しめるようになりました。だから、わたしにとって、記念碑的な一枚ということで、『トスカ』!
しかし、トスカの恋人カヴァラドッシもあんまり大したオトコって感じがしないから、カヴァラドッシ&トスカは、オペラのシド&ナンシーなんじゃないの?な~んて思いが抜けないなあ、心に<トスカの接吻>を隠してるわたしとしては!
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クラシックの面白さが、様々な楽器の様々な旋律の絡み合い、交響にあるように、オペラのおもしろさというのはアリアより重唱、アンサンブルにあると思うんですよね。アリアというのは口直しのお菓子みたいなもんで。トスカでも最高に面白いのは第二幕でうねうねと続くスカルピアとトスカのサディスティックないたぶられ2重唱ですよね。
オペラ映画ぼくにとっての最高はやはりゼフィレッリの「椿姫」でしょうか。(月並み)
ダニエル・シュミットは「ラ・パロマ」もとんでもない怖い?映画でしたよね。
以前からしんいちろうさんにも勧めていただいていたオペラの世界に、わたしも足を踏み入れてしまいました!今後もいろいろお教えください。
オペラって、確かに猛毒って感じはありますね。どんどん見てない演目が見てみたくなりますから。
仰るように、オペラのよさって、アンサンブルや間の呼吸みたいなところにありますよね。重唱なんか、特に。
それと、映画版「椿姫」、わたしも好きです。ストラータスのヴィオレッタはちょっとロリータっぽいかなという気もしますけど。
それと、ダニエル・シュミットの死は惜しかった。ああいう変な感覚ってちょっとないですものね。