ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ドライブ・マイ・カー』を観て

2022年02月10日 | 日本映画
新型コロナのため、去年夏の封切り時点でためらってパスした『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督、2021年)が、
余りにもここのところ新聞記事になるので気になり、丁度いま上映している劇場があったので久し振りに映画館に行って観てきた。

舞台俳優・演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていた。
しかし、妻がある秘密を残したまま突然この世を去ってしまう。
2年後、演劇祭で演出を任されることになった家福は愛車のサーブで広島へと向かう。
そこで出会ったのは、寡黙な専属ドライバーみさきだった。
喪失感を抱えたまま生きる家福は、みさきと過ごすうちに、それまで目を背けていたあることに気づかされていく・・・
(MOVIE WALKER PRESSより)

まず、あらすじを丁寧に書きたい思いがあるが、やはり現在の作品のためにそれはやめておきたい。
このように断るのは、この作品の内容が重厚的であり、その良さは筋書きを丁寧に書かないと伝わらないと考えるからである。
端的にいうと、細やかな行き届いた作りと相まって、出演する役者たちの完璧までの表現の素晴らしさが絡んでの内容の深さが読み取れるからである。
もっと一口で言うと、この作品は映画の形を借りた小説ではないかと思う。
だから、観客は主人公たちが話す事柄を自分自身で想像力を働かせながら再構築しなければならない。
その再構築を3時間ほど緊張しながら行うことは、正直、途中でもう開放されたくなったりする思いもある。
ただ、その我慢を伴いながらのラストに向かう内容の感動の深さは、計り知れないものとして現われる。
特に、出演者のそれぞれの自然体のうまさの中で、多くを喋らないドライバー役の三浦透子の存在感の強さにはなぜか釘付けになる。

それにしてもラストのラストの、韓国の地で、ドライバーのみさきが家福の赤い愛車を運転していくシーンは何なのか。
前後の何の説明がないので、見終わっても、うやむやとした気持ちがいつまでも残る。

いずれにしても、この作品はもうすぐDVDでも観れるようになるが、家で観たら多分途中眠くなる可能性もあるので劇場で観れてよかったと思っている。 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『危険な関係』(1959年)を観て | トップ | 『ヘンリー八世の私生活』を観て »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本映画」カテゴリの最新記事