①サピエンス全史 面白さ(5点満点):☆☆☆☆
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ 生年・出身地:1976年・イスラエル
出版年:2011年 邦訳出版年:2023年(文庫版) 邦訳出版社:(株)河出書房新社
訳者:柴田裕之
コメント:解説によれば本書は世界的なベストセラーになっているという。ホモ・サピエンスが人類、並びにすべての動物界の頂点に立つに至った過程と未来を展望している。250万年前に登場した人類はわかっているだけでも6つの種があったという。それが7万年前の認知革命によりホモ・サピエンスが外の人類を絶滅に追い込み覇者となったという。「私たちの言語が持つ真に比類ない特徴は、人間やライオンについての情報を伝達する能力ではない。見たことも、触れたことも、匂いを嗅いだこともない、ありとあらゆる種類の存在について話す能力があるのは、私たちの知るかぎりではサピエンスだけだ。・・・虚構、すなわち架空の事物について語るこの能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている。」そしてマンモスなどの大型動物の絶滅もホモ・サピエンスが追い込んだという。目次はホモ・サピエンスの歩みにそって展開される。1.認知革命 2.農業革命 3.人類の統一 4.科学革命。現在、生物工学の発達により、天才マウスがつくられたり、マンモスやネアンデルタール人を復活させようという試みがある。それは超ホモ・サピエンスへの道を開くことを可能にする。著者は序で次のように述べている。「1,2世紀後には、ホモ・サピエンスはおそらく姿を消し、地球の支配者は、チンパンジーから私たちがかけ離れている以上に、私たちとは違った存在となるだろう。
だが、私たちサピエンスには、重要な問いに答える時間が依然として残っている。
その問いとは、私たちは何になりたいのか、だ。
そして、自分の欲望さえ操作できるようになる日も近いかもしれないので、人類が直面している真の疑問は、私たちは何を望みたいのか、なのだ。」
戦慄するほど恐ろしい書である。
②幸せなひとりぼっち 面白さ(5点満点):☆☆☆
著者:フレドリック・バックマン 生年・出身地:1981年・スウェーデン
出版年:2012年 邦訳出版年:2016年 邦訳出版社:(株)早川書房
訳者:坂本あおい
コメント:孤独に生きている老人が亡くなった妻の下に行こうと自殺を試みているときに、向かいに若い夫婦と2人の子どもの一家が引っ越してくる。困っている一家の手伝いをしたり、いじめられている野良猫を助けたりしているうちに、周囲がにぎやかになってくる。
心温まる物語。
③偽りの名画 面白さ(5点満点):☆☆☆
著者:アーロン・エルキンズ 生年・出身地:1935年・アメリカのニューヨーク
出版年:1987年 邦訳出版年:2005年 邦訳出版社:(株) 早川書房
訳者:秋津知子
コメント:サンフランシスコの美術館学芸員クリス・ノーグレンは名画展を手伝うためにベルリンに派遣された。その名画展の出品された絵画は第二次世界大戦中にナチスに略奪され、戦後返還されたもの。その名画展の主任が「この中に贋作がある」と主張し、不可解な死を遂げる。クリスはその死と贋作の謎に挑む。
いろいろな有名な画家の名作が登場し、その含蓄だけでも面白い。