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ところで今週のNatureのハイライトはハダカデバネズミのゲノム解析でした。このネズミは地中で暮らす不思議な生態のネズミで寿命が他のネズミたちの十倍。ふつう研究室などで使われているネズミは3年ほど(それでも長生き)ですが、このネズミはなんと30年くらい生きるそうです。その長寿の秘密を明らかにしようとこのゲノム研究が始まったようです。これまでにも彼らの酸化ストレスに強いタンパク質についての論文がPNASにでています。長く人々の興味を引いてきたネズミですが、それほどゲノムに目立った相違点はないようです。長生きの秘密がネズミのもつ遺伝情報のせいなのか、酸素濃度が8%(われわれの住んでいる地上は21%)で暗い、つまり紫外線を浴びない生態のせいなのかは微妙なかんじがします。
ただ、酸化ストレスによって老化や発がんがおこる、ということはここでもあきらかなようです。
長寿に関しては最近やはりNatureでちょっとショックな論文がありました。ながらく長寿を保証する遺伝子としてサーチュイン(SIR)という酵素が注目されていたのですが、その遺伝子を線虫やハエに発現させても寿命は延びなかったという論文がでたのです。ただ、マウスでは沢山あるSIRの一つSIRT6を破壊すると早く老いる、というものはありました。これでしばらく論争が続きそうです。赤ワインの成分のひとつがこSIRの産生を高めるらしいと話題になったこともありました。しかしこれもまだ確定的なものではないかもしれません。
そもそも一つや二つの成分で長く生きたりするようになる、ということがファンタジーだと思います。それよりは気持ちを明るく毎日を過ごすことの方がやっぱり大事なような。