国民は解散・総選挙大歓迎 小沢一郎の主戦論こそ野党の道
2018年4月26日 日刊ゲンダイ
立憲民主党の枝野幸男代表と自由党の小沢一郎代表の急接近が永田町をザワつかせている。
枝野は民主党時代、小沢の合流を拒んだ“反小沢”の急先鋒だった。それが一転、2人は会合や会食を重ねる仲になり、発売中の「週刊朝日」では「安倍退陣後」をテーマにジャーナリストの田原総一朗氏を交えて鼎談。
このところ官邸周辺が盛んに吹かす“解散風”をめぐり、枝野は「解散していただければ議席が増える可能性がある」「野党第1党が政権目指さなかったら、民主主義は成り立たない」と気を吐き、小沢は疑惑にまみれた安倍政権をこう断じていた。
「そろそろ国会でけじめをつけなければならない」
「ここまで国民の不満と不信が出てきたら、安倍さんに引導を渡す必要があるかなという気がしてるんです。そのためには野党が結束して、多少荒っぽいことでもやらないと」
立憲など野党6党の審議拒否で空転する国会情勢に対する批判を念頭に置き、主戦論を唱えた。
■国会正常化には野党4要求の実現必須
野党は徹底抗戦の構えで、与野党のつばぜり合いが激しさを増している。
野党は審議日程の協議に応じる条件として、▼財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑や決裁文書改ざん問題を踏まえた麻生財務相の辞任 ▼モリカケ問題に関連する柳瀬唯夫元首相秘書官らの証人喚問 ▼財務省の改ざん問題に関する調査結果の4月中の公表 ▼イラクに派遣した自衛隊の日報問題の真相究明――の4項目を要求しているが、与党はゼロ回答。麻生の辞任を突っぱね、柳瀬氏の聴取は偽証罪に問われるリスクのない参考人招致でごまかし、性懲りもなく逃げ切りを図ろうとしている。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「野党が要求する4項目はどれも至極まっとうで、主権者である国民の要望でもあります。与党が本気で国会を正常化したいのであれば、野党の要求をのめばいい。公文書改ざん問題で引責辞任が当然の麻生財務相を辞めさせないのは、あらゆる疑惑の中心にいる安倍首相を守る砦として居座らせているだけ。
加計学園の獣医学部新設をめぐり、愛媛県と今治市の職員と官邸で面会して〈首相案件〉と発言したとされる柳瀬氏は、昨年7月の参考人招致で〈記憶の限りでは会っていない〉と答弁した人物です。愛媛県文書のほか、農水省や文科省からも官邸面会を裏付ける物証が出てきている状況で与党が証人喚問を拒むのは、柳瀬氏の答弁がウソだと分かっているからではないのか。すべて政権の都合でしかない。野党は雑音にひるまず、徹底的に戦い、真相を追及してもらいたい」
民主党政権下の「政治とカネ」で自民も審議拒否
自公与党は26日、野党が欠席する中、衆参両院予算委員会で安倍首相が出席する集中審議を強行。27日は働き方改革関連法案を審議入りさせる。
自民党の森山裕国対委員長は野党の欠席戦術を「国民の理解は得にくい」と非難したが、よく言ったものだ。衆院事務局によると、予算委集中審議の主要野党欠席は民主党政権下の2010年2月以来だ。当時、野党第1党だった自民は、鳩山元首相や小沢らの「政治とカネ」をめぐる事件を追及。小沢の証人喚問などの要求が通らなかったとして審議拒否し、国会を空転させた。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「北朝鮮情勢をはじめとする安全保障問題や働き方改革法案など、国会で審議すべき重要なテーマは確かにありますが、野党の審議拒否をけしからんと批判するのは安倍首相を守る側、応援する側の論理でしょう。モリカケ疑惑、財務省の公文書改ざんや事務次官のセクハラ疑惑、自衛隊の日報隠蔽、いずれも非常に大きな問題です。とりわけ、民主主義の根幹を破壊する公文書改ざんは、行政府が立法府をだましていたという前代未聞の大事件。与野党関係ありません。結論を言えば、政策審議と疑惑解明を同時並行で進めるべきなのです」
与党がそれに応じない以上、小沢一郎の主戦論に理があるのは明らかだ。だからこそ、野党の強気攻勢に政権が窮し、にわかに“解散風”がびゅーびゅー吹き始めた。
森山は26日、「首相の専権事項」とされる衆院解散に踏み込み、「(野党から)内閣不信任決議案が出されれば、衆院解散も内閣のひとつの選択肢だ」と牽制すると、安倍と官邸で面会した鈴木宗男元衆院議員も援護射撃。
「あらゆる選択肢、あらゆる行動も頭に入れながら、政治の停滞がないよう取り組む」という安倍の発言をバラまいた。国会空転が続けば、解散総選挙も辞さないという露骨な脅しだが、どうぞやって下さいという話だ。柳瀬も出さず麻生も辞めない恐るべき居直り政権に国民の審判が下り、与党の惨敗は必至。国民は大歓迎だ。
国民が求めるのは政策の是非より政治への信頼
安倍政権の5年間で、この国は戦前の悪夢の二の舞いに陥ろうとしている。
デタラメなアベノミクスで経済はメタメタ。異次元緩和で市場にマネーをジャブジャブ流し込み、円安株高を演出するインチキで財政は敗戦直後よりも悪化している。日銀が市場から買い上げた国債はこの間に2倍の約440兆円に膨張し、国と地方を合わせた借金は来年度末に1100兆円を突破。GDPに対する借金比率は、敗戦時の200%を上回る230%に達した。
内閣人事局を通じて官邸に人事権を掌握された官僚の質も地に堕ちた。
政権を忖度した公文書改ざん、隠蔽が横行。集団的自衛権の行使を可能にした安保法制に反対する野党議員に出くわした30代の幹部自衛官が「おまえの国会活動は気持ち悪い」「国益を損なう」「バカ」などと暴言を吐き、制止を無視して罵声を浴びせ続ける事件も起きた。軍部が戦争に反対する政治家に「国賊!」と凄んだのと同じで、異常事態である。安倍政権は諸悪の根源としか言いようがない。
「国民が今、求めているのは、政策の是非よりも政治に対する信頼の回復です。安倍首相は先日も〈信無くば立たず〉と言っていましたが、果たして現状をキチンと認識しているのか。疑惑の核心にいる安倍首相が誠実な姿勢で野党の追及に応えて、信頼を取り戻す努力をしているようには見えません。進退を考えるほかない」(五十嵐仁氏=前出)
悪辣破廉恥政権の放逐こそが、この国が今なすべき急務だ。
2018年4月26日 日刊ゲンダイ
立憲民主党の枝野幸男代表と自由党の小沢一郎代表の急接近が永田町をザワつかせている。
枝野は民主党時代、小沢の合流を拒んだ“反小沢”の急先鋒だった。それが一転、2人は会合や会食を重ねる仲になり、発売中の「週刊朝日」では「安倍退陣後」をテーマにジャーナリストの田原総一朗氏を交えて鼎談。
このところ官邸周辺が盛んに吹かす“解散風”をめぐり、枝野は「解散していただければ議席が増える可能性がある」「野党第1党が政権目指さなかったら、民主主義は成り立たない」と気を吐き、小沢は疑惑にまみれた安倍政権をこう断じていた。
「そろそろ国会でけじめをつけなければならない」
「ここまで国民の不満と不信が出てきたら、安倍さんに引導を渡す必要があるかなという気がしてるんです。そのためには野党が結束して、多少荒っぽいことでもやらないと」
立憲など野党6党の審議拒否で空転する国会情勢に対する批判を念頭に置き、主戦論を唱えた。
■国会正常化には野党4要求の実現必須
野党は徹底抗戦の構えで、与野党のつばぜり合いが激しさを増している。
野党は審議日程の協議に応じる条件として、▼財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑や決裁文書改ざん問題を踏まえた麻生財務相の辞任 ▼モリカケ問題に関連する柳瀬唯夫元首相秘書官らの証人喚問 ▼財務省の改ざん問題に関する調査結果の4月中の公表 ▼イラクに派遣した自衛隊の日報問題の真相究明――の4項目を要求しているが、与党はゼロ回答。麻生の辞任を突っぱね、柳瀬氏の聴取は偽証罪に問われるリスクのない参考人招致でごまかし、性懲りもなく逃げ切りを図ろうとしている。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「野党が要求する4項目はどれも至極まっとうで、主権者である国民の要望でもあります。与党が本気で国会を正常化したいのであれば、野党の要求をのめばいい。公文書改ざん問題で引責辞任が当然の麻生財務相を辞めさせないのは、あらゆる疑惑の中心にいる安倍首相を守る砦として居座らせているだけ。
加計学園の獣医学部新設をめぐり、愛媛県と今治市の職員と官邸で面会して〈首相案件〉と発言したとされる柳瀬氏は、昨年7月の参考人招致で〈記憶の限りでは会っていない〉と答弁した人物です。愛媛県文書のほか、農水省や文科省からも官邸面会を裏付ける物証が出てきている状況で与党が証人喚問を拒むのは、柳瀬氏の答弁がウソだと分かっているからではないのか。すべて政権の都合でしかない。野党は雑音にひるまず、徹底的に戦い、真相を追及してもらいたい」
民主党政権下の「政治とカネ」で自民も審議拒否
自公与党は26日、野党が欠席する中、衆参両院予算委員会で安倍首相が出席する集中審議を強行。27日は働き方改革関連法案を審議入りさせる。
自民党の森山裕国対委員長は野党の欠席戦術を「国民の理解は得にくい」と非難したが、よく言ったものだ。衆院事務局によると、予算委集中審議の主要野党欠席は民主党政権下の2010年2月以来だ。当時、野党第1党だった自民は、鳩山元首相や小沢らの「政治とカネ」をめぐる事件を追及。小沢の証人喚問などの要求が通らなかったとして審議拒否し、国会を空転させた。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「北朝鮮情勢をはじめとする安全保障問題や働き方改革法案など、国会で審議すべき重要なテーマは確かにありますが、野党の審議拒否をけしからんと批判するのは安倍首相を守る側、応援する側の論理でしょう。モリカケ疑惑、財務省の公文書改ざんや事務次官のセクハラ疑惑、自衛隊の日報隠蔽、いずれも非常に大きな問題です。とりわけ、民主主義の根幹を破壊する公文書改ざんは、行政府が立法府をだましていたという前代未聞の大事件。与野党関係ありません。結論を言えば、政策審議と疑惑解明を同時並行で進めるべきなのです」
与党がそれに応じない以上、小沢一郎の主戦論に理があるのは明らかだ。だからこそ、野党の強気攻勢に政権が窮し、にわかに“解散風”がびゅーびゅー吹き始めた。
森山は26日、「首相の専権事項」とされる衆院解散に踏み込み、「(野党から)内閣不信任決議案が出されれば、衆院解散も内閣のひとつの選択肢だ」と牽制すると、安倍と官邸で面会した鈴木宗男元衆院議員も援護射撃。
「あらゆる選択肢、あらゆる行動も頭に入れながら、政治の停滞がないよう取り組む」という安倍の発言をバラまいた。国会空転が続けば、解散総選挙も辞さないという露骨な脅しだが、どうぞやって下さいという話だ。柳瀬も出さず麻生も辞めない恐るべき居直り政権に国民の審判が下り、与党の惨敗は必至。国民は大歓迎だ。
国民が求めるのは政策の是非より政治への信頼
安倍政権の5年間で、この国は戦前の悪夢の二の舞いに陥ろうとしている。
デタラメなアベノミクスで経済はメタメタ。異次元緩和で市場にマネーをジャブジャブ流し込み、円安株高を演出するインチキで財政は敗戦直後よりも悪化している。日銀が市場から買い上げた国債はこの間に2倍の約440兆円に膨張し、国と地方を合わせた借金は来年度末に1100兆円を突破。GDPに対する借金比率は、敗戦時の200%を上回る230%に達した。
内閣人事局を通じて官邸に人事権を掌握された官僚の質も地に堕ちた。
政権を忖度した公文書改ざん、隠蔽が横行。集団的自衛権の行使を可能にした安保法制に反対する野党議員に出くわした30代の幹部自衛官が「おまえの国会活動は気持ち悪い」「国益を損なう」「バカ」などと暴言を吐き、制止を無視して罵声を浴びせ続ける事件も起きた。軍部が戦争に反対する政治家に「国賊!」と凄んだのと同じで、異常事態である。安倍政権は諸悪の根源としか言いようがない。
「国民が今、求めているのは、政策の是非よりも政治に対する信頼の回復です。安倍首相は先日も〈信無くば立たず〉と言っていましたが、果たして現状をキチンと認識しているのか。疑惑の核心にいる安倍首相が誠実な姿勢で野党の追及に応えて、信頼を取り戻す努力をしているようには見えません。進退を考えるほかない」(五十嵐仁氏=前出)
悪辣破廉恥政権の放逐こそが、この国が今なすべき急務だ。