切られお富!

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11月国立劇場 第一部「俊寛」を観た!

2020-11-14 18:41:52 | プロフィール
10月は演目的に乗れなくて、パスした国立劇場の歌舞伎ですが、今月は吉右衛門&仁左衛門ですよ!ということで行ってきました。簡単に感想。

吉右衛門の俊寛なんて、またか!とは思ったんだけど、いつもの吉右衛門一座に菊之助の丹左衛門が新味なのと、いつもの鬼界ヶ島の前に、序幕で六波羅清盛館の場がつくのが珍しいので、ちょっと注目しましたが・・・。

結論から言うと、清盛館の吉右衛門の清盛は、ちょっとしか出てこないし、地味と言うか、老いた清盛という感じでした。それより、この場の白眉は歌六の教経でしょう。この場のこの役って、いい役だったんだなと思いましたもの、存在感があって。あと、菊之助の東屋(俊寛の奥さんですね)は、良くも悪くもクールビューティーで、清盛を迷わせ、怒らせるほどの色気があったかは、少々議論が分かれるでしょうが、もともと菊之助贔屓のわたしとしては、いつもの菊之助の気高くて綺麗な女方姿で悪くなかったです。

で、鬼界ヶ島。今回個人的に良いなと思ったのは、吉之丞の康頼。普段無骨な脇役が多い印象だったので、最初から、違う役者かと思いましたもの。

そして、吉右衞門の俊寛ですが、今回は今まで観た吉右衛門の俊寛のなかで、一番老いているというか、枯れた俊寛だとおもいました。なんか、いい意味で力が抜けているというか。今までは、底の底に力を残している知恵者みたいな感じがありましたから。で、そのことが、最後の船を身送るくだりの表情の荒涼感と繋がるんですよ。爽やかな秋晴れみたいな無というか。

今回は脇役がベテラン揃いで素晴らしい充実感でしたが(雀右衛門、又五郎、錦之助)、菊之助の丹左衛門が明晰な台詞回しで、十五代目羽左衛門がこの役をやったらこんな感じだろうなとは思いました。情の深い丹左衛門みたいな演じ方もあるけど、爽やかさ重視みたいなかんじですかね。

というわけで、至芸を満喫しました。簡単ですが、こんなところで。
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