読書感想83 緑の影 白い鯨<o:p></o:p>
著者 レイ・ブラッドベリ<o:p></o:p>
生没年 1920年~2012年<o:p></o:p>
出身地 アメリカ合衆国イリノイ州<o:p></o:p>
邦訳出版年 2007年<o:p></o:p>
出版社 筑摩書房<o:p></o:p>
訳者 川本三郎<o:p></o:p>
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感想<o:p></o:p>
本書は著者が1953年に半年ほどアイルランドに住んでいた時の体験をまとめたもの。アイリッシュものと呼ばれて既に発表された短編も少し手直しされて入っているそうだ。著者は映画監督のジョン・ヒューストンに映画「白鯨」の脚本の依頼を受けて、当時ヒューストンが住んでいたアイルランドに行って脚本を書いた。その時アイルランドの人々から受けたカルチャーショックや、ヒューストンやその周りのハリウッド的な奔放さに度肝を抜かれた日々が描かれている。
アイルランドの人々については20世紀とは思えない振舞、自分の中の感動を何よりも大切にする姿勢、楽しいパブでのおしゃべり。例えば、こんなエピソードが満載だ。アイルランドに着いたそうそう、タクシーが途中で止まってしまい、運転手から自転車を渡され、乗って行けと言われる。IRAの活動で領主の館を焼くことを伝えに行くが、領主がいい人なので取りやめたと言うパブでの話。感動的な歌声を聴いて駆けっこを忘れてしまう人々。10年以上赤ちゃんの演技をし続ける乞食等々。
ジョン・ヒューストンについてはこうだ。馬に乗ったり狩りをしたり、アメリカから友人を招いて友人の派手な結婚式を開いたり、著者もその遊びの中に引き入れられる。乗馬の練習をさせられたり、あくどい冗談のかもにされたり。
アイルランドの人々は信じられないくらい無邪気に生きている。ジョン・ヒューストンも心血を注いで映画作りに励んでいるというより、趣味や冗談で楽しく生きている。プロテスタント的な勤勉さとは異質な雰囲気がある。男らしいマッチョな男で危険な橋もあえて渡ろうとする。そんなジョン・ヒューストンに興味が湧いて、映画が見たくなる。やはり初めに「白鯨」が見たい。
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