俺の胸の中の陽だまり
への、評価コメントに
「文章はこういうのが今、流行っているのかなあって思いました。」
と、言うのがある。
実は、
「こういうの」の「こう」が、さっぱり、判らず
返事はスルーしてしまったような。
時期的に、
白蛇抄14編を、書き終えたころに書いたものです。
流行りとか?そういうものがあったのか、
どうか、判らないのですが
初のショート・ショートだったと思います。
流行っていた文体?を真似しようとしたものでないのですが
しいて言えば、
縦書きのワープロ環境から
横書きのブログ環境に代わってきたことにより
こういう、書き方がふえてきたと考えます。
下に蟷螂の1章を張り付けますが、
これは、縦書きで書いていた物です。
ブログでは1行文字数を制限せず、キリの良いところで改行しましたが。
御覧のように、1小節・1文が、ながく
眼が左から右端までいって
左端に戻っていく。
縦書きに慣れた目では、次の1小節の出だしが見えない。
縦書きだと、すぐ隣に移れば良いのですが・・・・
おそらくですが
ブログテキストに直接書くことが多くなって
およそ、左右の視野にすんなり入る状態で改行する。
そんな書き方に代わってきた人が多くなったのでは?
蟷螂 ー1ー
行けども、行けども、葦原の中である。
きちきちきち、という音とともに政勝の足元から精霊飛蝗が軽やかな薄い羽を広げ飛んで行く。
蟷螂が降りたった辺りにはただ、ひりひりと蟋蟀の鳴く声がする。
日は西にかたぶき始めているが、まだ見上げる頭上の空は鰯雲を並べながら、深く抜けるような青空を残している。
その陽光もやがて朱色に染まれば秋の日のつるべおとしさながら、あっという間に辺りが夕間暮れにまぐれてゆくであろう。
「おかしい……」
小谷城を出て、裾野を見渡した時にその葦原の向こうに道があるのがみえたのである。
ならば、その葦原を突っ切った方が早道である。
かたぶく日を追うように歩けばよい。
それだけをはっきり確かめると政勝は葦原の中に足を踏み入れた。
手を切らぬように葦を掻き分けては、進んで行く政勝に押しやられた葦がもたげなおしてくるとへちゃと顔に滑った感触を残した。
そっと、頬をなで葦を見やると産み落としたばかりの蟷螂の卵があった。
それが頬をなで上げたのだと解ると政勝はしばらくその場にたたずんだ。
みまわす周りは葦原。
いや、もう、もはや葦原のど真ん中に立ちておればそれがどこまで続くのかさえ判らない。
ぱさぱさと蟷螂が飛び立つのがみえた。
良く、見ればあちこちに蟷螂の姿があり、そちこちの葦に卵がうみつけられていた。
夏も終り、蝉の声も聞こえなくなっている。
『こんなに早く、卵を産み付けるかの?冬がくるのが早いか?今年の冬は厳しいやもしれぬ』
そんなことを思いながら政勝は空を仰いだ。
まだ、空は青くはある。
日のある内に早く木之本の須磨道守の所へつきたいのである。
が、やっと、小谷城を、下って来た所である。
まだ木之本まで五里はある。政勝は主膳の命を受けて北近江の木之本まで行こうとしている。
小谷城主に同じ手紙を渡すと残るは木之本に行くだけであるのに、小谷城をあとにしてからの道のりがさっぱり判らなくなってしまっていた。
小谷城は伊吹山と、近江の琵琶湖のほとりの木之本を結ぶ南西に延びる線の間中にある小さな山城である。
政勝は懐に包んだ手紙を確かめる様にぐうと、おすと先を急いだ。
ほぼ、改行なし↓
行けども、行けども、葦原の中である。きちきちきち、という音とともに政勝の足元から精霊飛蝗が軽やかな薄い羽を広げ飛んで行く。蟷螂が降りたった辺りにはただ、ひりひりと蟋蟀の鳴く声がする。
日は西にかたぶき始めているが、まだ見上げる頭上の空は鰯雲を並べながら、深く抜けるような青空を残している。その陽光もやがて朱色に染まれば秋の日のつるべおとしさながら、あっという間に辺りが夕間暮れにまぐれてゆくであろう。
「おかしい……」
小谷城を出て、裾野を見渡した時にその葦原の向こうに道があるのがみえたのである。ならば、その葦原を突っ切った方が早道である。かたぶく日を追うように歩けばよい。それだけをはっきり確かめると政勝は葦原の中に足を踏み入れた。手を切らぬように葦を掻き分けては、進んで行く政勝に押しやられた葦がもたげなおしてくるとへちゃと顔に滑った感触を残した。そっと、頬をなで葦を見やると産み落としたばかりの蟷螂の卵があった。それが頬をなで上げたのだと解ると政勝はしばらくその場にたたずんだ。
みまわす周りは葦原。いや、もう、もはや葦原のど真ん中に立ちておればそれがどこまで続くのかさえ判らない。ぱさぱさと蟷螂が飛び立つのがみえた。良く、見ればあちこちに蟷螂の姿があり、そちこちの葦に卵がうみつけられていた。夏も終り、蝉の声も聞こえなくなっている。
『こんなに早く、卵を産み付けるかの?冬がくるのが早いか?今年の冬は厳しいやもしれぬ』
そんなことを思いながら政勝は空を仰いだ。まだ、空は青くはある。日のある内に早く木之本の須磨道守の所へつきたいのである。が、やっと、小谷城を、下って来た所である。
まだ木之本まで五里はある。政勝は主膳の命を受けて北近江の木之本まで行こうとしている。小谷城主に同じ手紙を渡すと残るは木之本に行くだけであるのに、小谷城をあとにしてからの道のりがさっぱり判らなくなってしまっていた。
小谷城は伊吹山と、近江の琵琶湖のほとりの木之本を結ぶ南西に延びる線の間中にある小さな山城である。
政勝は懐に包んだ手紙を確かめる様にぐうと、おすと先を急いだ。
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もうひとつは、
散文詩的な書き方。
実は、切詰まったった語調で書くように心がけている。
次々、目に入ってくる文節を追ってもらうためにも
です・ます 調は避けるし
主人公のキャラクターとしても、
不必要な丁寧さは、要らない。
詩を書いている人は
とくに、気を付けていると思うが
テンポと文章(詩の言葉)の長さと「音・韻律」
このようなピースを以って
詩のような「物語」を書きたいと思う。
ー俺の胸の中の陽だまり 冒頭ー
俺。
こんな昼間に
それも、こんな繁華な場所に存在しているのが、
ふさわしくない浮浪者。
駅前のロータリーを利用して作られたこの公園は
駅の両肩をつなぐ、近道だから、
けっこう、通り抜ける人間が多い。
その公園のベンチに俺は寝転がってる。
傍らを通り抜ける人間は
浮浪者の俺から、出来るだけ離れて、
通り過ぎてゆく。
鬱陶しい存在だろう。
うろんな存在だろう。
見るも汚い。
見なかったことにしようと
足早に遠ざかる人達。
向かい側のベンチは
俺の存在のせいで、
誰にも座られずに、
秋の陽だまりの中で
ぬくもっているだろう。
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出来栄えはおいといて・・・
「詩」に近い書き方だと思える。
ただ、これも、改行を換えれば
イメージが変わる。
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俺。こんな昼間にそれも、こんな繁華な場所に存在しているのが、ふさわしくない浮浪者。
駅前のロータリーを利用して作られたこの公園は駅の両肩をつなぐ、近道だから、
けっこう、通り抜ける人間が多い。その公園のベンチに俺は寝転がってる。
傍らを通り抜ける人間は浮浪者の俺から、出来るだけ離れて、通り過ぎてゆく。
鬱陶しい存在だろう。うろんな存在だろう。見るも汚い。見なかったことにしようと足早に遠ざかる人達。
向かい側のベンチは俺の存在のせいで、誰にも座られずに、秋の陽だまりの中でぬくもっているだろう。
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文章の後ろにあるもの、と、いう言い方をするが
改行でも、文章の後ろの「ムード」とか「なにか」が
浮き出てくる。
ベンチに存在するうろんな浮浪者
と
向かい側のベンチ
ベンチそのものの存在感が見えてくる。
(気がするのだがwwww)
向かい側のベンチは
俺の存在のせいで、
誰にも座られずに、
秋の陽だまりの中で
ぬくもっているだろう。
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端から端まで、文字を入れて、なかなか改行しない作品を見たとき、正直、「浮彫感」を感じられなかった。そういう書き方がいけないというのではないが、横書きの欠損というか、縦書きでは、感じなかった、行間の歪を感じてしまう。
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端から端まで、文字を入れて、
なかなか改行しない作品を見たとき、
正直、「浮彫感」を感じられなかった。
そういう書き方がいけないというのではないが、
横書きの欠損というか、
縦書きでは、感じなかった、行間の歪を感じてしまう。
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やはり、その物語の内容にもよるのだろうけど
段落の少ない長い横書き文章を、即物的に目で追わせるのは、
もったいないと思うことが
かかれている事がある。
下にスクロールしていく性質の場所で
左に目が流れていき
くりかえし、右端から左端まで読ませる、って、のが
ちょっと、しんどく感じるってのは、
ひょっとして、
三半器官が、よわってきてるだけ?
う~~~ん・・・
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