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補聴器試用1ヶ月

2021-07-09 08:46:22 | 難聴亭日録

補聴器を試用し始めて1ヶ月が経過した。最初は両方の耳に装着することに抵抗を感じていたが、今は常時両耳につけている。

補聴器は、集音器とちがって音の波長帯別に感度が調整してある。老人性難聴の場合はだいたい高音部が聞き取れなくなることが多い。私もそうだと思っていた。

赤十字病院の補聴器外来で測定した検査結果では、私の耳は右が53.8、左が43.8。中度の難聴のレベルだった。右と左で10デシベルの差で、どちらも中度に該当するのだが、私自身は右はほとんど聞こえないと感じていた。しかし、右を測定してみると聞こえてはいることがわかった。どういうことだろう。素人判断だが、右が聞き取りずらくなると次第に左の音に頼るようになり、右の音は利用しなくなるという現象なのかもしれない。だから、左を塞いで右だけで検査すると感度は落ちていてもちゃんと聞こえているのだった。

ネットで調べた聴力検査のデータでは、20代のころは平均で10デシベル以下で、音域では2000ヘルツが一番感度がいいという結果が出ている。それが70代になると平均でも40デシベル近くまで落ちてしまい、高音部ほど落ちてしまううようだ。

1000ヘルツ以下の低音部は、平均値をみると70代でもあまり聴力が低下していない。10デシベルだったものが20デシベルまで落ちるという程度だ。

しかし、私はその低音部も右は60デシベル、左でも50デシベルまで落ちていた。平均的な老化による聴力低下のパターンよりも低音部も含め全体的に聴力が低下しているということだった。ただ4000ヘルツの値をみると平均的にはいいはずの左の耳で85デシベルと極端に落ちている。悪い方の右の耳でさえ75デシベルなのに。このため鳥の声や虫の声が聞こえないということのようだ。

こういう聴力低下のパターンの個人差に補聴器は対応するように作られている。

1ヶ月使っていると聴き取りの状態が変化していることがわかる。最初につけたときは、まず自分の声が極端に変化して聞こえてびっくりする。さらに周辺の雑音、特になにかが擦れる音、新聞などをいじっているときの音がこれもびっくりするほどうるさく感じる。高音部の感度があげてるせいだ。しかし、次第に脳の方が慣れてきて、気にならなくなるという。

これは試用を始める前から知識として知っていた。それに、私の体験からも想像できた。

私は音楽、特にクラシック音楽をよく聞いていた。しかし、耳が悪くなりだした時、聞き慣れているCDの音が違って聞こえはじめた。たとえば金管楽器の和音などは、天国の音という風に形容したくなるような美しい響きをしているものだが、そう感じなくなった。

聞いていてもその音の違いが気になって音楽に没入できない。次第に音楽を聞かなくなってしまった。

しかし、数ヶ月、もしかして半年くらい経過していたかもしれないが、ふと聞いてみようという気になって聞いてみると、以前ほど違和感を感じない。もとの美しい響きというわけにはいかないが、それほど違和感を感じなくなっていた。

これは自分が悪くなった聴力に慣れてきた証拠で、脳の方が信号が弱くなった高音部をより注意深く聞き取ろうと努力してきた結果、音のバランスが少し改善されて聞き取れるようになったということらしい。

今回、補聴器を使うことによって脳には逆の負荷がかかることになる。がんばって聞き取ろうとしてきた高音部が強化されたわけなので、今度はうるさく感じるようになるのだ。目でも同じことがおこる。黄色いサングラスをかけると最初世の中が黄色にみえてしまうが、そのうち普通の色に見えるようになる。人間のからだはそれだけ柔軟にできているようだ。

耳でも同じことが起こるらしいが、目ほど早く変化しない。数ヶ月かかるということなのだ。

だから医者も、補聴器はできるだけかけ続けなさいという。

話はかわるが、今日、補聴器屋さんにいって別の種類の補聴器を試してみた。箱型のもので、有線でイヤホンに信号をおくるタイプのものだ。以前に知人が使っているものをためさせてもらったのだが、そのとき音に芯を感じて好印象だったのだ。耳かけ型のものはとても小さなスピーカーから耳のそばで音をだしている。スピーカーはそれ自体ある程度重量があったほうが音質はよくなる。音の抜けがよくなるのだ。それから考えるとこの小さなスピーカーから出てくる音はやはり頼りない。芯を感じない。そこが不満だった。加えて高音部を強調してあるのでなおさらなのだ。少し騒がしいところでは音が埋もれてしまう。ある程度はしかたがないと頭ではわかっていてもやはり気になるものだ。そこでこの箱型を試してみようと思ったのだが、やはりやめにした。やはり耳かけ型のように自由に動けないし、いろんな変化に対応できない。かなり面倒くさいのだ。それを持っている知人もそういっていた。面倒なのではずしてポケットにしまってしまう、といっていた。

来週、また病院に行く。その時くらいに購入するか結論を出すことにしたい。

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