ある日、子どもが「神楽ごっこ」をしているのを眺めていると、ビックリした。
花杖(上沼田神楽の鬼の持ち物)を蹴るのだ。
「ん?オイオイ」と思って注意すると、「おじさん(息子でいうところの神役)が蹴りよった」というのだ。
それを聞いて、ふと昔の公演を思い出した。
5年くらい前。その公演では黄泉醜女という、鬼が出る演目を上演していた。戦いの中で、花杖を神が奪い取る。そして傍らに投げる一場面がある。
ここまでは、いつもどおりのことだったけど、その後が問題だった。
鬼を幕に追いつめ、退治する。その後に、舞台上に残っている花杖を、蹴って幕の方に寄せたのだ。
本来、神楽の道具はとても神聖なものと考えられており、直接床に置くことすら許されない。そんなことをしたら、年寄り連中に半殺しにされます。椅子の上ですら許さない人もいる。
つまり、その道具を「蹴る」ことなんてもってのほか、許されないことだ。
神楽によっては、太鼓に鬼などが登る演目もあるけど、これもアリエナイ行為だろう。
もちろん、普段はそんなことをしないし、その時も、たまたま次に出てくる舞手や、その後の合戦に支障があると思ってやってしまった行為だとは思う。
けど、それを「DVDでたまたま見た」子ども(しかもうちの息子)が実際に真似をして、しかもそれを当たり前と思ってしまっていた。
(息子にはしっかりと否定しておきましたが)
神楽団員というものは、ただ単に舞いを伝えるだけでなく、そういった考え方や教え、心を学んでいく必要があると強く感じたところであります。