花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

清明の養生

2015-04-05 | 二十四節気の養生


晴明(4月5日)は、二十四節気の第五番目の節気である。天気晴朗、空は晴れ渡り、生きとし生けるものが勢いよく伸び栄える季節となる。冬季に黄色く枯れた草もふたたび瑞々しい緑に変わり、これらの春の野山の青草を踏んで、晴明の頃に郊外に遊びにでかけることを踏青と呼ぶ。万物が新しく変わるこの時期、昼の時間がますます長く、夜がさらに短くなり、自然界は陽気が豊かである一方、陰気が弱くなってゆく。肝を養って陰を補うために、徹夜は勿論のこと夜更かしを避ける早寝早起の励行がより一層必要となる時期である。また寒の戻りで暖かになったと思うと再び寒さがぶり返すことがあり、なおしばらくは用心が必要である。「六気」と呼ばれる「風」、「寒」、「暑」、「湿」、「燥」、「火」は、本来は自然界の四季の気候変化である。この気候変化が例年よりも異常な変動を来たす場合や、通常であっても人体の抵抗力が減弱しているところに影響すると、病気を発症して「六因」あるいは「六邪」と呼ばれる病因となる。春の季節を代表する気は「風」であり、風邪(ふうじゃ)が起こす病気は他の季節にもみられるが特に春に多く、上半身など陽位を侵襲し、吹く風のように揺れ動いて病変が変化しやすく病巣が定まらず、寒、湿、燥、熱などの他邪と組んで人体に侵入することが多い。花粉症は代表的な風邪による病気であり、その他ウイルス、細菌、微小粒子状物質PM(Particulate Matter)2.5などの環境汚染物質も風邪となる。風邪が寒や熱などの他邪と結びつくと風寒や風熱の邪となり、さらに身体の中の余分な水分や冷えあるいは熱と呼応して、水様性の鼻水や身体の冷え、頑固な鼻づまり、あるいは鼻や頭が熱っぽく重い、眼が充血、顔面のかゆみなど、発現する症状の違いとして現れてくる。

あくがるる心はさてもやまざくら散りなんのちや身にかへるべき   西行 山家集