ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

マルセル・カルネ・10~『悪魔が夜来る』

2019年04月02日 | 戦前・戦中映画(外国)
古い記憶の中では観ているはずの、『悪魔が夜来る』(マルセル・カルネ監督、1942年)を観てみた。

1485年5月のフランス。
吟遊詩人の男ジルと女ドミニクが馬に乗って、丘にあるユーグ公の城にやって来る。
二人は、実は悪魔の使者で、人前では兄妹だと言っているが、夫婦の間柄であった。

丁度その時、城ではアンヌ姫と恋人ルノーの、婚約の祝宴が開かれていた。
悪魔の使者ジルとドミニクの目論見としては、アンヌとルノーの幸福を壊すことにある。
宴会でのダンスの最中、魔法を掛けたドミニクはルノーに近づき、愛の矛先を自分に向かせる。
片やジルも、アンヌをその気にさせたのはいいが、どうやら自分までが彼女に恋してしまい・・・

悪魔は、人の苦しみ、悲劇を愛する。
よって使者も、恋人同士の仲を裂き、その挙げ句に絶望させようと誘惑する。
冷静なドミニクは、ルノーを計画どおりまんまと自分に恋させる。
おまけに、ユーグ公までも夢中にさせる。
そのため、後にルノーとユーグ公が決闘する羽目になってしまって。

一方の使者であるジルの場合、自分もアンヌに夢中になってしまうために肝心の思惑が狂ってしまう。
だからついに、嵐の夜、業を煮やした悪魔がやって来て、ジルを牢に繋いでしまうよう仕向ける。
悪魔はジルに契約の不履行をなじるが、恋にどっぷり漬かっているジルとしては聞く耳を持たない。
ところが何のことはない、この悪魔までがアンヌに恋をしてしまうのである。
と、このような話になって、悪魔の思惑はドンドンややこしくなって行く。

何とも憎めない人達の、恋愛謳歌の世界。
観ていて、ユーモラスな感じと和みの心情が融和して、気持ちが自然とほだされて行く。
ジルとアンヌ。
悪魔によって石像に変えられてしまった恋人たち。
しかし、二人の心臓の鼓動は鳴りやまない。

永遠の愛。このラストシーンを見て、やはり遙か昔に観ていたと思い出させてくれた納得のいく作品だった。

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