【米軍の事件、事故の賠償金
6.4億円超を日本が負担】
報道ステより
例)米兵が交通事故を起こし19歳日本人男性死亡
→
米兵に対して3663万円賠償命令
→日本3107万円(85%)を負担
田植えも終わりになるにつれ、日に日に暑さが増してくる。そんな中で、
今朝出かける用事があり、その帰りに、目に飛び込んできたのがこの風景。
「遠景の 白き飯豊の 真夏日よ」
「初夏空に 白く浮かぶは 飯豊山」
他国の地位協定の改定はなぜか日本に波及しない…
沖縄関連
沖縄の基地問題…それは、日米安保そのものと言うてもええので
この問題を解決するためには、基地の撤去(≒日米安保の廃棄)しかない…と考えるのは当然だと思います
そういう立場で見れば、沖縄から本土への基地の移転を主張することは
「危険の移転」にしかならない…という見方もできるし
(あるいはまた、実現不可能な主張をしてるだけで、
実りがないことが最初からわかってる…という見方もできるし)
地位協定の改定を求めることも日米安保(米軍基地)の存在を前提としている点で、
本質的な解決策にはならない…という見方もできると思います
それらのことを認識しつつ、本質的な解決策とは言えない「地位協定」のことを書きますと
一般論として、「厳罰」は凶悪犯罪の抑止にはなり得ないことが知られているところ
「日米地位協定」というのは罰ではなくて、罰を軽減(あるいは帳消しに)してくれるものとして働くので
(→アメリカの軍人や軍属が犯罪を犯しても、日本の司法から守ってくれる…という期待が働くので)
それはアメリカ軍人や軍属の犯罪を助長する方向に働くだろうことは容易に想像できます
だからこそ、翁長さんは地位協定の改定(=捜査過程を含めて、日本の司法権が及ぶ範囲の拡大)を
従来から主張してはるところであり、ぼくもそれを支持する立場であります
これに対して、安倍内閣は「沖縄の気持ちに寄り添う」「(沖縄のために)できることはすべてやる」と
くり返し表明してたはず…なんですが↓
首相と会談の沖縄知事「米大統領と直接話す機会を」(TBS系(JNN) 5月23日) 沖縄県で起きたアメリカ軍属による女性死体遺棄事件で、翁長知事が安倍総理と会談し、オバマ大統領に直接、話をする機会をつくるよう要請しました。
翁長知事は安倍総理に対し、「今回の事件は絶対許されない。綱紀粛正とか徹底した再発防止などというのは数十年間、何百回も聞かされたが、現状は全く何も変わらない」と述べた上で、「安倍内閣はできることは全てやると、いつも枕ことばのように言っているが、私からすると、できないことは全てやらないというような意味合いにしか聞こえない」と、批判しました。その上で、アメリカのオバマ大統領に直接、話をする機会をつくるよう要請しました。
「私は米軍基地の大半を預かる沖縄県知事として、県民の生命と財産、そして将来の子や孫の安心安全を守るために、ぜひともオバマ大統領に直接お話をさせていただきたいと、安倍総理からその機会をつくってくれるよう心からお願いしますと」(沖縄県 翁長雄志 知事)
翁長知事は「日米地位協定を改定しなければ日本国は独立国ではない」とも述べ、安倍総理に地位協定の改定を求めたことも明らかにしました。
「総理からもですね、今回の事件はあってはならないものであり、身勝手で卑劣極まりない犯罪に、非常に強い憤りを覚えると、ご遺族に皆様に対して心からお見舞いを申し上げたいと」(菅 義偉 官房長官)
一方、菅官房長官は、安倍総理が翁長知事に対し、このように述べた上で、オバマ大統領にも「国民の気持ちを踏まえて厳正な対処を求めて行きたい」と述べたことを明かしました。また、菅長官は翁長知事がオバマ大統領に面会を求めていることについては「一般論で申し上げれば、安全保障、外交に関係することについては、関係国の中央政府間で協議されるべきものであると考えている」と述べ、慎重な考えを示しました。さらに、日米地位協定については「米側に米軍人等による事件事故の防止については実効性のある、説得力のある再発防止、このことを強く求めていきたい」と述べるに止めました。
地位協定の改定は、日本政府にとって「できないこと」だと最初から決めてるようであります
その理由として安倍首相は(地位協定の改定は)「相手のあることだ」から…と言うてますが
もし「相手のあること=できないこと」であるならば、この世はできないことだらけ…となり、
外交など最初から最後まで「できないこと」になってしまうので、
これはまったく、子どもの言い訳にもならない言い逃れであります
とすると、こういう言い逃れをする自民党政権は、翁長知事の言う通り、
「できないことは全てやらない(≒したくないことは全てしない)」という立場を表明してるだけ…でありまして、これほど沖縄を軽んじた話はありません
この点、地位協定の改定に関して今日の朝日新聞には
官邸幹部は「地位協定改定について、米政府は『改定』という言葉を嫌う。一つ改定すれば日本以外の駐留先にも波及しかねないためだ」と解説する。米政府は日本と同様の協定を結ぶ他国への連鎖を懸念しており、改定要求は現実的な対応ではないとの姿勢だ。
という解説記事が載ってまして、この記事の前提には
「地位協定は日本とその他の国々で同じ内容」…という認識があると思うんですが、実はそんなことはまったくなく、米軍(あるいはNATO軍)との地位協定は各国でそれぞれ違うもの…であり、かつ
日本の地位協定がそのなかでも一番アメリカ側に都合の良い内容になってるんです
例えば、日本と同様にアメリカ軍基地のある韓国では、
日本の地位協定よりも駐留国の捜査権が及ぶ範囲が拡大する内容に改定されてます↓
…韓国駐留の米軍人・軍属・家族の犯罪容疑者について、韓国と米国が、12種の犯罪では起訴前に身柄を韓国側に引き渡せるよう規定を改めていたことが分かった。…(日本)政府は「日米地位協定は他の協定に比べ最も有利」と称していたが、その論理は完全に崩れた。… 韓米地位協定は1967年の制定だ。当初は韓国側が自動的に刑事裁判権を放棄すると規定していたが、91年に新協定を結び、放棄の規定を削除した。 95年からはさらに改正交渉を進め、01年に合意議事録を結んだ。12種の犯罪で身柄の引き渡し時期を判決後から起訴時に改め、要請があれば起訴前でも可能とした。12種には殺人、強姦や誘拐、放火、強盗のほか、薬物取引やこれらの未遂犯まで含まれる。飲酒運転による死亡事故もだ。 引き渡し対象に殺人と強姦しか記していない日米間の規定より有利だ。それでも欠陥があった。「引き渡し後、24時間以内に起訴できなければ釈放する」という規定があり、事実上、引き渡しを不可能にしていたからだ。だが今年5月、韓米は運用改善で合意し、「24時間」の制限を撤廃した。…
(「韓米地位協定 政府は恥ずかしくないか」:沖縄タイムズ:2012年12月24日より)
現在の日米地位協定は1960年に締結され、それ以降ただの一回も改定されないまま現在に至ってますけど
ほな、この「韓米地位協定の見直し」が日本に波及したのか?…と言えば、そんなことはない…
(ということは、朝日新聞に出てる「官邸幹部の解説」と、「アメリカ政府の姿勢の解説」は
まったくのデタラメ…であるということです)
また、NATO軍(…と言いつつ、その実体はアメリカ軍)とのあいだで地位協定を結んでいるイタリアとドイツでは
さらに駐留国の権利を拡大する方向で改定がなされておりまして↓
われわれは地位協定を比較するため、日本と同じ敗戦国イタリアに向かった。このアヴィアーノ空軍基地には戦闘機部隊が配備され、1000人規模の米軍が駐留している。日本は地位協定で、基地の管理権を米軍い委ねているが、イタリアは全く違った。
サヴォルディ司令官(イタリア軍)「この空軍基地に来る方に念を押すんですが、ここはイタリアの基地でそこに米軍を駐留させているんです。私こそがこの基地の管理権を持つイタリアの責任者になります」
イタリアではすべての米軍基地は、イタリアの軍司令官の管理下に置かれている。イタリア軍は毎日米軍から飛行計画を提出させ審査している。訓練飛行にもイタリアの国内法を適用し、昼寝の時間帯には飛行させない等米軍機の飛行回数やルートを制限している。いずれも日本では考えられないことだ。
基地内の環境保全についても、
アヴィアーノ市ベルナルド市長「私たちは米軍基地内の立ち入り調査も行っています。過去には米軍の土壌汚染への対応を指示し、実際に除去させた事例もあります。アメリカ側の費用負担で解決することになっているんです」
基地は受け入れるが主権は譲らない。
1995年、ランベルト・ディーニ元首相は、アメリカとこの点を再確認した(当時クリントン)。
(「沖縄と違うイタリア(&ドイツ)の米軍~「主権は譲り渡しはしない」/23日の報ステ」:阿修羅♪より)
2月7日付「しんぶん赤旗日曜版」での、本間浩法政大学名誉教授のお話によれば、日本との地位協定とはずいぶんちがうことがよくわかります。
ドイツの駐留NATO軍との地位協定(ボン補足協定)は1971年、81年、93年の3回改定されていますが、最も大きな改定が93年に行われました。
この改定では、ほとんどの事項について、ドイツ国内法が適用され、順守義務を駐留NATO軍に課して、住民生活を守ろうとしているとのこと。
以下、引用です。
「基地使用についての考え方としてドイツは、地域住民の公益や住民の安全、地域の経済的利益を重視しています。ドイツ側の利益が大きい場合は、その基地の返還を求めることが原則になっています。」
「基地の使用目的も、個々の基地ごとに定められています。基地がどう使われているかを検証するためには立ち入りが必要です。
ドイツでは連邦だけでなく州、地方自治体の担当者が事前通知後に基地内に立ち入ることができます。緊急の場合には事前通告なしに基地内に立ち入ることも認められています。」
「警察権に関しても、ドイツ警察が『ドイツの公共の秩序と安全が危険にさらされ、侵害される』ような場合には、任務を遂行するために基地内に立ち入る権限が認められています。」
「日米地位協定には演習に関する明示的な規定がいっさいありません。ドイツでは基地の外で機動演習することは認められていますが、その場合は国防大臣の承認が必要です。
とりわけ空域演習には非常に厳格な原則が置かれています。ドイツの国内法が適用され、実施にはドイツ当局の同意が必要です。人口密集地や病院、学校、原子力施設など公共性があり、住民に影響する場所の飛行訓練は十分考慮しないといけません。日本の場合は航空法が適用されず、全くの白紙委任です。」
「環境についての原則は93年改定の大きなポイントでした。駐留軍は、ドイツ内でのあらゆる活動について、環境アセスメントを行う義務があり、ドイツ側も調査のために連邦、州、地方自治体のそれぞれの機関が基地内に立ち入ることができる権限をもっています。」
(「◆ドイツがNATOと結んでいる「地位協定」ではドイツの国内法が適用される」
:上田博之のあやせタウンWeb【ブログ版】より)
やっぱり、その効果は日本には全然波及してない…
これは要するに、政府にやる気がないから…でありまして
やる気のない政府の言う「できること」など、最初からない…のであります
では、何が地位協定を動かす原動力になるのか?…と言えば、それは…
韓米間の交渉は何度も決裂を繰り返した。それでも結実したのは韓国世論の強い後押しがあったから~
(「韓米地位協定 政府は恥ずかしくないか」:沖縄タイムズ:2012年12月24日より)
…でありまして、「やる気のない政府」を動かすのは、
ひとえに市民(世論)の力…ということでありますので
主権国家の市民の誇りにかけて、地位協定の改定を後押しして頂ければと思います
(それは、地位協定の改定にやる気のない政権に対する選挙時の不信任…という形でも結構ですので)
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山本太郎、参院選への危機感を語る!日本会議の“草の根”に対抗せよ、と呼びかけ
2016.05.21. 山本太郎「日本会議に負けるな」 リテラ
5月14日から順次全国ロードショーされているドキュメンタリー映画『わたしの自由について〜SEALDs2015〜』。安保法制に反対し、日本中に“路上から声をあげる”というムーブメントを生み出した学生団体SEALDsの昨年夏の活動にスポットを当てた映画だが、渋谷アップリンクで行われた先行上映に“あの男”があらわれた。政治家として安保国会で孤独な戦いを繰り広げた、参議院議員の山本太郎だ。
山本氏が登場したのは今月8日のことで、本作の西原孝至監督、SEALDs・本間信和さんと映画上映後のアフタートークにゲストとして登場。SEALDsは国会の“外”で声をあげつづけたが、山本氏は国会という“内”において、喪服姿で数珠を手に焼香をあげるというパフォーマンスやひとり牛歩を展開したが、トークではそのときのことを問われ、「ひどい状況ですよ。2ちゃんねるとかの誹謗中傷みたいなのが生で聞ける、みたいな」と語り会場の爆笑を誘うなど、いつもの太郎節全開だった。
しかも山本氏は、あの“因縁の議員”とニアミスしたことについても暴露。それは、参院特別委での強行採決の際、反対する野党議員にパンチを見舞うという醜態をさらしたくせに、山本氏の“焼香パフォーマンス”を「品がない」などと非難した“ヒゲの隊長”こと佐藤正久議員だ。
ふたりが鉢合わせしたのは、先日行われた北海道での衆院補選後、エレベーターでのこと。ふたりきりの密室で「何を喋ったらいのか」と考えた山本氏は、北海道補選の結果について「強いですね、自民党〜」と話しかけたところ、ヒゲの隊長は意外にも(?)冷静に選挙結果を振り返り、「なかなか厳しい戦いです」と語ったという。
このエピソードを山本氏が明かしたのは、もちろん7月に行われる参院選への危機感からだろう。
「勝ったほうがいちばん謙虚なんですよ。(中略)勝っても向こうは全然気は緩んでない。逆に、次をどう勝っていくかってことを非常に深めていっているという印象でしたね」(山本氏)
現在、SEALDsは「安全保障関連法に反対する学者の会」や「安保関連法に反対するママの会」などとともに市民連合を結成、安保関連法の廃止や立憲主義の回復などを掲げ、野党共闘を呼びかけている。その成果もあり、参院選の1人区では野党候補の1本化が進んできている。
一方、山本氏は「ほんとうは3人区くらいまで調整できる(のが理想)」としつつ、現在の政治状況ではそのハードルが高いことと「わたしたちみたいなミニチュアの政党も1人区以外は“仁義なき”っていう戦いになっていかないと比例で票が積み上げられない」と、現実の厳しさを吐露。その根にあるのは、「党がもっている組織票、企業とかと合わさった組織票がないと(選挙に)受かれない」という問題ではないかと述べた。
「市民がそれに変わるような横のつながりをつくって、『おれたちの票田でお前は勝負しろよ』『お前を政治の舞台に送っているのはわたしたちだぞ』『見ろ、これだけの人が支えているんだ、あなたを』という。(いまは、そういう)思いきり人びとのための政治をやってくれというような安心できるバックグラウンドがほぼない、と言ってもいいと思うんですね」(山本氏)
そうした状況をふまえた上で、やはり山本氏は“草の根”の重要性を訴える。「草の根しかないですよね。テレビ、民放は企業のものだし、NHKは官邸のものでしょ?(会場笑)
ぼくみたいな難しいこと知らない人間が政治のなかにいて、政治のこと喋ると、意外とみんな怒ってくれるんですよね。『そんなひどいんですか?』って言う。そういう人を増やしていくしか方法がなくて、『あなたひとりで何票まで拡げられますか?』『あなたがここに入れたほうがいいよ、という提案を誰かにした場合、何人の人の票を集められますか?』ってことを最大化していく以外なくて」
そして、いまその運動をやっているのが「日本会議だったりとか、公明党だったりとか、経団連だったりとか」と、山本氏は具体名を挙げるのだ。
「命賭けてますよ。そりゃそうですよ、その自分たちが送り込んだ代理人が、ルールをつくるわけだから。結局、自分たちに利益が還元されるわけだから。それが約束されているんだから、超本気ですよ。お金もマンパワーも全力で出すっていう方向性だと思うんですよね」(山本氏)
いまの状況を変えるためには、草の根運動が重要──。本サイトでは昨年9月、安保法が国会で可決・成立された直後に山本氏にインタビューを行い、そこでも山本氏は同じように草の根で戦うことの意味を語ってくれたが、当時よりも状況は悪化している。山本氏は「情報が統制されていって、余計なことを言う人たちに対して強烈なバッシングというか弾圧がはじまるような」と危機感を口にしたが、実際、「余計なことを言う」キャスターたちは次々に降板に追い込まれた。1年も経たないうちに、山本氏が危惧する“情報統制、言論弾圧”の国へと近づいていっているのだ。
また、そうこうしているあいだにも、与党は今国会でもひどい法案を通そうとしている。そのひとつが、12日にも強行採決されるのではと見られている「刑事訴訟法」だ。山本氏はこの刑事訴訟法の危険性にも目を向ける。
「盗聴し放題になるんですよ。それだけじゃなくて、たとえば取調室の録音・録画が一部だけやるっていう話なんですよね。(中略。録音・録画を)とるもとらないも、全部とるのか一部とるのかって、そこらへん決めるの誰なんだよ、って話です。(決めるのは)捜査するほうですよね。だとしたら、間違った情報が提供される可能性が高いわけだし。あと(この法案では)司法取引、『お前、助かりたいなら違う奴、売れよ』っていうことが実現する。この性格が違う3つがひとつの法案になって出てくるんですよね」
「参議院の最前列に座って、もう夏で3年になるんですけど、そこで感じることはほんとにとんでもない速度でこの国は破壊されていっているんだなってことなんですよね。金儲けにつながることはすぐ法案も通るし、逆にみなさんの命を守ることとかに関することはほとんど法案にさえ上がってこないっていう状況です。
完全に方向は決まっている。新自由主義っていうものの最先頭に立つということははっきりしている。企業のための政治しか行われない。みなさんの税金は横流しされるために存在しているんだと。それ以外のことはすべてコストと見られる。生きること、生きている人びとがコストとして扱われていく。それがもっと加速していくというのが、いまだと思うんですね」(山本氏)
だが、そんななかにあっても、山本氏は「この状況はみんなで変えられる。非常に明るい未来じゃないですか、これ」と明るく語る。
「今年の夏の結果、その先の結果で、自分の思う通りにならなかったとしても、決して気を落とさないでください。何十年、何百年という支配体制を変えていくためには、デイステップ、ステップバイステップでいくしかないんだよな、ってね。意外とね、楽観的にね。これ、みんなが変えようと思えば変えられるじゃないか、っていうくらいに、ぼくは考えているんですよね。バカが国会議員になるとマズいですよね(笑)」(山本氏)
みんなが変えようと思えば変えられる。もちろん、これを実現することが難しいということも、山本氏はわかっているはずだ。それでも、希望はある。それはたとえば、『わたしの自由について』というドキュメンタリーに刻みつけられている昨年夏のSEALDsの活動とその広がりを見れば、たったひとりでも第一歩を踏み出すことが大きなうねりになることを証明しているだろう。
ちなみに、山本氏はこの映画を観て「2回ぐらい泣いてしまった」と語ったが、そのうちのひとつは、この日、ともに登壇した本間さんの演説だったという。本間さんのそのスピーチとは、日本国憲法の前文を読み上げたあと、「これは、おれの言葉なんだよ。これは、おれ自身の言葉なんだよ」と訴えるものだ。
それは、これほど日本国憲法は胸に響くものなのかというほどに言葉が迫ってくる名スピーチだが、7月の参院選では、こうして主体性をもってこの国の政治と向き合う、そうした“草の根”を拡げる必要がある。そのためにも、この映画をひとりでも多くの人の目に焼き付けられることを願いたい。
2016.05.21. 山本太郎「日本会議に負けるな」 リテラ
5月14日から順次全国ロードショーされているドキュメンタリー映画『わたしの自由について〜SEALDs2015〜』。安保法制に反対し、日本中に“路上から声をあげる”というムーブメントを生み出した学生団体SEALDsの昨年夏の活動にスポットを当てた映画だが、渋谷アップリンクで行われた先行上映に“あの男”があらわれた。政治家として安保国会で孤独な戦いを繰り広げた、参議院議員の山本太郎だ。
山本氏が登場したのは今月8日のことで、本作の西原孝至監督、SEALDs・本間信和さんと映画上映後のアフタートークにゲストとして登場。SEALDsは国会の“外”で声をあげつづけたが、山本氏は国会という“内”において、喪服姿で数珠を手に焼香をあげるというパフォーマンスやひとり牛歩を展開したが、トークではそのときのことを問われ、「ひどい状況ですよ。2ちゃんねるとかの誹謗中傷みたいなのが生で聞ける、みたいな」と語り会場の爆笑を誘うなど、いつもの太郎節全開だった。
しかも山本氏は、あの“因縁の議員”とニアミスしたことについても暴露。それは、参院特別委での強行採決の際、反対する野党議員にパンチを見舞うという醜態をさらしたくせに、山本氏の“焼香パフォーマンス”を「品がない」などと非難した“ヒゲの隊長”こと佐藤正久議員だ。
ふたりが鉢合わせしたのは、先日行われた北海道での衆院補選後、エレベーターでのこと。ふたりきりの密室で「何を喋ったらいのか」と考えた山本氏は、北海道補選の結果について「強いですね、自民党〜」と話しかけたところ、ヒゲの隊長は意外にも(?)冷静に選挙結果を振り返り、「なかなか厳しい戦いです」と語ったという。
このエピソードを山本氏が明かしたのは、もちろん7月に行われる参院選への危機感からだろう。
「勝ったほうがいちばん謙虚なんですよ。(中略)勝っても向こうは全然気は緩んでない。逆に、次をどう勝っていくかってことを非常に深めていっているという印象でしたね」(山本氏)
現在、SEALDsは「安全保障関連法に反対する学者の会」や「安保関連法に反対するママの会」などとともに市民連合を結成、安保関連法の廃止や立憲主義の回復などを掲げ、野党共闘を呼びかけている。その成果もあり、参院選の1人区では野党候補の1本化が進んできている。
一方、山本氏は「ほんとうは3人区くらいまで調整できる(のが理想)」としつつ、現在の政治状況ではそのハードルが高いことと「わたしたちみたいなミニチュアの政党も1人区以外は“仁義なき”っていう戦いになっていかないと比例で票が積み上げられない」と、現実の厳しさを吐露。その根にあるのは、「党がもっている組織票、企業とかと合わさった組織票がないと(選挙に)受かれない」という問題ではないかと述べた。
「市民がそれに変わるような横のつながりをつくって、『おれたちの票田でお前は勝負しろよ』『お前を政治の舞台に送っているのはわたしたちだぞ』『見ろ、これだけの人が支えているんだ、あなたを』という。(いまは、そういう)思いきり人びとのための政治をやってくれというような安心できるバックグラウンドがほぼない、と言ってもいいと思うんですね」(山本氏)
そうした状況をふまえた上で、やはり山本氏は“草の根”の重要性を訴える。「草の根しかないですよね。テレビ、民放は企業のものだし、NHKは官邸のものでしょ?(会場笑)
ぼくみたいな難しいこと知らない人間が政治のなかにいて、政治のこと喋ると、意外とみんな怒ってくれるんですよね。『そんなひどいんですか?』って言う。そういう人を増やしていくしか方法がなくて、『あなたひとりで何票まで拡げられますか?』『あなたがここに入れたほうがいいよ、という提案を誰かにした場合、何人の人の票を集められますか?』ってことを最大化していく以外なくて」
そして、いまその運動をやっているのが「日本会議だったりとか、公明党だったりとか、経団連だったりとか」と、山本氏は具体名を挙げるのだ。
「命賭けてますよ。そりゃそうですよ、その自分たちが送り込んだ代理人が、ルールをつくるわけだから。結局、自分たちに利益が還元されるわけだから。それが約束されているんだから、超本気ですよ。お金もマンパワーも全力で出すっていう方向性だと思うんですよね」(山本氏)
いまの状況を変えるためには、草の根運動が重要──。本サイトでは昨年9月、安保法が国会で可決・成立された直後に山本氏にインタビューを行い、そこでも山本氏は同じように草の根で戦うことの意味を語ってくれたが、当時よりも状況は悪化している。山本氏は「情報が統制されていって、余計なことを言う人たちに対して強烈なバッシングというか弾圧がはじまるような」と危機感を口にしたが、実際、「余計なことを言う」キャスターたちは次々に降板に追い込まれた。1年も経たないうちに、山本氏が危惧する“情報統制、言論弾圧”の国へと近づいていっているのだ。
また、そうこうしているあいだにも、与党は今国会でもひどい法案を通そうとしている。そのひとつが、12日にも強行採決されるのではと見られている「刑事訴訟法」だ。山本氏はこの刑事訴訟法の危険性にも目を向ける。
「盗聴し放題になるんですよ。それだけじゃなくて、たとえば取調室の録音・録画が一部だけやるっていう話なんですよね。(中略。録音・録画を)とるもとらないも、全部とるのか一部とるのかって、そこらへん決めるの誰なんだよ、って話です。(決めるのは)捜査するほうですよね。だとしたら、間違った情報が提供される可能性が高いわけだし。あと(この法案では)司法取引、『お前、助かりたいなら違う奴、売れよ』っていうことが実現する。この性格が違う3つがひとつの法案になって出てくるんですよね」
「参議院の最前列に座って、もう夏で3年になるんですけど、そこで感じることはほんとにとんでもない速度でこの国は破壊されていっているんだなってことなんですよね。金儲けにつながることはすぐ法案も通るし、逆にみなさんの命を守ることとかに関することはほとんど法案にさえ上がってこないっていう状況です。
完全に方向は決まっている。新自由主義っていうものの最先頭に立つということははっきりしている。企業のための政治しか行われない。みなさんの税金は横流しされるために存在しているんだと。それ以外のことはすべてコストと見られる。生きること、生きている人びとがコストとして扱われていく。それがもっと加速していくというのが、いまだと思うんですね」(山本氏)
だが、そんななかにあっても、山本氏は「この状況はみんなで変えられる。非常に明るい未来じゃないですか、これ」と明るく語る。
「今年の夏の結果、その先の結果で、自分の思う通りにならなかったとしても、決して気を落とさないでください。何十年、何百年という支配体制を変えていくためには、デイステップ、ステップバイステップでいくしかないんだよな、ってね。意外とね、楽観的にね。これ、みんなが変えようと思えば変えられるじゃないか、っていうくらいに、ぼくは考えているんですよね。バカが国会議員になるとマズいですよね(笑)」(山本氏)
みんなが変えようと思えば変えられる。もちろん、これを実現することが難しいということも、山本氏はわかっているはずだ。それでも、希望はある。それはたとえば、『わたしの自由について』というドキュメンタリーに刻みつけられている昨年夏のSEALDsの活動とその広がりを見れば、たったひとりでも第一歩を踏み出すことが大きなうねりになることを証明しているだろう。
ちなみに、山本氏はこの映画を観て「2回ぐらい泣いてしまった」と語ったが、そのうちのひとつは、この日、ともに登壇した本間さんの演説だったという。本間さんのそのスピーチとは、日本国憲法の前文を読み上げたあと、「これは、おれの言葉なんだよ。これは、おれ自身の言葉なんだよ」と訴えるものだ。
それは、これほど日本国憲法は胸に響くものなのかというほどに言葉が迫ってくる名スピーチだが、7月の参院選では、こうして主体性をもってこの国の政治と向き合う、そうした“草の根”を拡げる必要がある。そのためにも、この映画をひとりでも多くの人の目に焼き付けられることを願いたい。