参議院が国政に混乱をもたらすとはよく言われるが、別にこれは「衆参ねじれ」状態を指すとは思わない。二院制であれば「ねじれ状態」が起きても当然であり、むしろ衆議院での政権与党の暴走に歯止めをかける効果もあるのだ。二院制論者はよくそう言うが、私も同感である。
そんな「ねじれ」のことではなく、もっと大きな問題がある。参議院には「解散」がないということだ。つまり、議員が6年間 身分を保証されている。それは一見良いかもしれないが、衆議院に比べると余りにも“特権階級化”していると言えよう。
その好例が実際に起きた。2005年の夏、時の小泉純一郎内閣は「郵政民営化法案」を成立させるため全力を挙げていた。いわゆる「郵政法案」は衆議院で可決され、参議院に送られた。ところが、郵政民営化に反対する自民党議員が造反し、参議院では郵政法案が否決され廃案になったのである。
その時、小泉総理は何をしたか。覚えている人も多いだろう。「国民に信を問う」と言って衆議院を解散したのだ。おかしいとは思わないか。 法案を否決したのは参議院なのに、法案を可決した衆議院を解散したのだ!
こんな道理に合わない話はない。本来なら法案を否決した参議院を解散すべきだが、日本国憲法には参議院の解散はない。したがって、衆議院を解散したというのだ。つまり、衆議院は参議院の“とばっちり”を受けたのである。国政混乱の象徴的な出来事だった。
この「郵政解散」については、ごく一部の新聞が道理に合わないと批判した。当然である。小泉内閣でも島村農水相が解散の署名を拒否し、罷免されたほどだ。 小泉総理は自ら農水相を兼務し解散へ突っ走ったが、これは前代未聞の事である。ところが、ほとんどのマスコミはこれを問題視せず、郵政解散の報道に夢中になったのだ。
この解散を「7条解散」と言って、内閣の決定でいつでも衆議院を解散できるという憲法7条に基づくものだ。これを正しくないと言う学者もいるが、別に違法ではない。過去にもしょっちゅうあった事だ。
余談になるが、この郵政解散・総選挙は異常だった。小泉総理が繰り出す“刺客”と呼ばれる候補者にマスコミは目を奪われた。小池百合子氏に始まり最後は“ホリエモン”と呼ばれる有名人まで登場し、テレビなどは夢中で取材したのである。正に「小泉劇場」が花開いたのだ。総選挙の結果は“小泉自民党”が圧勝し、民主党は惨敗したのである。
あの時のことを覚えている人は多いだろう。あんな解散・総選挙はそれまでになかった。法案が参議院で否決されたから、それを可決した衆議院を解散するなど前代未聞の事である。 ところが、マスコミはこれをほとんど問題視せず、選挙報道に熱中したのだ。おかしいとは思わないか。
なんだかマスコミ批判になってしまったが、本題に戻ろう。問題は参議院である。郵政法案を否決するのは良いが、自分らは解散になることがないから勝手に行動できるのだ。いわば「象牙の塔」に籠って好き勝手にやっているようなものだ。 どうなろうとも、とばっちりを受けるのは衆議院だからだ。もし、参議院に解散があるなら、自民党議員も怖くなって造反しなかったかもしれない。
これほど国政を混乱させた事例はない。もちろん、小泉総理は万々歳だったかもしれないが(自民党も大勝して嬉しかっただろう)、参議院に解散がなく「特権階級化」しているのが最大の元凶である。
これには後日談がある。圧勝した小泉政権はもう一度、郵政改革法案を衆議院に提出した。もちろん賛成多数で可決され、参議院に送られた。再び参議院自民党の対応が注目されたが、今度は衆院選の「民意を尊重する」とか言って、法案を可決・成立させたのである。ところが、真意は違う。もう一度参議院で法案を否決したら、「参議院無用論」が起きると心配したからだ。つまり、二院制を維持するために、自らの信念を曲げて法案に賛成したのだろう。
参議院とはそんなものだ。衆議院の“二番煎じ”をやるだけでなく、“二度手間”をかけるためにあるようなものだ。 こんな参議院なんか要らない!(終わり)
>真意は違う.もう1度参議院で法案を否決したら「参議院無用論」が起きると心配したからだ.つまり,2院制を維持するために自らの信念を曲げて法案に賛成したのだろう.
こう考える人も多かったですよね
同感です
それなら、始めから存在しない方がすっきりします。つまり「無用の長物」ということでしょう。参議院は昔の貴族院ではありません。
遅くなりましたが、あさこハウス、支援ニュースNo10をお届けします。
矢嶋さんの取り組みを載せられなくてすみません。
ボストンのトンビ母さんとは、一日に何度も行き来しているくせに、所沢の矢嶋さんのところは10日間も失礼してしまいました。
サーバーが違うと、こうも不便でしょうか!よほど“エイッツ!”と思いきらないとまた後でと言うことになってしまいます。
結局、各サーバーの囲い込み作戦に乗じられていることになりますね!
この調子ですと、愚かな人間は、将来地球に陣取るYahoo軍と、月に陣取るAmeba軍が熾烈なサイバー攻撃をかけあうと言ううようなことになりかねませんね!
別件ですが、北海道は素敵ですさんからの転載記事を巡って、刀牙君が孤軍奮闘、昨夜だけで実に80コマのやり取りになりました。
一部には、DNAの違う刀牙君排除の動きもありますが、私は、むしろバージョンアップのチャンスととらえています。
今日からは新たに、瓦礫の現地一括処理か、全国分散処理かの公開討論を開始したところ、すでに、数人が参加していただいています。
この後、明日あたりからハシズムに対する賛否両論の公開討論を開始する予定です。彼の独裁的手法に対する評価はともかくも、首相公選制、参院廃止、道州制導入賛成のご意見をお持ちの矢嶋さんの、忌憚のないご意見を期待しております。
私のブログも、琵琶論調一色のガラパゴス化から、グローバリズムの世界に足を踏み出します。ただし、大企業優先のグローバリズムではなく、人類の普遍の知恵に基づくグローバリズムへ・・・。
ご支援よろしくお願いいたします。
●脱原発、あさこハウス支援通信No.10【2012-3-11】
転載元 ようこそ! 泰のブログ「あさこはうす」激励はがき № 10
http://blogs.yahoo.co.jp/biwalakesix/30299809.html
小生の「あさこハウス」への取り組みは微々たるものなので、気にしないでください。
刃牙さんには、ブログ全面削除の時に貴重な助言をいただき、ずいぶん助かりました。
この「全面削除」は大変な被害だったので、明日から弁護士さんと相談していくことになりました。ブロガーの人権や著作権などを追求していこうと思います。これは、ブログ利用者にとって最も大切なことではないでしょうか。
ということで、ブロガーの人権問題などが小生の大きなテーマになりましたが、また機会を見て貴ブログにお邪魔したいと思います。
首相公選制などの改革は良いのですが、橋下氏のやり方は強権的で危険ですね。その点は大いに問題にすべきだと思います。
参院には危険法案などを止める役割もあるのですよ?それを一概に無駄と言うのはおかしいです。
すこし見方を変えてみたらいかがですか?
しかし、無駄な所が多過ぎます。また、参議院は戦前の「貴族院」の延長といった側面があるので、現代日本では有害なだけです。
国政を混乱させる要素が多過ぎるし、議員が完全に特権階級化しています。直ちに廃止すべきです。