どうしても観ておきたいと思っていた『戦争と貞操(改題:鶴は翔んでゆく)』(ミハイル・カラトーゾフ監督、1957年)を、やっと観ることができた。
人々が寝静まっているモスクワの夜。
愛し合っているベロニカとボリスにとっては、ひと気のない街の散歩も喜びそのもの。
そんな空を、鶴の群が過ぎていく。
戦争が始まり、密かに志願していたボリスに召集命令がくる。
ベロニカの明日の誕生日プレゼントとして、リスの縫いぐるみに手紙を入れて祖母に託すボリス。
そして家族で食事をし、出兵場所に向かうボリス。
遅れてボリス家にやって来たベロニカは、彼に会うことができず集合場所の小学校に駆けつける。
大勢の群衆をかき分けるベロニカ。
ベロニカの姿を探すボリスは、一目会うことも叶わず、召集された人々とともに彼方に行進していく・・・
空襲でベロニカの両親は亡くなり、身寄りのないベロニカをボリスの家族が一緒に住まわせる。
この家にいるボリスの従兄弟のマルクは、元々からベロニカに好意を持っていた。
空襲の夜、強引なマルクに否応なく身を任せてしまったベロニカ。
二人は結婚する。しかしベロニカの心は、一時もボリスから離れない。
そのボリスは、実は、前線の偵察に出て敵の銃に倒れている。
避難のためにシベリアに来ているボリス一家とマルク・ベロニカ夫婦。
ボリスの父は陸軍病院の医院長として、ベロニカはそこの看護師として勤務している。
ある日、負傷している患者が苦悩しながら言う。
「婚約者が他の男に走った。死んでしまいたい」と。
医院長は、言って聞かせる。
「自ら幸せを捨てた者は必ず報いを受ける。待つことすらできんそんな女は軽蔑にしか値せんのだ」と。
その言葉は聞いていたベロニカを深く傷つけ、彼女は死しか思い付かずがむしゃらに走り去る。
医院長のボロジンは、ベロニカを深く愛しているから彼女を傷つけるつもりは毛頭なかった。
しかし、ベロニカの心境としては・・・
そのベロニカの心理を表す映像が、物の見事に表現される。
死に向かって走るカットの連続。そのキャメラ・ワーク。
この作品の映像の凄さは、ボリスの死に瀕しての、ベロニカとの結婚シーンのイメージなどにも類を見ないような鮮明場面が散りばめられていたりすることである。
ラストの、戦争の終結と凱旋。
花束を持って駆けつけるベロニカ。
しかし、戦争は残酷な物語をつくる。
愛し合っている二人は、戦争によって、この愛を遂げることができない。
鎮痛な面持ちのベロニカは、それでもボリスの死を受け入れ未来に希望を託す。
そして、鶴の群れは再び大空を翔んでゆく。
このラストのベロニカの心情の変わり方が早すぎるなとも思うが、これがスターリン亡き後のソビエト映画の力強いメッセージだろうなとも考える。
と同時に、カンヌ映画祭で最高賞を獲得したこの作品は、まさしく傑出した映画であると思った。
人々が寝静まっているモスクワの夜。
愛し合っているベロニカとボリスにとっては、ひと気のない街の散歩も喜びそのもの。
そんな空を、鶴の群が過ぎていく。
戦争が始まり、密かに志願していたボリスに召集命令がくる。
ベロニカの明日の誕生日プレゼントとして、リスの縫いぐるみに手紙を入れて祖母に託すボリス。
そして家族で食事をし、出兵場所に向かうボリス。
遅れてボリス家にやって来たベロニカは、彼に会うことができず集合場所の小学校に駆けつける。
大勢の群衆をかき分けるベロニカ。
ベロニカの姿を探すボリスは、一目会うことも叶わず、召集された人々とともに彼方に行進していく・・・
空襲でベロニカの両親は亡くなり、身寄りのないベロニカをボリスの家族が一緒に住まわせる。
この家にいるボリスの従兄弟のマルクは、元々からベロニカに好意を持っていた。
空襲の夜、強引なマルクに否応なく身を任せてしまったベロニカ。
二人は結婚する。しかしベロニカの心は、一時もボリスから離れない。
そのボリスは、実は、前線の偵察に出て敵の銃に倒れている。
避難のためにシベリアに来ているボリス一家とマルク・ベロニカ夫婦。
ボリスの父は陸軍病院の医院長として、ベロニカはそこの看護師として勤務している。
ある日、負傷している患者が苦悩しながら言う。
「婚約者が他の男に走った。死んでしまいたい」と。
医院長は、言って聞かせる。
「自ら幸せを捨てた者は必ず報いを受ける。待つことすらできんそんな女は軽蔑にしか値せんのだ」と。
その言葉は聞いていたベロニカを深く傷つけ、彼女は死しか思い付かずがむしゃらに走り去る。
医院長のボロジンは、ベロニカを深く愛しているから彼女を傷つけるつもりは毛頭なかった。
しかし、ベロニカの心境としては・・・
そのベロニカの心理を表す映像が、物の見事に表現される。
死に向かって走るカットの連続。そのキャメラ・ワーク。
この作品の映像の凄さは、ボリスの死に瀕しての、ベロニカとの結婚シーンのイメージなどにも類を見ないような鮮明場面が散りばめられていたりすることである。
ラストの、戦争の終結と凱旋。
花束を持って駆けつけるベロニカ。
しかし、戦争は残酷な物語をつくる。
愛し合っている二人は、戦争によって、この愛を遂げることができない。
鎮痛な面持ちのベロニカは、それでもボリスの死を受け入れ未来に希望を託す。
そして、鶴の群れは再び大空を翔んでゆく。
このラストのベロニカの心情の変わり方が早すぎるなとも思うが、これがスターリン亡き後のソビエト映画の力強いメッセージだろうなとも考える。
と同時に、カンヌ映画祭で最高賞を獲得したこの作品は、まさしく傑出した映画であると思った。
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