ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

ルネ・クレール・1〜『巴里の屋根の下』

2017年10月02日 | 戦前・戦中映画(外国)
私の映画鑑賞の原点は、中学時代の「ニッサンテレビ名画座」のフランス、イタリア映画ではないかと思っている。
最近、古いフランス映画をいくつか観て、その関連から、当時親しんだ作品を観なおしてみたい気にかられる。
となると “古典フランス映画の「ビッグ5」” と言われる監督の、
ジャック・フェデー(1885-1948)、ジャン・ルノワール(1894-1979)、ジュリアン・デュヴィヴィエ(1896-1967)、ルネ・クレール(1898-1981)、マルセル・カルネ(1906-1996)辺りが中心となる。

というわけで、まずはルネ・クレールから。
それも、なるべく年代順にと考え、テレビから録画してあるベータ版の、ビデオデッキを確認したらなぜか電源が入らなくなっていた。
なので、予定変更して「ビッグ5」の監督作品を、未見を含めて思いつくままに、レンタルDVDなどで確認できるものをランダムに取り上げていこうと思う。

最初は、『巴里の屋根の下』(1930年)。

パリの下町。
楽譜を売るため、街角で自作のシャンソンを歌うアルベール。



アルベールの歌を聞く人々の中に、ルーマニア人の若い女性がいた。
名はポーラ。
ポーラには何かと、町のボスであるフレッドも絡んでいる。
そんなポーラに好意を持ったアルベールは、偶然の成り行きから、自分の部屋に彼女を泊めるが・・・

ルネ・クレール初のトーキー映画。
そのセリフの使い方がすごい。
極力、会話を省略し、その会話部分に音楽を効果的に流す。
だから、画面はほとんどサイレントで通す。
その、トーキーとサイレントの絶妙な組み合わせ。
今の、音・セリフが聞こえて当然として垂れ流される作品と比べると、それこそ“月とスッポン”である。

そんな技術的なことは無視しても、この映画はやはり、不朽の名作としか言いようがない。
まずは、その人情味に心が癒される。
アルベールのポーラに対する態度。
ラストの方で、ドアのガラス越しで聞こえない、アルベールと友人ルイのやり取り。
その結果の、ルイとポーラ。

ここには、映画の理想が詰まっている。
そして、消えることのない映画の原点がある。

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